をもとめて5000キロ!!

第4話

 〜満腹の夜は更けて


9月21日(金) 休日

 シュラフの中で頭痛のため目が覚めた。
昨夜のことを思い返すが、どうも最後の方が思い出せない。記憶がなくなるほど飲んだのは久しぶりだった。
しばらく頭痛で動けないでいると何人かが出発していった。天気は久しぶりに青空が広がり気持ちがいい。天気予報を見ていると大雪山の旭岳で初冠雪ですといっている。ゲロゲロである。
今日の行き先を考えるが、どうにも走るのがめんどくさい気分なので走りはお休みにして、ここで連泊して徒歩で帯広市内を観光する事にした。

 RHを後にして、しばらくぶらぶらと市内を彷徨っていたが、これといったものがないので映画『千と千尋の神隠し』を見ることにし、たまたま放置自転車を調べていた警察官に映画館の場所を聞くと何件か教えてくれた。
とりあえず近いほうへ行ってみるが、見たい映画ではないので次のところに行くと、それは上映していたが始まるまでに1時間ほど時間がある。近くにあったデパートで時間を潰すことにして店内に入る。
まずはエスカレーターに乗り各フロアーをざっと見るが、やはり衣料品や装飾品を見ていても面白くないので地下にある食料品売り場に行く。いい臭いの中、美味そうな物をあれこれと見ているとあっという間に1時間がたった。
 
 映画館に戻り券を買って入場すると、平日にもかかわらず小学生が多いのには驚いた。また、小さい子供を連れた若い夫婦もいる。子供が途中でぐずらなければいいなと思ったが、予想通りぐずりだしたのには正直いってまいったが、全体的にガラガラに空いていたのでのんびりと映画鑑賞を楽しむことができた。

 映画が終わると少し遅い昼食を取ることにする。メニューはもちろん 帯広といえば「豚丼」である。豚丼といえば元祖豚丼の「ぱんちょう」らしいので、その店に行き店内に入ってビックリ!!凄い混みようだ。
ライダーや一般の旅行客で満員御礼状態、しかしタイミングよく6人テーブルが空き、そこに案内される。豚丼の竹と味噌汁を注文する。(ここは豚肉の量で松・竹・梅とランク別けされている)
しばらくするとお姉さんライダーが2人やって来て相席となった。おぉ〜ラッキー!
「どこから来たんですか?」などとお決まりのセリフで会話を始めるが、少し会話をしたところで、連れの男性が来て自分達の世界に入ってしまい、また1人になる。まぁ人生なんてこんなものと自分に言い聞かせていると、豚丼が運ばれてきた。

 こんちくしょうって感じでその豚丼を一気に食べる。豚肉は柔らかくて美味しい。この店がこれだけ混んでいるのも納得できる。さすが元祖である。
しかし、豚丼(竹)一杯950円である。日本全国的には牛丼が一杯280円だ。いつの間に牛より豚の方が偉くなったのだろうか?なんてくだらないことを考えつつ会計を済まし、いったんRHに戻ることにする。

 RHに帰ると、昨夜の料理でガスコンロのガスを使い切ってしまったので買いに行くことにし、バイクを道に出そうと押すと「バキッ〜 バリバリ〜」となにやら嫌な音がフロントからする。見てみるとFブレーキローターに取り付けた盗難防止用のディスクロックがカーボン製のFフェンダーを破壊していたのである。まったくもって、しおしおのパ〜である。普段は付けない物をたまに使ったのが失敗だった。トホホ・・・

 気持ちを入れ替えてホームセンターを探しに出発するが、いくら走ってもホームセンターは出てこない。
そのうち国道沿いに銃砲店を発見し、興味があったので寄ってみる。バイクを店の前に止め店内に入ってショーウインドーを見るとクレー射撃用の散弾銃は数が少ないが狩猟用の散弾銃やライフルは沢山ある。やはり土地柄だな〜なんて思っていると、店の人が出てきたので、北海道の射撃事情などを聞いてしばし雑談をし、店を後にした。
再び走り出すがホームセンターは見つからない。しょうがないので帯広駅まで戻り交番で場所を確認すると、まったく逆方向だった。

