第2回 まろん的バレンタインデー2007      2007/2/23 
ホームルームが終わりかえる仕度をしていると

 ノk|‘−‘)<まろんくん、ちょっと。。。

と、どこかで俺を呼ぶ声が。辺りを見まわしてみると教室の入り口から有原さんが俺に向かって手招きをしている。俺が席を立つと有原さんは、どこかへと歩き出した。彼女のあとをつけて行くと、着いた場所は誰もいない屋上。

 まv・_・)<なに?

俺がたずねると有原さんはかばんからリボンと赤い包装紙でラッピングされた箱を取り出した。

 ノk|‘−‘)<これ、チョコレート、、、昨日作ったんです。受け取ってください!
 まv・_・)<えぇ?だって、今日まだ13日だよ。

俺は内心喜んでいたが冷静を装うと必死に日にちを分析する。

 ノk|‘−‘)<だって、みんなよりも早く きみに気持ちを伝えたかったんだもん。
 まv・_・)<えっ?みんなって
 ノk|‘−‘)<うん。たぶん明日になったらきみにチョコを渡す子が何人かいると思うから、その子達に負けたくなくて。
 まv・_・)<ありがとう。

俺は有原さんが持っていた箱を受け取った。

 ノk|‘−‘)<じゃあ、私 帰るね。

そう言うと有原さんは足早にその場を去っていった。

 リ|*‘ヮ‘)|<かんな〜、どこ行ってたの?さがしたよ〜
 ノk|‘−‘)<ごめん、ごめん。ちょっと急用で。
 リ|*‘ヮ‘)|<ううん。いいよ。んで、もう用事は終わったの?
 ノk|‘−‘)<終わったよ。帰ろう
 リ|*‘ヮ‘)|<ねぇねぇ、そんなことより栞菜は明日誰かにチョコ渡すの?
 ノk|‘−‘)<え?チョコ?ううん、明日は渡さないよ。
 リ|*‘ヮ‘)|<そうなんだ〜。
 ノk|‘−‘)<めぐこそ誰かにあげないの?
 リ|*‘ヮ‘)|<わたし?う〜〜ん、ひみつ〜w

有原が帰ったあと、チョコを制服の下に隠しながら俺は教室へと戻り、そのまま帰宅した。

 まv・_・)<ただいま〜。

そう言って俺は何か飲み物をさがしに台所へと向かうと、妹の千聖が邪魔をする。

 リ ・一・リ<あっ!お兄ちゃんは入ってこないでよ〜もぉ。
 まv・_・)<なんでだよ。何か作ってんのか?エプロンなんかして。
 リ ・一・リ<そうだよ!お兄ちゃんには関係ないんだからあっち行ってて。
 まv・_・)<関係なくはないけど、ちょっと冷蔵庫から、、、

俺は強引に千聖を押しのけて台所に入ろうとする。

 州 ・ v ・)<おじゃましてます〜。

兄妹の言い争いに割って入ってきたのは千聖の友達の愛理ちゃんだった。

 まv・_・)<あぁ、愛理ちゃん。こんにちは。今何かつくってんの?
 州 ・ v ・)<あの、いまチョコ作ってたんです。
 リ ・一・リ<もぉ〜、愛理ちゃん言っちゃダメだよぉ〜。
 州 ・ v ・)<え?いいじゃん別に。
 まv・_・)<チョコって千聖、あげる人いるの?
 リ ・一・リ<うるさいなぁ。どぉせ お兄ちゃんだって1つも貰えないんでしょ。
 州 ・ v ・)<じゃあ、愛理がお兄さんにあげますよ。
 リ ・一・リ<いいよ愛理ちゃん、そんなもったいない。
 まv・_・)<あのなぁ、俺だってチョコの1つくらい。
 リ ・一・リ<はいはい、見栄はらないで。あまったら分けてあげるから もう出てってよ〜。

必死の抵抗にも千聖は耳を貸さず俺は台所から追い出された。
部屋に戻って俺は有原さんからもらった包みをかばんから出し、机にそっと置いた。制服から着替えて椅子に座り、机に置かれた包みをじっと眺めながら俺は有原さんとの思い出を振りかえっていた。
そう言えば、有原の言っていたみんなって誰なんだろう、、、



