春の南アルプス1周原付ツーリング


2002年4月28日〜29日

【旅の始まりはトラブルから】

今回の相棒はCRM80です

恒例のGWツーリングを目前に控え、愛車テネレ号はFフォークのオイル漏れに続きバッテリートラブルまで起きてしまった。イコール出発不可である。ええい!それならば!とゴメキチのCRM80を拝借しての旅路となったのである。当初テネレ660で行こうと考えていた南アルプス1周、1泊2日コースは排気量約1/8のCRM80ではいささかツラそうである。しかし行きたい・・(笑)ならばやるだけやってみようという、いささか無謀の匂いのするツーリングは幕を開けたのである。


4月28日(日)晴れのち曇り

【たしかに日頃の行いは悪い】

最近のソロツーリングとしては多少ゆっくりめ?の朝5時に自宅を出発。
国道20号に出て甲府方面に進む、勝沼まで約2時間で到着。若干尻の痛くなるのが早いことを除けば充分に快調なペースである。甲府に入ったあたりで早めの給油。いくらビックタンクを付けているとはいえそれでも容量は9リットル程度、加えて重い大男が乗車し、減らしたつもりでもキャンプ道具一式積載である。
130キロ程度で予備タンクになるので100キロ走行程度で給油していくのが理想である。さて出発とその時に最初の悲劇は突然起こった。スタンド内をUターンしようとしてアクセルを開けると水を撒いたスタンドの床は簡単にグリップを失いCRMは大きくテールスライドしボテっと転倒してしまった(爆)
もうテレ隠しに笑うしかない。赤面しながらゲラゲラ笑うが店員はクールに次の車に行ってしまった。
くそ!!返って恥ずかしいじゃないか。しかしこれが全ての序章だったという事など、この時はまだ知る由もなかった。


            甘利山

    

新緑の精進ヶ滝林道を走る

      路肩はドカンと落ちていた


気を取り直して20号を進み、韮崎からいよいよ南アルプス山麓に突入である。
エイエイと甘利山の登りを進んで行くが非力な80CCではやはりツライ(笑)加えて標高1300メートルあたりから恒例の高山病が出始め、更に登坂を辛いものにしていく。
息も絶え絶えに登って行くとやっと頂上の駐車場である。軽く一息入れ、ここから始まる林道小字沢線を下って行く。大分舗装が進んだがまだガレ気味のダートは所々に健在で、鳥居峠を経て青木鉱泉に立ち寄り、御座石林道と進む。

精進ヶ滝林道の入り口に「路面崩落により通行止め」との看板があったがとりあえず進行してみる。しばらく放置されていたのか路面は細かい落石や流石などで荒れ放題の状態、落石を避けながら進むと道が大きく崩落した場所に出た。しかし単車1台進める幅は問題無くあったので慎重に進み無事通過。
そのまま尾白川方面に進み白州町で再び国道20号に出て「道の駅はくしゅう」で休憩を取った。コーヒーを飲んでいるとホンダ・ディグリーが来た。ライダー氏(以降T山氏)と話をすると何泊かの予定で信州近辺を走るのだという、本日の予定はまだ決めていないとの事で伊那まで私と同行する事になった。富士見町から現在関東近県では有数のダート地帯である入笠山へ、住宅地を抜け金沢林道に入る。

若干砂利の浮いた路面ながらも走りやすく、CRM80でも気持ち良く走れる。と、リヤタイヤが妙な感覚・・もしや・・やはりパンクである。何故私はかようにパンクばかりするのであろうか? 私は仲間内から「パンク男」の異名が付くぐらいパンクが多いのである(爆)今回もバッチリ太い針金が刺さっていた。

      今回もパンクしました(笑)
   

T山氏にパンクの旨を伝えその場で修理を始める。

T山「手伝いましょうか?」
私「大丈夫です慣れてますから」
T山「予備チューブ持っているんですね」
私「はい慣れてますから」
T山「修理早いですね」
私「はい慣れてますから」とこんな会話をしながら20分弱で修理完了である。

金沢林道からの展望

町道高嶺線


パンクした事など得意の鳥頭ですぐ忘れ(笑)展望の良い林道を気持ち良く走り金沢峠に出た。
続いて町道高嶺線に進む。こちらは更にフラットな路面になり途中から土質のグリップの良い路面になる。若干ワダチがあるがラインをちゃんと選べば問題無しで好天も重なって快適そのものである。
CRM80もビンビン!!と元気に走ってくれた。

【伊那のローメン】

これがローメンだ!!