 ホームセンターに無事到着しガスボンベを探すがなぜか置いていない。たまたま近くにアルペンがあったのでそこに行きガスボンベを1つ買い外に出ると、日は沈んでしまっていた。走り出すと風が昨日とはぜんぜん違っていた。初雪の影響か刺すように冷たくなっているのだ。明日からが思いやられる。

 RHに帰ると前の歩道はバイクと自転車だらけで、俺のバイクを置くところがない。しかたなく少し離れたところにバイクを置き部屋に戻ると、これまた人だらけである。連泊者は俺を含めて4名、ライダーが愛媛からのアベックを含め4名、チャリダーが4名(内1人が女の子)の12名が今夜のメンバーだが、昨夜のように料理を作っての宴会は調理器具が人数に対応しきれないので中止することにし、連泊4人組は近くにある長崎屋に閉店間際の半額セールを狙って買出しに出撃した。

 半額セールのおかげで夕食は豪勢にも寿司にありつくことができた。夕食を済ませると温泉に行き身体を温める。

後はみんなで雑談して楽しい夜の一時を過ごしたのである。


9月22日(土) 再会

 朝早くチャリダー達の出発準備の音で目が覚める。
昨夜の話だと自転車は午前中にどれだけ進めるかが勝負とのこと。午後には疲労から集中力が落ちペースも落ちるからだそうだ。そんな彼らの出発準備をシュラフの中から眺める。準備が終わると彼らは静かに出発していった。

 しばらくシュラフの中でウトウトした後、なんとなく起きていつものようにボーッとし、熱いコーヒーを入れ眠気をとりつつ、寝ぼけ眼で地図を見て今日の目的地を考える。とりあえず支笏湖方面を目指すことにした。

 準備を済ますとみんなに挨拶をして出発する。R38を清水まで行き、そこからR274に入ってしばらく走ると清水ドライブインを見つけ、朝食を食べるために寄ってみる。少し時間が早かったのでレストランが営業しているか心配だったが、やっていたので店内に入り窓際の日が当たる暖かいところに座る。ここは「牛トロ丼」が名物だ。しかし、朝からそれはきつそうだし、連日のニュースは狂牛病を伝えているので少し迷うが、当たって砕けろ精神で「牛トロ丼」を注文する。

 客がほとんどいなかったので、それはすぐに運ばれてきた。見ると温かいどんぶりご飯の上にハムの輪切り状のものが載っていた。写真で見たやつとなんだか雰囲気が違うが食べてみる。シャリッとした歯ごたえに「えぇ〜 凍ってるよ〜」と声には出さずに叫ぶ!
しょうがないのでご飯の熱で溶けるのを待つことにした。やがて溶けてくると写真と同じ様相になってきたので一気に食べる。不思議な食感で美味しいが、凍っていたのが残念である。

 食べ終わってバイクに戻ると、またもや団体旅行のおやじ達がバイクの周りを囲んでいて質問攻撃をしてくる、毎度のことだがこの時が一番疲れるのである。しばらくしてバスの出発時間がくるとおやじ達は一斉にいなくなり、俺もスタートする。

 日勝峠を過ぎR274をひたすら走ると日高あたりで雨が降り出す。その時タイミングよく道の駅「樹海ロード日高」があったのでとりあえず避難する。しばらく様子をみたが雨は止みそうもないので、走り出すことにしてバイクに戻りカッパを着ていると、昨夜RHで一緒だった愛媛のアベックライダーがいたのでこれかの予定を話していたら、「こんにちはー」と元気な声が聞こえてくる。振り向くと16日の晩に中川のキャンプ場で一緒だった、これまた大阪のアベックライダーがいた。