  2月13日 夜

チョコレートと格闘する矢島舞美と梅田えりか。

 从・ゥ・从<まったく腹立つわね〜、どうしてうまくできないのかしら。
 リl|*´∀`l|<それにしても勉強も出来て運動神経も良い舞美がチョコレートが作れないなんてね〜。ほんと びっくりw。
 从・ゥ・从<しょうがないでしょ〜。いままでそういう男子がいなかったんだから!
 リl|*´∀`l|<つい最近まで『好きな人いません!』なんて言ってたくせに、女心と秋の空とか言うけど〜ww
 从・ゥ・从<ああ〜!!めんどくさい!いまからコンビニ行って買ってこようかな。
 リl|*´∀`l|<もぉ〜、手作りにしたいって言ったのは舞美でしょ?そう簡単にあきらめちゃダメだよ。
 从・ゥ・从<簡単って、、もう3時間もやってるのよ。
 リl|*´∀`l|<肝心なのはチョコじゃなくて舞美の気持ちよ、いい?
 从・ゥ・从<『コクン』
 リl|*´∀`l|<はいはい、分かったら手を動かす。

この後も、さらに格闘は続いた。



 
 2月14日 朝

 まv・_・)<ちさと〜、そろそろいくよ〜。
 リ ・一・リ<今日は先に行ってて!

俺と千聖はいつも一緒に登校しているのだが今日は1人で行けとのこと。どうやら昨日作っていたチョコレートのことでまだやっているらしい。
しかたなく俺は千聖をおいて学校に向かうことにした。家を出てすぐ10メートルくらい先からこっちを見ている女の子が、その子は同じクラスの中島早貴(通称なかさきちゃん)だ。

 まv・_・)<あれ?どうしたの?
 ノソ* ^ o゜)<これ、わたそうと思って待ってたんだ。。

そう言ってかばんからかわいくラッピングされた袋を取り出すと俺に差し出した。

 ノソ* ^ o゜)<はいっ!バレンタインのチョコレート。
 まv・_・)<ありがとう。すっごいうれしいよ。
 ノソ* ^ o゜)<ほんとっ?
 まv・_・)<うん。あけていい?
 ノソ* ^ o゜)<『コクン』

なかさきちゃんは黙ってうなずき、少し不安そうに袋をあける俺の姿を見ていた。袋を開けると中には小さいチョコがいくつか入っていて、俺はその中の1つを口にいれた。

 まv・_・)<うん。おいしいよ。
 ノソ* ^ o゜)<よかったぁ。
 まv・_・)<けっこう待っててくれたの?

俺はチョコをかじりながらなかさきちゃんに話しかけた。待ってる間に相当冷えたのかなかさきちゃん手をしきりに動かしながら息で手を温めている。

 ノソ* ^ o゜)<うん。今日はがんばって早起きしたんだよ。
 まv・_・)<めずらしいね、いつもチャイムギリギリに登校してくるのに。
 ノソ* ^ o゜)<だからもう眠くて眠くて・・・あぁ〜〜〜〜ぁ。。。授業中寝ちゃうかもw
 まv・_・)<先生に見つかりそうになったら起こしてやるよ。今日のお礼、
 ノソ* ^ o゜)<うん。ありがと、、でも、チョコのお返しはちゃんとホワイトデーでしてよ。期待してるからねw。

本気なのか冗談なのかなかさきちゃんは笑顔でこたえる。

 まv・_・)<w しっかりしてるなあw。

俺となかさきちゃんは なんだかんだ世間話をしながらも一緒に学校へと向かった。教室に入ると黒板の前には何人かの男子が集まって騒いでいた。

あまりの騒がしさに俺となかさきちゃんは、少し教室に入るのをためらっていた。すると俺に気付いたその中の男子が叫んだ。

 男子)<主役が来たぞ〜。

そう言って そいつは俺の背後に回ると、俺は勢いよく背中を押された。訳も分からず、教室の真ん中から周りを見渡すと机に顔をうずめている有原と、その近くでは村上が彼女を慰めていた。そして、ふと黒板を見ると、黒板にはあいあいがさの下に俺と有原の名前が。。。

 男子)<おい、おまえきのう屋上で有原と何してたんだ?

ここでやっと俺は自分の置かれた立場が分かった。きっと昨日の俺と有原の行動を見ていたやつが、有原に何か言ったに違いない と、そう思った。

 まv・_・)<有原を泣かしたやつ誰だーー!!

