身重の妻もなんのその長野・岐阜方面紅葉見物ソロツーリング

ソロで泊まりのツーリングに出るのは実に1年ぶりである。自称ソロツーリストの私としてはかなりのブランクに感じる日数である。そのせいか旅を始めた頃のように何日か前から仕事中にもソワソワしだす始末で夜は地図を肴に酒が飲めちゃうのである。 ソロで泊まりのツーリングに出るのは実に1年ぶりである。


1日目  旅の始めは朝風呂から

元々の予定では前日の夜から走り始めるつもりだったのだが、雨で取りやめ、午前3時半に出発早朝といってもまだ夜だ。中央高速で長野の松本インターまで走る。途中、大月あたりで霧雨に降られたが甲府盆地あたりで止んだ。曇り空のためか夜はゆっくりねっとりと明けてきた。松本インターからまずは乗鞍高原へ、朝イチねらいの乗鞍スカイラインは残念ながら10月いっぱいで冬季閉鎖だ。早すぎるよなぁ、最初の目的地がいきなり走行不能になってしまったが、よくあることだ気にしない気にしない「それなら朝風呂だ」と思い、乗鞍高原に昔からある無料露天風呂『せせらぎの湯』を目指す。私が19歳の時に初めてソロツーリングに出た時に出会ったライダーに教えてもらった思い出の湯だ。当時は簡素な脱衣所に素朴な檜の湯船(混浴)だったが最近リニューアルしたようで、ログ調の小奇麗な脱衣所と男女別の露天風呂になっていた。まあいいや、時間は朝8時。他に客はおらず、ややぬるめの湯にのんびりと浸かる。別に急ぐ旅でもない。


燃える山々

乗鞍から上高地乗鞍林道A区間の景色はカラ松が黄色に色づき、山のひとつひとつが全て黄色に色づいてまさに「燃える山々」のようだ。続く月夜沢林道は昨夜の雨で道は川のように水が流れているが思いのほか走りやすい。ダートが続き紅葉の中を気持ち良く流して出口の開田高原へ、旧R361の地蔵峠を越えて上松町の赤沢自然休養林へ。赤沢渓谷は紅葉もさることながら渓谷の見事さは特筆もので、一見の価値アリだが終点の駐車場が有料なので止まらずにUターン。


開田高原

赤沢自然休養林から再び開田高原へ、木曽御嶽山は残念ながら雲の中だが高原の農村風景が続く県道20号線はビックリするくらい紅葉がきれいで気分の良いルートだ。
開田と言えば蕎麦だ。この時期は新蕎麦粉の季節だし時間もちょうど昼時なので蕎麦屋へと足が向く、県道20号とR361の交差点の近くにある「高原食堂」は地物のソバ粉でうった蕎麦がおいしいとの評判を友人から聞いており、入ってみることにする。ザル蕎麦大盛り1300円を注文した。大盛りはザルが3枚という見事なボリュームで蕎麦は田舎蕎麦系の幅不揃いの短めだ。噛むと口の中で蕎麦の香りが広がり喉越しも良く美味な蕎麦だった。
長野の岐阜の県境になる長峰峠はひっそりとした静かな峠で古そうな茶屋が一軒ある。敷地内には純血の木曽馬が1頭繋がれていた。ゴメキチに「開田で蕎麦粉を買ってきてくれ」と頼まれていたのを思い出し茶屋のおばあさんに「蕎麦粉は売っていますか?」と聞くとなんと店でうつ手打ち蕎麦用の蕎麦粉を袋に入れて売ってくれた。ありがとうございます。


郡上八幡へ

長峰峠から濁河温泉方面の県道に入るが霧が深くたちこめ紅葉はあまり見ることができなかった。そのまま萩原町に下りて馬瀬村・明宝村と走りつないで郡上八幡へ。
町に着いたのは午後4時半ごろ。街中は観光客や学生で混雑していたので市内散策は翌日の朝にして夕食の買出しを済ませ、長良川と吉田川の合流する町の前の河原にテントを張った。


『週刊ゴング』で夕食を作る方法

テントを張りさっそくビールをグビリとやり良い気分で川面を眺める私の好きな時間。
「さてボチボチ夕食の雑煮でも作るべえ」なんて思い、長い付き合いのガソリンバーナーMSRウイスパーライトを出し組み立てるが、ジョイント部がしっくりこないのであれこれといじくっていたら、ふいにジョイント部のOリングがピョ〜ンと飛んでいって足元の砂の中に消えてしまった。夕闇の中さんざん探したが結局見つからなかった。試しにOリング無しでバルブを開けたらジョイント部からガソリンがダバダバと溢れてきてしまい火を点けるどころの騒ぎではなくなってしまった。つまり使用不能というわけである。
まずい・・このままでは夕食が食べられなくなってしまう!(笑)
そこで思いだしたのが昔読んだ野田知佑氏の著書の中で「砂でカマドを作り飯盒を置きその下で読み終わった文庫本を一枚づつ燃やしていきご飯を炊いた」の一節だ。[そうだ!あれだ!]というわけでさっそく実行。文庫本はまだ読んでいないので、ザックの中の背あて用に入れていた「週刊ゴング」を引っ張りだし(私はプロレスマニア)1ページづつ切りそれをねじって薪の様にして、小石で作ったカマドの下に入れていく、カラーページは燃やすと臭いので白黒ページのみを燃やしていくと見事夕食の雑煮は完成したのであった。先人の知恵は偉大だ(笑)
無事夕食を終え、「明日は固形燃料でも買うか」なんて考えていたら、ふと気がついた。目の前の町で固形燃料を買ってくれば済む問題だったのである(笑)チャンチャン♪