 この時、アベック2組に囲まれ俺はうらやましいモードになっていく自分を感じたのである。その時、大阪の2人がキャンプ場ならともかく道の駅で再会するのはめずらしいから記念に写真を撮りましょう言う。なんだか林家ペー、パー子夫婦のようでおかしい。
彼らと2度目の記念写真を撮り終わると愛媛の2人の姿が見えなくなっていた。

 大阪の2人は食事をするというので、また偶然の再会を約束してバイクを進めることにする。雨の中をひたすらR274を西に向かい、途中でR234に入り苫小牧に進路をとる。やがて雨は夕張を過ぎ、千歳市に入るころには止んだ。苫小牧市内にはいるとR276で支笏湖に向かうと、予想よりだいぶ早く目的の支笏湖に到着したので、もう少し足を伸ばして洞爺湖まで行くことにした。

 R276で美笛峠を過ぎると道の駅「フォーレスト276大滝」が出てきたので、ここで昼食を食べることにする。食堂に行くと年配の団体が食券の自動販売機と悪戦苦闘をしていてまだまだ時間がかかりそうだったので、土産物売り場を眺めてからここの名物である1億円のトイレに行き用をたす。さすが金の掛かっているトイレだけのことはあってすごく広くて綺麗である。設備もすごい。トイレの入口にグランドピアノが置いてあるところなんて初めてだ!

 食堂に戻るとすんなりと食券を買う事ができた。今回は無難なハンバーグカレーにした。これなら凍っていることは絶対にないだろうから・・・
食事を済ませるとすぐに出発する。R276からR453で陽があるうちに洞爺湖に到着。

滝の上林野弘済会キャンプ場で一泊することにして受け付けをすると9月末まで毎日夜9時ごろに15分間湖畔で花火を打ち上げていることと、それが見えるポイントを教えてくれる。ついでに近くの温泉についても情報を仕入れ、花火が見えるポイントにテントを設営すると、いつのまにか日は暮れていた。

 温泉に行くためにバイクを走らせるが寒くて帰りが心配になる。温泉はバイクで5分ぐらいかかると聞いたが10分走っても着かない。どうやら道を間違えたらしい。少し戻ってコンビニで聞くことにするが、こういう時に限って大勢客がいて店員は忙しくてパニック寸前、とても道を聞ける状態ではない。しかたないので近くにいた婆さんに聞くと今俺が引き返してきた道を教えてくれる。まったく???である。
バイクに戻って「さて困ったな〜」と考えていると中年のおばさんが俺のところにきて「今のお婆さんの説明じゃぁ絶対に着けないわよ」と言って正しい道を教えてくれた。聞けば確かに全然違う道だ。おまけに「なんだったら、私の車に着いてくれば温泉まで行ってあげる」とまで言ってくれる。説明で道はわかったので先導は断った。それにしてもなんて親切なんだろうと感激しちゃう俺であった。

 無事、温泉につくと熱い湯で骨の芯まで温まる。風呂上りには冷たいビールを飲み休憩室でテレビを見ながら横になると、いつのまにか寝ていた。

 目が覚め壁の時計を見ると8時45分だ。やばい花火が始まってしまうと、大急ぎでキャンプ場に戻ると、案の定花火は始まっていたのであった。花火を見ながら夕食を作るがガスコンロの調子が悪く苦労する。おまけに寒くてたまらない。

やっと食事ができた時には花火は終わっていた。


9月23日(日) 再会 パート2
 洞爺湖畔の朝は、のんびりと過ぎていく
日の出と共に目を覚ます。
いつものようにコーヒーを沸かしパンを食べ、荷造りをして出発。とりあえず前回見落とした有珠山の噴火後を見物することにする。
5分ぐらい走ると噴火口が見える場所に着き、あまりにも街中にあることに驚く。泥流の後もすさまじく多くの建物が当時のまま放置されていてその脇で地元の人が観光客に噴火当時の説明をしている。ひとしきり見てから、今度は山の反対側にある噴火口を見るためバイクを走らせる。10分ぐらいで到着すると、観光バスが沢山きておりすっかり観光スポットになっているようだ。
 バイクを駐車場に置き、受け付けをして噴火口までの遊歩道を歩いていると、隣なりにどこかの団体旅行の若いバスガイドさんが歩いていたので、この噴火口のことをいろいろと聞き個人的にガイドをしてもらうが頂上に着くとバスガイドさんは本来の仕事に戻ったので、また1人寂しく観光をするのであった。
 有珠山噴火の泥流で破壊された建物