萬里本店はこんなお店


気持ちよく林道を走り終えると、ちょうどお昼時である。
今回の旅の目的のひとつに「伊那でローメンを食べる」というのがあり、一路伊那市へ。市内を探索すると目的の店である「萬里本店」はすぐに見つかった。ここはテネレ仲間おすすめ?の店である。

さして広くない店内は少々薄暗く、奥の棚にはコブラやアルマジロ、更に虎の○ ニス(爆)などを漬けた焼酎の瓶か並んでいて、妖しいムード万点である。

T山氏と私はいささか怯みつつもローメンと餃子を注文した。しばらくすると、ローメンと餃子が到着、我々の目の前に置かれたローメンは、長崎ちゃんぽんに似た麺にスープが張ってあり、具はマトン肉とキャベツである
(※ちなみにローメンはスープ型と焼きソバ型の2タイプあり、ここはスープタイプ)いっしょに店員のお姉さんが「ローメンの食べ方」なる紙を置いていった)

目を通してみると、そもそもローメンという食べ物は自分で味を作っていくのが基本らしい。
まずはとりあえず味付けせずにスープを飲んでみると具であるマトン肉の味がしみているがやはり多少味の足りない感じである。続いて紙の指示通りにソースや酢・おろしにんにく・ゴマ油等で味付けをし、食べてみる。最初の感想は「意外とウマイじゃん」でした(笑)調子よく完食させていただきました。
問題は「おいしい」と思える味付け具合をいかに最後まで持続させられるか・・でしょう(笑)
ここにローメン常連への高い壁が存在すると見た!
噂通りのディープな食べ物でした。そうそう忘れてはいけません、餃子もおいしかったです。ボリューム満点で味も良しです、萬里本店に行く時はぜひご賞味あれ。

【秋葉街道を進む】

ディグリーT山氏と萬里本店の前で別れ、再び山道に突入。
県道210号を走り、折草峠を経て小渋湖を通り大鹿村へ、国道152号に入り進むと地蔵峠から道は蛇洞沢林道へと移る。この付近の秋葉街道と呼ばれるこの国道はまだ完全に完成しておらず、途中在来の林道をパイプ道として使用しているのだ。林道も数年前までダートだったが現在は全舗装である。途中しらびそ高原に至る道との分岐に出るがCRM80では登りのキツイこの道を進むのは辛いので国道方面に下って行き、南信濃村で休憩をする。

伊那で給油したCRM80ではあるが、このまま次の目的である天竜スーパー林道を給油無しで走るのはいささか厳しい感じである。
幸いにして大鹿村‐上村‐南信濃村とここまで問題なくガソリンスタンドは開いているので距離的にも次の水窪町で給油するのがちょうど良いであろうとバイクを走らせた。

【悪夢のガス欠】

水窪町のガソリンスタンドは開いているだろうという私の読みは見事に外れ、行く先々のGSは揃って沈黙を守っている。
CRM80は、すでに予備タンク。呆然としながらも地図上でGSの多い方向に進むが、全てが休み。そうこうしていると遂に恐れていたガス欠に陥ってしまった。
ビックタンクのテネレ号に体が慣れてしまっていたのであろうか。今思えば不覚極まりない事である。ガックリと肩を落としてトボトボとバイクを押す私にジョギング中の地元のオジサンが声をかけてくれた。
オジサンの話だと先程通過した閉店中のGSは隣の家に声をかければ給油してくれるとの事である。九死に一生を得たとはまさしくこの事であろう。
今さっき惰性で降りた道を必死で押し上げ、往復約1.5キロ程の行程を押し歩き、そのGSに到着。
無事給油してもらったのである。いやはや・・まいった(爆) 

そんなこんなで時刻はすでにPM6時を回っていた。山里のしかも休日の食料品店は6時を過ぎると見事に閉まり始め、夕食の買出しをする事ができない。
ヘッドライトの暗いCRM80で夜の天竜スーパー林道を走る事はとても危険なので、残念ながら断念した。結局この日のキャンプ予定地である静岡県春野町の気田川に到着したのはPM7時の少し前。かろうじて開いていた食料品店で酒と食料を買い自宅のごめきちに電話をしていると、店はガラガラとシャッターを閉めてしまった。うひゃあギリギリだったんですねぇ(笑)

【気田川の河原キャンプ】

ここ春野町を流れる気田川はカヌーで何回も訪れている私の大好きなキャンプ地である。
何も無理にここまで走ってくる必要など無かったのだが、できればこの河原でキャンプがしたかったのである。関東近県で有数の澄んだ水の流れ、適度に広く開放的で綺麗な河原、眼の前に広がる山と山村の風景、そして豊富な流木。そのどれもが私の心を魅了して離さないのである(笑)