2日目 郡上八幡

朝霧の漂うまだ静かな早朝の町を散策してみる。郡上八幡は山に囲まれた「水の町」だ。
長良川が脇を流れその支流の吉田川とそのまた支流の小駄良川が町の中心を悠々と流れている。町のいたるところから湧水が湧きでており、家の軒下に水路が引かれていて、歩いていると常に水の音が聞こえている印象がある。その湧水の代表格が「宗祇水」で水筒に入れ持ち帰った。
朝霧も晴れてきたので町を囲む小高い山の上の八幡城に行くと町が一望できた。

山から山へ・川から川へ・町から町へ・・

実を言うと、昨晩から出発の時までこの先海に行くか山を走りつなぐか悩んでいたのだが今回は山をとった。郡上八幡からR256を走り木曽方面へ、R256はいわゆる田舎山道の国道。通過する小さな町には旧い家屋や町並みが存在し小さな峠を越えるたびに道は小さな川筋の脇を沿う様に走っている。私がカヌーイストだからかもしれないが、道沿いの川をじっくり見る癖がある。同じように見えてその川その川で川相が違うのだ。水系も違っていてそれぞれが別の大河に流れていくのである。

  

R256から大平街道・大平峠へ。峠には斉藤茂吉の歌碑が建っていて中央アルプスの山々の眺めが良い、峠の茶屋で昼食におでんを食し、飯田市を抜けて南アルプスへ突入。こうなると山のはしごである。南アルプスの山々が一望できる「しらびそ峠」へ。何回か来た事があるけどいつも雲の中だった。展望が良かったのは今回が初めてだ。峠から南信濃村方面に下って行くと下栗という集落を通過するのだが、

ここがすごいのだ。すごい急斜面に家々がまさしくへばりつく様に数十件の集落を形成しているのである。それが山のかなり上部にあるのでそこから見下ろす風景は壮観である。ちなみに地図を見ると「日本のチロル」」記してあるがチロルってチロルチョコぐらいしか知らないので、よくわからない(笑)


心の向くまま・・

南信濃村の食料品店で夕食の買出しをしてからヒョー越え峠を越えて天竜スーパー林道へ、もう日が沈み遠くの山が暁に染まっている。いつもならもうテントを張ってビールでも飲んでいる時間だがまだ止まる気にならず、林道を抜けて気田川まで行こうと決めた。理由は無いけどそんな気になった、走ろう、心の向くままに・・
すっかりダートの短くなった天竜スーパー林道はすっかり夕闇の中だ、遠くに街の灯りが見える。ゆるいコーナーを抜けると目の前に鹿の群れがいたのでビックリ、少し走るとまた鹿だ。今度は山側から駆け降りてきてあやうくぶつかりそうになった。林道で怖いのはマイカーと鹿なのだ(笑)。
一本杉の分岐から春野町方面に曲がって下りて行くとそこはいつもカヌーをしていておなじみの気田川だった。


気田川河原旅館

前々からカヌーで川下りをしていて目をつけていた河原にテントを張り夕食の準備。昼間にホームセンターに寄って固形燃料を物色すると、よく旅館の食事の時にでてくる一人鍋用の固形燃料が売っていた(1袋5ヶ入り190円を3袋購入)まずテント用のアルミペグを四方に打ちその上に角アミを置き下で固形燃料を燃やせば立派なコンロの完成だ(笑)小さな燃料も3コ使えば中々の火力だ。アミの片方でコッヘェルで雑煮(また)を作り、もう片方で初日に飛騨で買った飛騨名物「ホウ葉味噌」を焼く、乾燥したホウ葉の上に味噌と肉やキノコなどをのせてコンロで焼くのが「ホウ葉味噌」だ、中々美味です。固形燃料で一人鍋のようなホウ葉味噌を焼いて食べ、酒を飲んでいると旅館に泊まっているような気分だ。星空の下、気田川河原旅館の夜は更けていった。 

    

3日目 茶畑ロード

気田川沿いのR362を大井川沿いの中川根方面へ。
気田川は天竜川水系なのだが、一山越えればもう大井川だ。気田川沿いの春野町や大井川沿いの中川根・本川根は有数の茶所。道の両脇は山の上まで茶畑が並んでおり、それが延々と続いている、大井川を上流に向かって走るが観光客のマイカーが続々と入っていく寸又峡方面には行かずにR362を静岡市方面に進む、峠を越えるとそこは「日本のチロル」に負けず劣らずの集落に出る。このあたりの国道は山道狭道なので私の好きな道だ。3連休の最終日は高速道路が混みそうなので早めに帰ろうと思っていたのでそのまま、国道1号線に出て清水インターから東名高速に乗り我が家のある神奈川県厚木市へ。


後記

とにかく「走りたいだけ走った」というのがまず一番の感触だった今回の旅でした。
私はバイクで走りながら見る「流れゆく景色」というのが大好きです。
後記で色々と思い、考えている事をうまく言葉で言い表せないもどかしさが常にあるのです。だいたいいつも日本酒かバーボンを一杯やりながらレポートを書いているのですが、うまく言い表せずにうだうだしているうちに酒がまわっておしまいなんです(笑)これ書いている今もその状態なんです。今日はもう書けません。でもまた駆けます。
それから、今回のルートを考えるにあたって色々と資料を提供していただいた「赤鬼ちゃん」ありがとうございます。たいへん参考になりました。