バイクに戻ると地図を広げこれからの行き先を考え函館方面にするか、積丹方面に行くか迷う。結局、残りの時間と予算から函館方面はパスして積丹方面へ。

 R230を札幌方面に進み、留寿都村で道道66号でニセコを目指す。途中、真狩村に入ると「細川たかし記念像」の標識が出てくる。面白そうなので寄ってみる。

 そこは川沿いの綺麗に整備された公園に「細川たかし」の銅像があるのであった。しかもその銅像の横にはスイッチがあり、それを操作すると銅像が、ヒット曲を歌ってくれる仕組みになっている。
 俺が「北酒場」をリクエストして細川君に歌ってもらっていると、7台ほどのバイクの集団がやってきて少し離れた駐車場に止まった。しばらくしてそのライダー達が銅像のところにやって来た。男4人、女3人である。女性は3人とも美人である。すごくうらやましいと思って見ていると、向こうの男性が1人、俺のほうをじっと見ている。その顔はなんだか見たような気がしたので「こんにちは〜」と声を掛けると、その男性が「確か、はたのにいませんでしたか?」と聞いてきた。一瞬「???」と思ったが、記憶をたどると15日に泊まった紋別のRHのことだった。これではっきりした。
 彼は雨で紋別のRHに避難していた札幌のライダー2人組の1人だったのだ。よく見るともう1人の人も一緒だった。3人で再会したことを驚いていると、他のメンバーに俺を紹介してくれた。こうなると話もしやすくなる。とりあえずニセコ方面の温泉情報を聞くと一人の女性が「鯉川温泉の露天風呂がいいですよ」と教えてくれた。
 俺は地図を出して場所を確認しようと「どの辺ですかね?」と彼女に聞き返すと、彼女は地図を覗き込んで「今がここで、ここが昆布温泉だからこの道をこう行って・・・」と細かく教えてくれる。俺も地図を覗き込み地図の上を滑る彼女の指先を追った。
一通りの説明が終わったところで彼女を見ると、息が掛かるぐらいの至近距離で目が合い彼女がニコッと微笑む!
 年甲斐もなく、なんだかドキドキしちゃう純情な俺であった。
その後も2人で出身地やバイクの話をして、つかの間の楽しい時間を過ごしたのである。

 彼女達と別れ出発の準備をしているとハーレーに乗ったおやじ集団がやってきて、またもや質問攻めにあう。しかし、このおやじ集団はハーレーに乗っているだけのことはあり、今までのどのおやじ達よりも難しい質問をしてきて手強かった。ほんとにどうしてこうもBMWはおやじにモテモテなんだろうか?
おやじ達が満足して立ち去ったところで、彼女から聞いた温泉目指して出発する。丁寧な説明のおかげで、道に迷うことなく目的地に着いた。

 鯉川温泉旅館に一歩足を入れると、なんだか懐かしい雰囲気に時間の流れが遅いような錯覚にとらわれる。入浴料を支払い古びた廊下を歩いて浴室に行き温泉に入る。軽く屋内の湯船で温まってから、露天風呂に移動する。ここの露天風呂は滝を見ながら入れるのが売りだ。

青空の下、滝を見ながら静かな山間の温泉でのんびり過ごしている時が、身体も心も癒される最高の時間だ。

 美人なお姉さんのお勧めの鯉川温泉の露天風呂

 満足したところで出発する事にした。次の目的地も新見温泉という温泉だ。ここは混浴の露天風呂があるらしい。途中、国道沿いのラーメン屋で昼食をとるが、なぜか北海道に来てからは決まって塩ラーメン&ライスを注文する。どうやら【北海道=塩ラーメン】と方程式が俺の中で出来てしまったようだ。

 新見温泉に着くと入口に張り紙がしてある。「本日、団体予約で貸切になっておりますので、日帰り入浴はお断りいたします。」 ありゃ〜である。

 しかたないので今日の野営地の倶知安にある旭ケ丘公園キャンプ場へ.......