気田川の大きな木の下の河原で焚き火キャンプ

時間はすでに7時を回りすっかり暗くなってしまったが、ここは勝手知ったる気田川である。
枝が屋根のように大きく広がる大木の下の河原にテントを張った。今回からテントをスノーピークの「ランドブリーズ・ソロ」にしたのだが、軽いし設営も簡単だし、意外と中が広いので結構満足の行く新居である。
お約束のレトルトカレーで空腹を満たし、適当な流木を拾い集めて焚き火を始める。

カレーの外箱と少量のテッシュで流木は苦も無く紅炎を身にまとわせた。流木の焚き火を囲む至福の時間。それを肴に飲む酒は正に至福の味。今日起きた様々なトラブルなど焚き火にくべてしまおう。
本日の走行距離約400キロ、尻の痛みは簡単にひいてはくれない。

4月29日(月)晴れ

【静岡茶畑ロード】


中川根町の茶畑の中の道(R362)

朝から天気も良く申し分無い。
大木の下にテントを張ったおかげで露もほとんど付いていないので撤収が楽だ。
国道362号を気田川に沿って進み、峠を越えると中川根町に出る。
あたりは一面茶畑の緑が続く。すでに新茶の摘み取りを始めているので町の物産店で新茶を土産に購入した。
当初のルート設定では、梅ヶ島温泉から峠を越えるルートか井川雨畑林道を通る予定でいたが、梅ヶ島の先のルートは先日のT山氏の情報で冬期閉鎖中。

残る井川雨畑林道ルートはよく通行止めになる道だ。引き返した場合の時間のロスと燃料の余裕度を考えると今回はリスクが大きいと判断し断念。
静岡市に降りて国道1号から富士川沿いに国道52号を進むルートにした。茶畑を眺めながら国道362号を静岡市街に進み国道1号に入り清水市街を抜けると目前に蒼い海が広がった。

身延山久遠寺】

清水市から国道52号にルートを変え、富士川沿いにしばらく進むと日蓮宗総本山の身延山久遠寺に着く。
意外にも観光客の姿は少なく、それではと久遠寺に寄ってみる。立派な正門をくぐって石畳参道を進むと目前に延々と延びる急勾配の階段が現れた。
しかも1段1段が結構な高さなのだ(笑)思わずひるんでしまったが、引き返すのもなんなので登ってみるが途中で少し後悔した(爆)
久遠寺といえば境内の枝垂れ桜が有名だが、この時期は当然葉桜である。

身延山久遠寺の正門

適当に散策して再び階段を降り、かいた汗を引かせたくて、そそくさとバイクを走らせる。
下部温泉の食堂で昼食に蕎麦を食べ、本栖湖へと道を登って行く。

本栖湖畔にて、残念ながら富士山は先っちょだけ


【山の中の1杯のコーヒー】

本栖湖畔に出ると目の前には富士山の展望だが、あいにく雲が被り、山頂が少し見える程度。
それでも天気は良いので上機嫌で湖畔を走る。
1000ccクラスのロードバイクが轟音を響かせて何台も自分を抜いて行くがこちらは原付、追いすがる術も無くただマイペースで走るのみ、どちらも爽快であろう。

連休中という事もあり、富士吉田から山中湖に至る道は予想通りの渋滞模様だ。
そこで国道139号を都留市方面に進み、県道24号・都留道志線を通って道志へ。途中「おいしいコーヒーが飲みたいなぁ〜」なんて考えていると目の前に突如「COFFEE」の看板が現れた。
ここは道志の山の中、あまりに突然の出現に驚きつつもその看板の入り口に入ってみた。
駐車場にバイクを止めると感じの良い御主人が出迎えてくれた。

目の前にはモダンな建物、横には数種のバイクが置かれたガレージ。御主人に話を聞くと造成から建築まで全て自分で行ったとの事で更にビックリ、完成まで約6年の歳月がかかったとの事です。
その建物は基本的にギャラリーらしく、喫茶としてコーヒーや紅茶、ハーブティーなどが飲めるようになっていて、私はテラスでコーヒーを飲ませてもらった。木陰から見える丹沢の山々を眺めながら飲むコーヒーは格別の味でした。
以後この1杯の心地良い気分に浸りながら道志を走り帰路につくのであった。

 


今回は「南アルプス1周ツーリング」がしたいという願望が強くCRM80を使用するには少々無理のあるコースになり、尻の痛さは筆舌に尽くし難い事となってしまいました。
原付でのツーリングは別記に述べた通り余裕のあるコース設定の方が楽しいと確認した旅となりました。
はい