アイドルと合コン      2005/11/13 新規作成
   俺は最近1年半付き合った彼女と別れたばかりだった。彼女と逢った最後の日「今日、10月2日までは君の彼女としてがんばります。だけど、明日からは普通の中学生として勉強に専念します」と言う言葉で始まった。突然別れを宣言され正直、心のそこから楽しめなかったがその日彼女と過ごした3時間ちょっとの時間はあっという間に過ぎた。別れ際に彼女は「君と過ごした1秒1秒は私の一生の思い出です。ありがとうございました」と言って笑顔で俺のもとを去っていった。最後のデートはすごく時間が経つのが早く感じたのに、それからの生活は、時間が長く感じて、何もする気がおきなくて、なんとなく過ごしていた。新しい出会いは欲しい。だけど彼女との楽しかった思い出は忘れられず、毎日彼女のことを考えてしまい、なかなか積極的にはなれなかった。

   そんな俺を見かねた友人が合コンをセッティングしてくれた。気持ちはまだ切り替わってなかったが、気が乗らないまま俺は暇つぶしで、その合コンに参加することにした。
4vs4で近くの居酒屋でお食事会。うまくいけば1vs1になれるチャンスもあるわけね。
俺以外の3人はそんな野望を持ちつつ俺たち男4人は女の子よりも早く店に入った。

   19:00

「こねえじゃん、すっぽかされたんじゃねえ?」と、BBBが言い始める
「女なんてそんなもんだよ」どうも思い通りに行かない生活に、俺はすっかり半人間不信状態になっていた。
「まあまあ、もうちっとまとうぜ」少々短気なBBBと俺をなだめるAAA。
「チッ」舌打ちをして、自分の心の弱さを省みつつもう少し待つことにした。
   すると10分後。
「おくれてごめんなさ〜い」
なんとそこに現れたのはアイドルグループ「キュート」のえりかちゃん、まいみちゃん、めぐみちゃん。
「おいおい!相手って・・・」3人を指差し友人に確認をする。
「おまえ村上愛ちゃんのファンだったよな?呼ぶの大変だったよ」
「大変なのは分るけど、何でそんなコネ持ってんだよ」
「良いから、細かいことは気にするなって、今日は舞波ちゃんのことは忘れてたのしもうぜ」
「いいやつだなーおまえー」俺はAAAの頭をぐしゃぐしゃになでて喜びと感謝の気持ちを表現した。
突然の出来事にテンパってしまった俺は彼女たちそっちのけでうっかり長話をしていた。
するとえりかちゃんが、「ごめん、今日はちさとちゃんがこれなくなっちゃって3人になっちゃった。」
「え〜!」俺たち4人一斉に声を上げる。
どうせ俺があまりものになるんだろうな、他の3人にくらべたら全然かっこよくないし・・・
いかんいかん!こんなマイナス思考だからだめなんだ。
そうこう考えていると、すでにテーブルを挟んで3vs3になっていた。
AAAはまいみちゃん、BBBはえりかちゃん、CCCはめぐみちゃん それぞれいい感じにもりあがっている。
「・・・・・」
のりおくれたかな。6人の話を耳を傾けながら俺は飲食に走った。


   およそ30分後CCCがトイレにたったので、すかさずめぐみちゃんの横に座り声をかけた。
「こんばんは!」恥ずかしげに小さい声で言う。
「こんばんはぁ」握手会を何回も経験してるだけあってめぐみちゃんのあいさつはいたって自然だった。
「めぐみちゃん。さっきからウーロン茶しか飲んでないけどお酒飲まないの?」
「あたりまえでしょ!私まだ13歳なんだから」
「カシスオレンジとかなら大丈夫でしょ?甘いし、ジュースみたいだから」拒否するめぐみちゃんをよそにカシスオレンジを注文した。
「さあ、めしあがれ。ジュースと変わんないから」
「ほんとお?・・・ゴクッ。。。。」両手でグラスを持ちオレンジ色に染まった液体の表面を見ながらめぐみちゃんは恐る恐る飲み込んだ。
「わあ!甘いけどなんかくちん中がカァッってする。これがお酒なんだー」瞳を見開きグラスを見ている。
「飲めないことはないでしょ?」
「うん。でもやっぱ私はウーロン茶のほうがいいなー」そう言ってさっきまで飲んでいたウーロン茶のグラスを手に取り、口に残ったカクテルを洗い流すようにゆっくりとウーロン茶を飲み始めた。
「君はお酒飲まないの?」
「うん。俺まだ16だから」
「ずる〜い!私だって飲んだんだから君も飲みなさい」俺にもたれ飲酒を強要する。
「俺はいいって」軽く首を振って断る。
「ダ〜メッ、飲んで!飲んで!飲んで!・・・・・」しつこいくらいに飲んで!を連発する。
「どこでそんなコール覚えてきたんだよ。未成年者の飲酒は法律で禁止されてるんだから」
「なんで?なんで?私にだけ飲ませて・・・事務所の人にばれたら私、私、」下を向き涙声になっていくめぐみちゃん。
『ビクッ』その言葉に彼女にしてしまった罪の意識が全身を貫いた。「ごめん、、、」
「じゃあ飲んでくれるよね?」めーぐるは顔を上げ笑みを浮かべ俺の目を見つめている。(うわ〜やられた〜)
「よし!俺も共犯者だ」覚悟を決めソルティドッグを注文した。
「このコップについてるのなに?」めぐみちゃんは人差し指でグラスのふちについてる粉末をさわる。
「塩だよ、SALT、だからソルティって言うんでしょ。わかんないけど」
「へぇ〜SALT5のソルト?」「そうそう」何でここでそのユニット名が?と疑問に思いつつ笑いながら返事をした。
「じゃあドッグは?」 「しらねーよ」怒り気味に返事をしたせいでめぐみちゃんは機嫌を悪くして口を尖らせた。
「ちょっとなめていい?」
「ああ」めーぐるはチロッと舌を出しゆっくりとコップに近づけた。
「うぇ〜しょっぱい」顔を震わせゆっくりとグラスから口を遠ざける。
「そりゃそうだろ」笑いながらめぐみちゃんの様子を見ている。
「ちょっとのんでいい?」
「いいけど、さっきまでウーロン茶のほうがいいって言ってなかったっけ?」俺はこのとき中澤裕子みたいな大酒飲みになるんじゃないか心配になった。
「いいの!」すでにひらきなおっていた。
「さあ、めしあがれ」さっき俺が言ったことそのまま返された。
「結構飲んだなお前」めぐみちゃんから渡されたグラスの中身はすでに半分近くまで減っていた。
「えへへっ」なんとなく満足そうに答える。
その後もめぐみちゃんはカシスオレンジとウーロン茶を交互に飲みながら結局1杯を飲み干していた。


つづく     (未成年者にアルコールを勧めてはいけません)