補欠ですが何か?      2005/10/27 新規作成
 放課後いつものようにベンチに座って俺と同じ補欠のやつとだらだらとおしゃべりをしていた。
「レオタードはええのう」「おうおう、腰に巻いたピンクの帯がぐっと来るぜー」なんておっさんじみた話し方で、体育館のステージで練習している新体操部を鑑賞するのが俺たちの日課でもあった。
「イテッ」頭に鈍い痛みが、「あんたたちまた新体操部のりさこちゃんのこと見てたんでしょ、へんたい」
後ろを振り向くとマネージャーの嗣永桃子がたっていた。
「ちげーよ!ちゃんとバスケを見てたって、なあ」
「そうそう、どうやったら俺たちもレギュラーになれるか話し合ってたんだから」
「へぇ〜、それでレオタードを着ればレギュラーになれるってことが分ったわけ?」(聞かれてるしーーー)
「いつもベンチに座ってだらだらしてるだけじゃない!少しはボールを持って練習したらどう?」
そういうと桃子は持っていたボールを俺に渡して体育館の外に出て行ってしまった。

「さ〜てと」息を吐き、立ち上がると
「なんだ?練習するのか?」
「うんにゃあ、水飲んでくる」
 俺は体育館入り口の水道に行って水を飲んだ。
そして流しの横のスペースで壁に寄りかかり携帯をいじっていた。

「また、さぼってるぅ〜」聞き覚えのある声にびっくりして急いで携帯をポケットにしまった。
「誰とメールしてるの?千奈美ちゃん?」千奈美とは俺が片思いをしている女の子、そして桃子と同じ男子バスケ部のマネージャー。
「ちがうよ。徳永さんのメアド知らないし、、」
「そうなの?もも知ってるよ、教えてあげよっか〜」噂によると、ももこは何かにつけてお金を取るらしい。ここでメアド受け取ったら催促がきつそうなので俺は断ろうとした。
「いいよ。メル友になりたかったら自分から聞くよ」
「まあまあ、そう言わずに」そう言って俺のポケットに手を突っ込み携帯を取り出した。ももこはアンテナに親指をかけ電話を開くと、
「ふ〜ん、、、なるほどねぇ」ももこは携帯と俺を交互にチラチラ見ている。『ハッ』俺は重要なことを忘れていた。それは携帯の待ち受け画面を千奈美の写真にしていたこと。俺はあわててももこから携帯を取り上げた。
「いいじゃないのぉ、私にはもうバレてるんだからぁ」再びももこは携帯を俺の手から奪いとりメアドを入力し始めた。もはや俺には奪い返す気力さえなかった。
「はい!OK!この代金はつけておくからね」(ほら、きたーーーー!)キャッチセールスのバイトでもしてんじゃねえか?あっさりとももこの手に引っかかってしまった。まあ、徳永さんのメアドGETできたからいいか。。。
「あとこれはおまけね!」ももこは携帯のレンズを自分のほうに向けてポーズをとっていた。

『カシャ』    写真を撮り終ると桃子は笑みを浮かべて携帯を俺に手渡した。
「今度はももの写真を待ち受けにしてね!じゃあね、しっかり練習しなさいよ!!」
そう言うとももこは体育館に入っていった。
俺はすぐさまさっきももこが撮っていた写真を確認した。すると、顔の前でVサインを作っている笑顔のももこが写っていた。

(ももこかぁ。。。あり、、、かな?)

 
   つづく