 九十九折れの道を自分のペースで気持ちよく流し、途中で神仙沼を見物して目的のキャンプ場に着くと、すぐにテントを設営して、しばらく休息する。天気がいいので目の前の羊蹄山がはっきり見え景色がいい。キャンプ場ではボーイスカウトの少年・少女達が楽しそうに夕食の準備をしている。
日が沈むころ、倶知安の町へ出かけ、食材を仕入れる。キャンプ場に戻り夕食を作って食べ、その後奈良から来た人とキャンプ場の情報交換をひとしきり話す。

夜が更けたところでテントに戻り眠りにつく。


9月24日(月) 満腹の夜

 ボーイスカウトの少年達の声で目が覚める。
どうやら朝食の準備をしているらしい。テントから外に出ると肌寒く、羊蹄山は雲に隠れていた。
今日のルートを決めているとそろそろ旅の終わりを感じる。そして、いつもの朝食をとり出発する。

 R276で岩内に行き、市場で「たらこ丼」を食べる。これまた美味い。
その後、R229で積丹半島を海沿いに走り積丹岬(島武意海岸)を目指す。空は曇っていて風が強く寒い。強風のため所々で波が道路にまで達していて怖い。直撃を受けたらコケそうだ。
いつものように津軽海峡冬景色を歌いながら走っていると「←神威岬」と標識が出てきたが寒いからパスする。道道913に入るとすぐに島武意海岸に着く。
 駐車場にバイクを止めヘルメットを脱ぐと、バイクが1台やってきて俺の隣なりに止まり「オートバイここでいいんですか?」と女性ライダーが聞いてくる。よくわからないけど「ええ、ここで大丈夫です。」と適当に答え足元を見ると白い文字で【バス】と書いてある。確かに白線のわくがバスのサイズだ。ありゃりゃ〜である。

 結局、バイクはそのままそこに置いてふたりで展望台まで話しながら歩いていく。彼女は大阪から北海道の高校に行っている息子さんの学園祭を見に来たついでにツーリングをしているそうだ。何でも今日は息子とタンデムで来る予定だったがふられちゃったとのこと。
とても高校生の子供がいるように見えない素敵なお母さんだ。展望台についてからも仕事や旅の話をして、記念写真を撮ると来た道を戻ることにした。
 駐車場に着くと2人一緒に記念写真を撮り、出発準備をする。別れ際に「キャンプ場で会った人たちと、みんなで食べてください。」と言ってプルーンを1パックくれた。ありがたくそれを受け取ると、彼女とは反対方向に向かって出発したのである。

R229で余市町に出ると道の駅「スペースアップルよいち」で休憩する。この町は宇宙飛行士の毛利さんの出身地だそうで、温泉の屋根にスペースシャトルが乗っかっていたりして面白い。
 今度はR5で小樽に向かい出発すると、雨が降り出すがすぐに止みそうなのでカッパは着ないで走る。小樽に入ると想像どうり雨は止んだ。

 小樽市内を通り過ぎ、今日の野営地である朝里川温泉に行きキャンプ場を探すが見つからない。しばらく走り回っているとそれらしい場所を見つけた。しかしであるロケーションが最低である。キャンプ場は狭く周囲は温泉宿やレンタルログハウスに囲まれていて、なんだか世田谷の住宅街あたりの小さな公園のようだ。

