6BM8シングルアンプ-製作記
 真空管アンプを自作しようと思い、情報を集めていると、ちょうど「ラジオ技術」6月号で「6BM8シングルアンプ」の製作記事がありました。しかも、春日無線という通販ショップで部品一式を揃えて、キットとして販売しているということでした。
 早速、注文。部品はすぐに届き、「さあ、組み立てよう」と箱を開けると、中身は、穴の開いていないシャーシ、トランス、抵抗、コンデンサなどでした。
 私は、実体配線図に従って簡単に組み立て、半田付けだけすれば良いものだと思い込んでいたので、大変なショックでした。50歳代半ばの私が、シャーシに穴をあけるなんて、そんな根性はいまさらない、また、実体配線図もなく、どうやって回路図を一つ一つ追いかけろというのだ。半分あきらめかけました。

「真空管アンプで聞く音楽は、温かみがある」なんて記事を思い出すと、やはりウズウズしてきます。面倒くさいが、一念発起、シャーシの穴あけをはじめることにしました。しかし、送られてきたシャーシは、たしか「タカチ」というメーカーのとても小さいものでした。
 「こんな小さなシャーシの中に組み立てるなんて無理だ」と思い、30年位前に購入したアルミのシャーシを使うことにしました。ところどころ錆が出ていたので、歯磨き粉とサンドペーパーで磨き上げました。ドリルとヤスリで、穴あけをすること半日、正味3時間くらいかかりました。

 「さあ、半田付けだ!」。久しぶりに半田ごてを使ったので、最初は、どうも半田がうまく載らなかったのですが、30分ほどで、かなりうまくできるようになりました。半田付け作業は、回路図を大まかに実態配線図として一度、紙に書き落とす作業もあり、3時間ほどの作業が2回になりました。

 各ポイントの電圧を測ると正常な値を示していたので、早速、壊れても良いような裸の小さなスピーカにつないで、音を出してみました。ちゃんと鳴っています。
 今度は、半端もののコンポのスピーカにつないで音を出してみました。「このスピーカからこんなにいい音が出るのか」という位のすばらしい音で鳴っています。これで大丈夫ということで、自分のメインのスピーカに接続し、SnnnyRollinsを聞いてみました。すごく良い音で鳴っています。
 出力は、2W程なのに、とても力強く、柔らかい音が出ます。早速、ブルックスのモカをいれて自分に乾杯しました。