俺はなりふりかまわず、背中を押した奴に向かっていった。しかし相手の仲間も加わり俺は不利な状態に。そこへこの事態を唯一止められる救世主が登校してきた。

 从・ゥ・从<あんたたち!朝から何さわいでるのよ!
 男子)<おまえには関係ないだろ。
 从・ゥ・从<関係ないじゃないわよ!廊下までこのバカ騒ぎが筒抜けじゃない。・・・ん?

そう言ったあと矢島さんは黒板の文字に気付いたらしい。矢島さんは有原そして俺を見ると、その状況を把握したようで

 从・ゥ・从<なるほどね

と小声でつぶやいた。そして矢島さんはこっちに歩み寄ると俺の前で立ち止まった。そして矢島さんが一呼吸おいた瞬間、
   『バシッ』
と、彼女の右手が俺の頬へと飛んできたのと同時に、乾いた音が教室内に響きわたった。それまで騒がしかった教室が一瞬にして凍りついたように静かになった。みんなは俺と矢島さんに注目している。
その凍った雰囲気の中、最初に行動を起こしたのは、矢島さんの後から教室に入ってきた梅田さんだった。梅田さんはスタスタと騒いでいた男子を横目に黒板の前に行くと、黙ってそのイタズラ書きを黒板消しで消していった。

 リl|*´∀`l|<ふぅ。これでよしっ と。。。舞美 もうそろそろ先生来るよ。

そう言うと梅田さんは、そのまま自分の席に着いてかばんから教科書やノートを出し机に移しはじめた。
クラスのみんなも梅田さんの言葉に『ハッ』と我に返ったようで、それぞれの席に着いていった。教室内は再びざわざわし始めると、その隙に俺は梅田のところへお礼を言いに行った。

 まv・_・)<梅田さんサンキュー。たすかったよ。
 リl|*´∀`l|<きみが騒ぎを大きくしたら栞菜は余計に悲しむだけだよ。

教科書を『トントン』と整えながら梅田は何事もなかったようにそう答えた。そして俺はもう1人謝らなければならない子のとこへ向かうと、彼女の方から声をかけてきた。

 ノk|‘−‘)<ごめんなさい、私のせいで。
 まv・_・)<いや、有原は悪くないんだ。俺は有原の気持ちを考えないでこんな事を書くやつが許せなかっただけだし。俺のほうこそ、ごめん。。。

 そう言って俺も自分の席へと戻った。



 2月14日 放課後

誰もいない空き教室、弱気な矢島舞美を説得する梅田えりか。

 リl|*´∀`l|<ねぇねぇ舞美ぃ?早くしないとまろんくん帰っちゃうよ〜。
 从・ゥ・从<う〜〜mmm やっぱり、わたし、、だめ。
 リl|*´∀`l|<昨日あんなに一生懸命作ったでしょ?自信もとうよ。
 从・ゥ・从<うぇ〜〜ん。もう、本当にやだ〜。
 リl|*´∀`l|<もぉ私だけでも渡してきちゃうよ?いいの?
 从・ゥ・从<・・・mmm
 リl|*´∀`l|<ほら、どうした?朝のスカッとした舞美らしい舞美はどこいっちゃったの?
 从・ゥ・从<だってぇ。。。
 リl|*´∀`l|<彼なら気にしてないと思うよ!ほら、はやく行こう!ねっ?
 从・ゥ・从<・・・・・『コクン』
 リl|*´∀`l|<よしっ!えらいぞ 舞美!
 从・ゥ・从<クスッw
 リl|*´∀`l|<そうそう。舞美は笑顔が一番だよ。

2人は教室へと戻ると、梅田は教室を見渡し、矢島はその後ろにピッタリと付いている。

 リl|*´∀`l|<よし、まだ いたわ。お〜い、まろんく〜ん。

昨日の有原の言葉を信じ、用も無いのに教室に残っていた俺は待ってましたと言わんばかりに、他の男子に気付かれ無いようにささっと梅田さんのほうに歩いて行った。

 リl|*´∀`l|<それにしても毎年2月14日だけは無駄に放課後 残ってる男子が多いわねw
 まv・_・)<そうかなぁ?(ヤバイ、バレたか?)
 リl|*´∀`l|<あなたも、他の男子と同じなんじゃない?あ〜、やだやだw
 まv・_・)<俺は、、、その、たまたま用事があったからだよ。
 リl|*´∀`l|<クスッwwはいはい。じゃあ、ここはそんな君の期待にお答えして、、、はい、これっ!