 とてもテントを張る気にはならないので別の場所に行くことにして、地図で小樽近辺のキャンプ場を探すが近くに温泉があるところがない。しかたないのでキャンプ場以外の適当なところで野営することにして、来た道を戻ることにした。そして地名はわからないがテントを張れそうな海岸を発見する。そこはシーズンオフの海水浴場である。砂の上は寝心地いいけど、波の音ってうるさいしなぁ….と迷っていると野良猫がやって来て俺のそばでじーっとしていて、その姿がかわいい。そういえば「寒い時は猫をテントに入れると暖かいよ」と昨日、倶知安で会った奈良県の人が言っていたことを思い出した。今夜は温かく眠れるかなと思ったが、周りを見ると野良猫の数がどんどん増えてくる。
 そのうち子猫がFフェンダーにガリガリ爪を立てて登る始末。こりゃ〜ダメだと思い別の場所を探すことにする。

 道端で地図を見ていたらよってきた猫の偵察隊

 しばらく野営場所を求めて走っていると、またもや雨が降ってきた。そういえば今夜の天気予報は雨だったことを思い出した。そんな時、いいタイミングでRH「おしょろ」を発見した。日没まで時間もないので今日はここに泊めてもらう事にする。

 1階の薄暗く人気のない食堂に入り「すみませーん」と声を掛けると、厨房からおばちゃんが出てきたので、「今夜、一泊お願いしたいんですけど」と言うと厨房にいる人に何か確認してから「いいですよ 部屋は2階ね うちは夕食と朝食が付くから料金は2380円で明日の朝でいいから」と言う。
買い出しをしていないので食事付きは大変ありがたい。

 バイクから荷物を降ろして部屋に運び込むと部屋の隅に布団が積んである。久しぶりに布団で眠れると思うとすごく嬉しい。
荷物を運び終え1階の食堂奥にある座敷に行くと4人ほど男性がいた。1人は車で来ている大学生であとの3人は近くの工事現場関係者とのこと。聞くところによると、この人たちは、昼間はここで寝て、夜現場に行っているそうだ。

 暇なので、過去ここに泊まった人達のメッセージが書かれた宿帳を読んで夕食の時間になるのを待つ。その宿帳を読んでいると夕食がすごいと書いている人が大勢いるので期待が膨らむ。そうしている間にもライダーが次々とやってくる。外の雨はだんだん強くなっていく。

 午後7時。夕食の仕度が出来たといわれて食堂に行くとテーブル一杯に料理が並べられていた。その量に一同は素直に驚く。バイク4名、自動車1名、働く人3名の計8名が、席につき食事を始めるとおばちゃんがまだこっちにあるからね〜とカウンターから料理を運んでくるが、テーブルには乗り切らない。しかも、どの料理を食べても、まじで美味い!やがて厨房からオーナーのおっちゃんが出てきて「ご飯 おかわりしてよ〜」と言う、正直おかずだけでもきついが無理しておかわりをお願いした。

 しかしこれが失敗だった。なんとご飯が一杯目の倍の量だ。おかわりしたからには、残すわけにはいかないと思い必死に食べる。何とかご飯は食べ切ることが出来たが、おかずがまだ残っている。周りの人達も必死に食べているが次々にギブアップしていく.........
おじちゃんは、無理しなくてもいいからと言ってくれるが、出された物を残すのが嫌な俺は無心に食べつづけたが、最終的にギブアップしたのである。そして食後はしばらく動けなかったのは言うまでもない。

 少し腹がこなれてきたところでお風呂に行こうとしたが、月曜日は近くの銭湯か休みとのこと、温泉はバイクでしばらく走ると行けるらしいが、雨の中を走るのはいやなのであきらめてテレビを見て時間を潰すことにした。しばらくすると、おっちゃんが焼酎を持ってやって来て酒盛りが始まった。

 テレビでは巨人×ヤクルト戦をやっていて、ジャイアンツファンのおっちゃんは巨人の誰かが打つとおおはしゃぎで、逆にアンチ巨人のおばちゃんはヤクルトが打つと喜んでいる。そんなアットホームな雰囲気の中での酒盛りも、楽しいものだ。それに今夜を一緒に過ごす奴らも面白いのが多くて楽しい。夜も更けてくると自然と酒盛りも終わり、みんなは2階の部屋に戻り寝る準備をする。
そんな時、俺は昼間もらったプルーンのことを思い出しみんなで食べたのである。

