走れ蒼き稲妻!! ヤマハIT200補完計画

 

From 2007・6月


IT200って知ってる?

今の時代IT200と聞いて「あ〜アレね」とすぐ解る人はあんまりいないでしょうね。解るのは80年代半ば以前からオフロードバイクに乗っている我々中年ライダーぐらいなもんだと思う(一部マニアを除く)。ハギーズルームHPに出入りしている皆様の中にもはっきりと認識できる人は当然少ないわけです。そこでまずは「IT200はこんなバイクだ!!」という説明からはいりましょう。



ヤマハIT200(84〜87)

空冷2ストローク200cc。ヨーロッパのオフロードレースを主眼に作られたITシリーズの最終型。83年まで作られたIT175の発展型として登場したIT200はロングストロークのフロントサスにシリーズ初のディスクブレーキを装着。リヤは83年型175から始まったリンク式モノクロスサスを装備(リヤブレーキはドラム)ヤマハのトライアル車TY175のエンジンを200ccにアップした空冷2ストロークのエンジンは排気デバイスなぞ無いシンプルで軽量なエンジン。
クローズドされたコースを走るモトクロッサー
YZシリーズに対して公道やバックカントリーでの走行とレースを意識して灯火類の設定された車体は純レーサーながら公道走行が可能で当時国内正式販売をしていなかったもののショップ単位で逆輸入された車両が購入可能だった。


エンジン

チャンバー側

何と言っても今では特徴的に感じる空冷2ストロークのエンジン。
この時代の特徴的な形状である大きくくびれたチャンバー。レーサーらしくボルトロックではなくスプリングロックである。

エンジン前から
エンジン左側

トライアル車TY175がベースのエンジンなので超コンパクトなエンジンASSY。とにかく軽いのだ。当時のモトクロッサーYZシリーズにはすでに採用されていた排気ディバイスYPVSITシリーズにはまだ採用されていなかった。この「空冷・2スト・ディバイス無し」には確固たる理由があって当時ヨーロッパで主流であったISDEのようなロングスタンスのエンデューロシーンでメンテナンスの容易さや故障の予防という観点から極力シンプルなエンジンを必要としていたからなのであります。


車体

車体全体をジックリ観察していると気がつくと思うのだが、主要機関が全て(跨って)右側に集約されているのである。チャンバー・ブレーキ・駆動系、皆右側なのだ。

スイングアーム

今ではまず見られないチェーンラインとブレーキラインが同一の側にある()。リヤのドラムブレーキはタイコ部分が上に開いていてクイックリリースが可能スイングアームのアクセルシャフト通過部はセミオープンになっていてシャフトを入れたままリヤホイールが脱着可能。この辺は当時レーサーのみの構造だった。

IT200の顔

顔は1988年にDT200R(3ET)が登場するまでエンデューロマシンオンリーだったこの顔。灯火類は「点けばよいのだ」という観点が主流だったので6ボルト設定()。まぁバッテリーの小さい事()。

燃料タンクは時代を感じるおむすび型。空冷なので当然ラジエターシュラウドなんてありません。レーサーらしく樹脂製ですよ。フォークブーツとシートは渋くブラック。外装カラーは
ITカラーとも呼ばれた水色、当時このブルーに憧れた諸先輩も少なくなかったでしょう。うひょ〜!! カッコイイ〜!! 

まぁどうのこうの言ってももう20年近く前のマシンです。当然純正新品部品なぞ少なく、維持に苦労しそうですが、個人的にも色々思い入れのある車種なのでジックリマッタリこれから車種の保存に精を出すの事になりそうです。