梅田は俺のいい訳を軽く聞き流して そう言うと、ポケットからセロファンに包まれた小さい四角いチョコを2つ俺に手渡した。

 まv・_・)<あ、ありがとう。。。ってか体に似合わず小さいなぁ。
 リl|*´∀`l|<うるさいわね!文句言うなら返してちょうだい。
 まv・_・)<あぅ〜。ごめんなさぃ。ありがたくいただきます!
 リl|*´∀`l|<ちなみに言っておくけど私のは友チョコだからねw
 まv・_・)<えっ?あっ、そうなんだ。。。(そりゃそうだよなこの大きさじゃあ)
 リl|*´∀`l|<なによ。急に黙っちゃって、もしかしてショック受けてるとか?
 まv・_・)<ち、ちがうわっ!
 リl|*´∀`l|<大丈夫よ!そんなに落ち込まなくても。私のは友チョコだけど、本命チョコが欲しかったらここにいる舞美がくれるから。
 从・ゥ・从<もぉ。えりかったら、、、
 リl|*´∀`l|<じゃあ あとは2人でがんばってね!

梅田さんは矢島さんの肩を『ポン』とたたき、そのままどこかへ行ってしまった。2人だけの静かな時間が流れた。

 从・ゥ・从<あの〜。今朝はたたいちゃったりしてごめんなさい。
 まv・_・)<ああ。別に気にしてないよ。っていうかあの時、矢島が来てくれなかったら俺あいつらにやられてたし、逆に感謝してるよ。それに、たたかれた理由は分かってる。
 从・ゥ・从<たたいちゃったけど君のこと嫌いじゃなくて、本当は大好きなんです。
       あの、それと、チョコを。。。初めて作ったからもしかしたらおいしくないかもしれないけど。
 まv・_・)<うん、ありがとう。。。俺も、

言いかけたところで、それをさえぎるように矢島さんはいつになく小さい声でしゃべり始めた。

 从・ゥ・从<もし、
 まv・_・)<ん?
 从・ゥ・从<もし、栞菜みたいに私も男子に泣かされてたら守ってくれる?

矢島さんの口から出た言葉は、いつのも彼女らしくないかよわい感じだった。チョコレートと引換えのこの場だけの感情じゃない。本気で舞美のことを守ってあげたい。

 まv・_・)<もちろん!約束するよ。

俺は、キラキラと輝く瞳を見つめてそう言った。するとだんだんと矢島さんのまぶたがゆっくりと閉じていく、、、


   ・ ・ ・


   ・ ・ ・ ・ ・


 リl|*´∀`l|<
しゅーーーりょーーーっ!!
 从・ゥ・从<えっ!?

突然のホイッスルに『ビクッ』とする2人。梅田は俺と矢島さんのリアクションを楽しむかのように、この良い雰囲気をあっさりと壊していった。

 リl|*´∀`l|<さあ!そろそろ帰るよ!
 从・ゥ・从<あ、、、うん。。。
 リl|*´∀`l|<わたす前はあんなに弱気になってたくせに、KISSまでしようするとか?結構やるわね〜。
 从・ゥ・从<あ〜、あれは。もう何がなんだかわかんなくなっちゃって。
        あの、無意識にというか、その、、、
 リl|*´∀`l|<本当の矢島舞美がつい出ちゃったわけね?
 从・ゥ・从<・・・・・
 リl|*´∀`l|<アハハwほんっと素直というか真面目というか、まあそこが舞美の良いとこでもあるんだけどね。まあ、私も応援するからがんばろっ!
 从・ゥ・从<ありがとう、えりか。。。



  2月14日 夕方

公園で犬を連れているなかさきちゃんの姿が、驚かそうと彼女の視界に入らないようにそっと近づいた。しかし突然犬の方が俺に向かって突進してきた。

 ノソ* ^ o゜)<あっ!どこ行くの?ちっさー
   『ドシンッ!』
 まv・_・)<イッテーっ
 ノソ* ^ o゜)<あっ、、、まろんくん。。。
 まv・_・)<うぃっす。