美味しかった。


9月25日(火) 最後のキャンプ

 朝6時45分 おばちゃんの吹く起床ラッパで起こされる。一同、意外な起こされ方に驚きを隠せない。
といっても、昨夜の夕食の後に明日の朝食は7時からで、その10分前に起こしに行くからそれまでは起きないで寝ててちょうだいと言われていたので起こされる事は承知していたが、まさかラッパとは誰も考えなかったようだ。

 1階の食堂に行くと、すでに例の工事関係者3人が仕事を終えて朝食を食べていた。
俺たちも席につくとさっそく朝食を食べる。メニューはトースト、スープ、サラダ、卵焼きなど一般的なもので、さすがに夕食ほどの量はないがそれでもけっこうボリュームはある。今日は朝から満腹で出発できる。
朝食を終えると荷物をまとめ出発する。おじちゃん、おばちゃん、工事の人3名が手を振って見送ってくれる。空は曇っているけど、なんだか嬉しい気持ちだ!

 旅の終わりにやっと青空が....

 小樽市内に入ると少し寄り道して市内観光をする。港に行ってみるとロシア語の看板が多く目に付きロシア人も大勢いた。岸壁に停泊している船はロシアの船が多くなんとなく異国情緒が漂う。
 小樽観光を簡単に済ませると、R5で札幌に向かうが、あっという間に札幌市内に入り道に迷う。しばらく適当に走っていたら時計台が見えてきたので、地図で道を確認する。今日は札幌の隣なりにある江別市の森林キャンプ場で野営の予定だ。

 R12で江別市をめざす。途中で昼になったので簡単に昼食を済ませるためマクドナルドに入る。そこでお昼休み中のOL2人組がいたので、綺麗な方を選んで現在地を聞いてみたら一瞬ビックリしたようだが親切に教えてくれた。が、もう1人は汚いものをみる目で俺を見ていた。やっぱり綺麗なお姉さんに聞いてよかったと思うのであった。

 キャンプ場に着き受付を済ませテントを設営していると、隣りのテントのおじさんがやって来たのでしばらく雑談し、いろいろな情報をもらう。おじさんは定年退職して時間があるので4月から自転車でのんびり北海道を回っているそうだ。これまたすごい人だ。

 まだまだ夕方までは時間があるので、テント設営が終わると荷物を置いて周辺を走ってみることにする。しばらく宛てもなく走っていると予想通り道に迷うが、適当に走っていたらR12に出たので、さっきおじさんから聞いた食料品市場で安く食材を仕入れキャンプ場に戻り、今度は連泊しているライダー達に近くの銭湯の場所を聞きそこに行く。
 
 旅の汚れを落とし、じゅうぶんに骨の芯まで温まったところでキャンプ場に戻り夕食を作る。今夜はちょっと豪勢に焼肉にした。しかし調理中にまたしてもコンロが不調になり火力が安定しない。何とかごまかしごまかし使ってどうにか焼肉を焼き終え、少し寒いがビールを飲みながら夕食を食べる。空は綺麗な星空だ。明日は天気がよさそうだ。

 食後はテントに入ってこれからのことを考える。当初の予定より約2週間もオーバーして予算も残り少ない。ガスコンロも不調、雨ばかりで寒いし、防寒装備が不十分で走るのにも日がたつに連れ辛くなっていく。
まだ行きたいところはあるが、出した答えは、明日の昼間に札幌市内を観光して、夜に苫小牧発のフェリーに乗って帰ること。

もっといろいろな人に出会ってもっと沢山の話がしたいと思いつつシュラフに入る....... 


9月26日(水) フェリー埠頭........