犬に突き飛ばされてしりもちをついてしまった俺は照れながら返事をした。

 まv・_・)<元気な犬だね。
 ノソ* ^ o゜)<でしょ?それに、ちっさーはね、歌がうたえるんだよぉ。
 まv・_・)<ほんとかよぉ?
 ノソ* ^ o゜)<シ〜ッ!いい?
 まv・_・)<・・・

どういう風に歌うのか俺はドキドキしながら黙ってうなづいた。
するとなかさきちゃんは あぁ!のFIRST KISSを歌いだした。

 ノソ* ^ o゜)<ねぇどぉしてぇ
 ちっさー < わんわん
 ノソ* ^ o゜)<恋人になれないぃのぉ〜
 ちっさー < わんわん
 ノソ* ^ o゜)<ほら、すごいでしょ?
 まv・_・)<う〜〜mm。歌ってるっていうのかな〜。

俺がなかさきちゃんとちっさーと戯れていると、突然

 (o・D・)<
なんだよっ!こんなもん!!

と、公園内に女の子の声が響き渡った。ふと声のする方を見ると女の子が、おそらくチョコが入ってるであろう箱をごみ箱に投げ捨てていた。

 (o・D・)<もおっ!○○くんも、チョコも大っ嫌い!!
        ○○くんの ばかーっ!!

彼女は大声を出しながらごみ箱、そして遊具にまで怒りをあたりちらしていて、俺となかさきちゃんはその様子を遠くから見ていた。

 まv・_・)<なんか、すごいあれてるなぁ
 ノソ* ^ o゜)<うん。

俺たちの声が届いたのか、その子はまた少し切れたような表情を浮かべ近づいてきた。

 (o・D・)<なによ!昼間っからイチャついちゃって。舞に対するあてつけ?

もちろんそんなつもりはない。彼女の被害妄想だ。

 ノソ* ^ o゜)<まいちゃん?ここにいるおにいさんもね、実は今日1つも貰えなかった悲しい人なの。
 まv・_・)<え?なに言って、なかさきちゃんくれたじゃん!
 ノソ* ^ o゜)<シ〜ッ!はいはい。小学生相手に見栄はらないの。

俺は『なんか千聖と同じ事言うなぁ』と思いながらも、訳がわからずなかさきちゃんに話しを合わせることにした。

 (o・D・)<かわいそぉ〜
 ノソ* ^ o゜)<でしょ?だから、舞ちゃんの気持ちのこもったチョコをあげてもらえないかな?
 (o・D・)<う〜〜mm。顔はイケメンじゃないし舞の好みではないんだけど、性格はまあ優しそうだし〜。う〜ん、どうしようかなぁ。。。

顔はともかく小学生から性格まで分析される俺って。。。小学生相手に特に何をするっていう訳でも無いが、その答えに内心ドキドキしていた。

 (o・D・)<わかった!舞のあげるよ。

『ヨシッ』舞ちゃんが悩んだ異常な時間の長さに、なんか複雑な想いもするがとりあえず喜んだ、しかしそこで1つの疑問が浮かんだ。。。

 まv・_・)<舞のって、もしかしてさっき捨ててたやつじゃあ。。。
 (o・D・)<だってね。舞が一生懸命作ったのに、その男の子がね「いらない」って言うんだもん!

舞ちゃんは、ガサゴソとごみ箱をあさり、今投げつけていた箱を手に取った。が、よく見ると箱はペチャンコにつぶれて、包装紙もビリビリに破れている。

 まv・_・)<あら〜、すごいことになってるね。
 (o・D・)<もうねぇ、舞 本当に怒ったんだから。

ほとんど原形をとどめていないその形状から、舞ちゃんががどれほど怒りチョコにあたったのか想像するだけで恐ろしい。俺は舞ちゃんのプレゼントを拒否った男子をちょっと恨んだ。

 (o・D・)<好きです。舞の気持ち受け取ってください!
 まv・_・)<え?

俺はその言葉に耳を疑った。しかも舞ちゃんとは今日初めて会ったのに、、、

 (o・D・)<って言って、本当はわたすつもりだったんだ。
 まv・_・)<あぁ、、、

なるほど、こんなに純粋な子をなかせるわけにはいかないよなぁ。

 (o・D・)<あああっっ!!もう、思い出しただけでむかついてきた!

それにしても裏表が激しいなこの子は。

 ノソ* ^ o゜)<舞ちゃん、そんなにイライラしないで
 まv・_・)<まあ、まわりはぐちゃぐちゃだけど肝心の中身は大丈夫そうだからね。がんばって食べてみるよ。
 (o・D・)<ふ〜ん。優しいとこあるんだ。。。将来 舞のおむこさんにならしてあげてもいいよ。
 まv・_・)<プッw はいはい。ありがとう。

俺はまた舞ちゃんの機嫌を悪くしてはいけないと思い冗談半分で答えたのだが、隣でその様子を見ていたなかさきちゃんはどことなく寂しそうな表情を浮かべていた。
まいちゃんはしばらくちっさーと遊んだあと、「みたいテレビがあるから」とか言って帰ってしまった。

 まv・_・)<こんな感じでよかったの?
 ノソ* ^ o゜)<なんか、まろんくんが舞ちゃんと結婚したら尻にしかれそうねw。
 まv・_・)<うん。なんか毎日怒られてるような気がする。
 ノソ* ^ o゜)<もし私だったらそんな怒ったりしないから安心して。
 まv・_・)<え?
 ノソ* ^ o゜)<ううん、なんでもない!

まあ、舞ちゃんの機嫌がなおったみたいでよかった。しばらく犬のちっさーと遊んでいると、あたりは暗くなりかけていたので俺となかさきちゃんは公園をあとにした。
もうすぐ家に着こうという所で、家から1人の女の子が飛び出してきた。

 まv・_・)<あれ?愛理ちゃん?
 州 ・ v ・)<あっ、千聖のおにいさん。。。
         おじゃましましたーーーー!!

愛理ちゃんは俺の顔を見るとびっくりした様子で、ダッシュで走って行ってしまった。俺はそんな様子を不思議におもいながら、玄関の扉をあけ部屋に入ると机の上になにやら小さい紙袋が1つ置いてあるのが目に入った。

 まv・_・)oO○(千聖が置いたのかな・・・)

俺はその紙袋を持って千聖のいるリビングへと向かった。

 まv・_・)<千聖、これありがとう。
 リ ・一・リ<え?なんのこと?
 まv・_・)<これ、千聖がおいたんじゃないの?

そう言って俺は紙袋から中に入っていた箱を取り出して見せた。

 リ ・一・リ<あれ?そのラッピング愛理ちゃんのじゃん。なんでお兄ちゃんが持ってるの?
 まv・_・)<愛理ちゃんの?ああ、それじゃあ忘れ物かな?
        さっきまでうちで遊んでたんでしょ?
 リ ・一・リ<え?愛理ちゃん今日来てないよ。

???人違い???まさか俺が愛理ちゃんを見間違えるはずが無い。でも確かにうちから出てきたと思ったんだけど。。。

 まv・_・)<あっ!もう塾行く時間だ。

俺はその紙袋をまた机の上にもどし、急いで塾に行く仕度をして家を出た。

 リ ・一・リ<いってらっしゃーい。


 

  2月14日 夜

まだ寒い2月の夜、冷たい風を顔に受けながら、俺は自転車をこぎ10分ほどで塾の駐輪場に到着。外に出ている塾の先生にあいさつをして教室に入った。
後ろの空いてる席に座ってかばんからテキストを机の上に広げていると

 ノk|‘−‘)<おつかんなで〜す。

そう言って隣の席に座ったのは、前のほうの席に座っていた有原さんだ。

 ノk|‘−‘)<ねぇねぇ、チョコ食べてくれた?
 まv・_・)<あっ、ゴメン。まだ食べてないや。
 ノk|‘−‘)<そっかぁ、そこまでは1番になれなかったか。。。
 まv・_・)<帰ったらたべるよ。そんなことより朝大丈夫だったか?
 ノk|‘−‘)<あっ、うん、君が助けてくれたから。
 まv・_・)<俺はただ騒ぎを大きくしちゃっただけだけどね。本当に助けてくれたのは矢島さんと梅田さんだよ。