 なんだか足元が冷たくて目を覚ました。
テントの中がビショビショでシュラフも濡れている。どうやら結露のようだ。
でも空は雲一つない晴天で気持ちがいい。
濡れたシュラフや荷物を干しながら朝食を食べ、荷物を大雑把にまとめる。青空の下、北海道に上陸してからのことを振り返っていると、大勢の人の顔が目に浮かぶ。天気には恵まれなかったが、人には恵まれたいい旅だったと思う。

 荷物をテントの中に押し込み、バイクに火を入れR12を走る。30分も走ると札幌市内に入った。しばらく市内を走り回りバイクを置けそうな場所を探すが、いい場所には必ず先客がいる。やっと停められそうな場所を見つけバイクを置き、市内観光を始める。

 時計台や旧道庁の赤レンガなどを見物し、大通公園で鳩と遊びボケ老人と化す。満足したところでラーメン横丁に行き空腹を満たし、札幌駅近辺で買い物をする。そして、フェリーの予約を電話で取り、キャンプ場に戻ったのである。

 キャンプ場に着くと、とりあえずビールを飲みのんびりくつろぐ。日が傾いてきたところでテントをたたみ荷造りをして、ここで世話になった人たちに挨拶をして苫小牧に向け走り出す。
フェリーは午後11時45分出港で翌日27日の午後7時45分に大洗着の予定だ。途中フェリーの中で食べる食料とビールを大量に買い込み、フェリー埠頭に8時を少し過ぎた頃に着く、まだ乗船まで時間があるので苫小牧市内で食事をすることにするが、ほとんどの店が閉まっていた。しかたなく国道沿いのファミレスで夕食を、じっくり時間を掛けて食べる。

 食事を済ませると、フェリー埠頭に戻り乗船手続きをする。やがて乗船開始の時間が来て、係員の指示に従いバイクを進める。フェリーの腹底にバイクを入れ、食料とわずかな荷物を持って船室に行く。今回乗ったフェリーは普通の2等がなく、多少割高な2等寝台だったが、結果的には寝台の方がのんびり出来てよかった。

出港時間。ゆっくりと静かにフェリーは岸壁を離れていった.........


9月27日(木) 旅の終わりに.......

 窓がなく外の日が差し込まない寝台だったが、朝になると自然と目が覚める。
コーヒーを飲むため給湯器のある場所へ行き、そこでいつもと同じようにコーヒーとパンで簡単な朝食を済ませ、船内の探検をして午前中の時間をつぶす。出来れば映画「タイタニック」のように船首で綺麗なお姉さんと風を切ってみたいと思ったが、そんなお姉さんはいないし、船首は関係者以外立ち入り禁止である。

 その後、甲板で昼食を食べビールを飲みダラダラした後、風呂に入る。もちろん風呂上りにもビールは欠かせない。ほとんどアルコール漬け状態である。その後もすることがないのでひたすらビールを飲んでいると遂に在庫がなくなった。気がつけばもう夕方である。

 午後6時半ぐらいにフェリーは大洗港に入港し接岸の作業が始まる。それを甲板からのんびりと眺めているとバイクや車の運転手は下船の準備をしてくださいとアナウンスが流れたので、荷物をまとめバイクに戻り下船の順番を待つ。まだ酔いが全然抜けないのでフェリー内の滑りやすそうな甲板が怖い。コケたら恥ずかしそうだ。
コケることなく無事、大洗港へ上陸すると、常磐自動車道〜首都高〜東名高速で横浜町田ICまで一気に走り、勝手知ったいつもの道で自宅に向かう。この旅の終わりである。

寂しいが、次への旅に思いを馳せるのであった。。

 夜。到着の大洗港....遂に旅の終わりである


愛をもとめて5000キロ(弱) の 決 算 報 告

支 出 項 目 費       用
食     費 42,000円
酒     代  10,000円
宿代、温泉入浴料 20,000円
高速、フェリー代 32,600円
ガ ソ リ ン代 35,000円
そ  の  他 15,000円
合     計 154,600円

全走行距離 : 4872km

消費ガソリン量 : 289.3L

平 均 燃 費 : 16.8km/L