有原さんと話をしていると村上さんが教室に入ってきた。

 リ|*‘ヮ‘)|<おつかれ〜
 ノk|‘−‘)<あっ、めぐ、おつかんな!
 まv・_・)<うぃ〜す。

並んで座っている俺達を見た村上は一瞬不思議そうな表情を浮かべると、そのまま俺達のななめ前の席に座った。しばらくして先生がやってきて授業が始まったにもかかわらず有原さんは小声でさらに話しかけてくる。

 ノk|‘−‘)<私の言った通り、今日チョコもらえたでしょ?
 まv・_・)<まあ。。。
 ノk|‘−‘)<誰からもらったの?
 まv・_・)<まあ、いろいろ。。。
 ノk|‘−‘)<いいじゃん。私にだけ。誰にも言わないから!
 先生<そこの2人静かにしなさい!

と先生が注意すると、そうとううるさかったのか生徒全員が俺達を見ている、もちろん村上さんもだ。ただ、全員が冷ややかな目で見ているのに対し、村上だけは目つきが違う。なんか怒っているようではあるのだがどことなく悲しそうな雰囲気。注意されたあとは有原さんも静かに勉強をしはじめた。
授業が終わるとすぐに村上さんは俺の前に来ると、何も言わずにポンと机の上に箱を置いた。俺はバレンタインのプレゼントなんだろうなと思い『ありがとう』と言おうとしたが、村上さんはそれを置いたと同時に教室から出ていってしまった。

 まv・_・)<ちょっと、むらかみ!
 ノk|‘−‘)<めぐ〜!!

俺は急いでテキストをかばんにしまうと村上さんを追いかけた。
教室を出て階段を駆け下り、大きな声で彼女を呼びとめた。ロビーにはまだ生徒が何人かいてこちらを見ている。

 まv・_・)<むらかみ、ちょっといいかな?
 リ|*‘ヮ‘)|<『コクン』

俺は自転車をとりにいき、再び入口で待っていた村上さんに声をかけた。
そして自転車を押しながら、道路に沿ってまっすぐ薄暗い道を歩く。特に行き先は決めていないけど、なんとなく村上と一緒にいたかった。

 まv・_・)<さっきはありがとう。
 リ|*‘ヮ‘)|<『コクン』

塾を出てから村上さんは俺が話しかけても うなずくだけで、一言も話さなかった。

 まv・_・)<どうしたの?村上らしくないじゃん。
 リ|*‘ヮ‘)|<・・・やっぱり 私ってダメなのかなぁ。。。
 まv・_・)<え?そんなことないと思うけど。

成績も優秀で運動神経も抜群。性格だって優しくて文句の付けようがない村上がなにを言っているのか、さっぱりわからなかった。

 リ|*‘ヮ‘)|<本当はね。そのチョコわたすの迷ってたんだ。。。
        きのう栞菜からもらったんでしょ?
 まv・_・)<まあ、今朝あれだけ騒がれてたら気付くよな。
 リ|*‘ヮ‘)|<私、学校でなんども君にわたそうって思ってたんだけど、そのたびに胸がドキドキして結局無理だった。自分の気持ちも素直に伝えられないのに、君のこと本当に好きなのかな?って考えちゃったりして。でも積極的に君に話しかけてる栞菜を見てたら、自分も負けられないなっておもって。
 まv・_・)<・・・

痛いほど伝わってくる村上の気持ちに何て声をかけたらいいのか俺は言葉がでなかった。

 リ|*‘ヮ‘)|<私って変だよね?たった一言『好き』って言葉が言えないなんてw。
 まv・_・)<ねぇ村上?バレンタインに男の方から告白するって変かな?
 リ|*‘ヮ‘)|<え?
 まv・_・)<俺、村上のことがずっとずっと気になってた。
        きのうも有原から「チョコ渡す子が何人かいる」って言われたときに、村上だったらいいなぁ なんて思ったし。        
 リ|*‘ヮ‘)|<ほんと?
 まv・_・)<うん。俺は村上愛が好きです。
 リ|*‘ヮ‘)|<ありがとう。
 まv・_・)<こっちこそ告白する勇気をありがとう。
 リ|*‘ヮ‘)|<ウフフw

今日はじめて村上の笑顔を見た気がする。長時間外にいてすっかり冷えきった体も心だけは温かくなっていく。村上のおかげで。
塾から帰ると千聖はすでに寝ていた。
俺は夕飯と風呂を済ませ自分の部屋へと戻った。
そして、夕方から気になっていたあの紙袋。もう1度 中身を確認しようと箱を取り出すと箱の下にはカードらしき物が。。。

  ■++++++++++++++■
  + 千聖のおにいちゃんへ     +
  +                    +
  + また、一緒に遊んでね。     +
  +                    +
  +         愛理より      +
  ■++++++++++++++■


 まv・_・)oO○(そう言えば、去年まではよく一緒に遊んでたっけ・・・)

千聖の言う通りこの紙袋は愛理ちゃんのだった。しかも忘れていったんじゃなく、俺宛てにだった。きっとあの時、千聖にも分からないようにこっそりと俺の机の上に置いていったんだろう。だとしたら悪いことしちゃったかな。。。
愛理ちゃんとは、俺が中学校に入ってからは部活で帰りが遅かったり、休みの日は友達と遊びに行っちゃったりで、考えてみると1年近く遊んでいない。もうすぐ千聖も愛理ちゃんも中学生になるし、忙しくて一緒に遊ぶ時間もなくなってくるな。ってか中学生じゃ、もう俺なんかとは遊びたくもないか。。。
よし!春休みになったら2人をどこか遊びに連れてってあげようかな。



今年はもらったチョコは全部で7つ。
  何でも1番目指すため、いつも真剣で積極的な有原栞菜ちゃん。
  自分の意見をしっかりと持ちハプニングにも動じないしっかり者の中島早貴ちゃん。
  時々見せる弱い部分が守ってあげたいと言う気持ちにさせる矢島舞美ちゃん。
  周りの出来事を冷静に判断できるお姉さん的存在の梅田えりかちゃん。
  公園で初めて出会った不思議な魅力を持つ少女 萩原舞ちゃん。
  優しい微笑みが俺に幸せと勇気を与えてくれる村上愛ちゃん。
  予想外の大人っぽい行動にはつい心を奪われる鈴木愛理ちゃん。

みんなそれぞれの個性があって魅力的な女の子達ばかり。



   ・ ・ ・ ・ ・



 リ ・一・リ<・・・ぃちゃん。。おにいちゃんってば〜。
 まv・_・)<んんぁぁ?
 リ ・一・リ<んもぉ、ちゃんと起きてよ〜。
 まv・_・)<なに?こんな夜遅くに。
 リ ・一・リ<今年はもらえたの?
 まv・_・)<おう!ちょっと待ってろ、今から今年の成果を見せてやるから。

そう言って俺は得意げに学校でもらったチョコをかばんから出そうとするが・・・

 まv・_・)<・・・アレッ?
 リ ・一・リ<どうしたの?早く見せてよ!
 まv・_・)<いや。なんでだ?きのうは有原からもらって〜、今日は中島と矢島と梅田と〜〜〜それから千聖の友達の愛理ちゃんと、、、舞ちゃんって子と、、、あと、村上からだって。。。。
 リ ・一・リ<もぉ〜。愛理ちゃんがお兄ちゃんに渡す訳ないじゃん!
       夢でも見てたんじゃないの?

そんなはずはない。しかし部屋中探しても探しても、いっこうに見つからない。やはり夢だったのか?

 リ ・一・リ<やっぱりもらえなかったんだね!はい!千聖から。
 まv・_・)<ん?
 リ ・一・リ<あげる!
 まv・_・)<これは、、、???
 リ ・一・リ<そうだよ。バレンタインの!
 まv・_・)<あ、ありがとう。。。
 リ ・一・リ<あぁ〜〜あ。もてないおにいちゃんを持つと苦労するなぁw。
 まv・_・)<・・・
 リ ・一・リ<心配しなくていいよ。来年も千聖があげるから!

俺にチョコをくれた最後の1人、
  いつも近くにいてくれて、元気な笑顔で俺の心の満たしてくれる岡井千聖ちゃん。

 リ ・一・リ<ふゎぁ〜〜ぁ、もう寝るよ。
 まv・_・)<うん。おやすみ。
 リ ・一・リ<おやすみぃ、おにいちゃん!

千聖が部屋を出たのと同時に時計の針がぴったり0時を指す、今はもう2月15日。こうして俺の今年のバレンタインデーは終わった。


 夢でもいい。ありがとう℃-uteのみんな!!


  〜おしまい〜