文豪ゲー帝のペンに踊らされる方々(19)…ゲー帝の筆の赴くままに、無意識に小説内の役を演じてしまうタケル達とバカラ達。
◆ ◆ ◆
― ぎらぎらと照りつける灼熱の太陽と、青々と生い茂った密林。 ―
へいはちろう(タケル) 「今日も相変わらず暑くなりそうですね、お嬢様」
令嬢(ポーチ) 「へいはちろう、ここは熱帯のジャングルなんだから暑いのは当たり前でしょ。ね、お父様」
国王(ゼウス) 「む、その通りじゃ、娘よ。やすべえ、お宝はこのジャングルの中に、隠されておるのじゃな!」
やすべえ(カンジー) 「は、はい国王、間違いありません。」
― とある国の国王とその令嬢は、国王に忠誠を誓う側近、「へいはちろう」と「やすべえ」に護衛されながら、ジャングルに隠された秘宝を追い求めてやってきたのだ。 ―
王子(ピンゾロイド) 「(バカラに向かって)うまのすけ、奴等は何処に行ったゾロ?」
(自分の口から勝手に出た言葉ですぐに異変に気づくピンゾロイド。)
ピンゾロイド 「あれ!?」
(バカラ、怒って何かを言おうとするも、声にならない。)
妃(ダンディーラー) 「王子の質問に答えなさい!うまのすけ!」
うまのすけ(バカラ) 「すいません、お后様。奴等はあそこです、王子様。」
バカラ 「ギギギギギギギ…。」
王子 「うまのすけ、奴等を倒せゾロ。」
(バカラ、ピンゾロイドをにらみつけるが、何もできず)
妃 「な〜にぼーっとつっ立ってんのよ!」
(バカラ、ダンディーラーにも同様)
妃 「お前がやらないんなら、(うまのすけを蹴って武器を取る)あたしがやってやる!お宝は、あたし達のものよ〜!」
へいはちろう達 「うわぁ!(驚いて逃げようとする)」
うまのすけ 「止めてください、お后様。」
(妃の行動を制しようとするうまのすけ。)
妃 「はなしなさい。」
(へいはちろう達、立ち止まる。)
国王 「へいはちろう、今じゃ!」
へいはちろう 「はい、国王!」
(剣を構えるへいはちろう。しかしそこに令嬢がすがりつく。)
令嬢 「お願い、へいはちろう。うまのすけさんだけは助けてあげて!」
へいはちろう 「お、お嬢様!?」
令嬢 「あたし、うまのすけさんを、愛してるの!」
へいはちろう 「えーっ!?」
(そこへ、1人走って向かって来るうまのすけ。)
うまのすけ 「はなこさ〜ん。は、は、は、はなこさぁ〜〜ん。」
令嬢(以下はなこ) 「は、は〜〜〜い。」
(強引に引かれるように、うまのすけの方へ向かっていくはなこ。)
うまのすけ 「は…な、こさーん。」
はなこ 「うま…の、すけさ〜〜ん。」
― 「うまのすけ」と「はなこ」は、我が身に降りかかった運命に逆らって、密かに、恋に落ちていたのだった。 ―
うまのすけ 「は…な…こ」
はなこ 「うま…」
(手を取り合う2人。)
ポーチ 「げ、な、何で!?」
(はなこと踊るうまのすけ。)
うまのすけ 「た、タリラ、タリラ〜〜、タリラリラ〜〜。」
バカラ 「あ〜、止めてくれ〜〜!」
― 一同が見守る中、うまのすけとはなこは、あつい、あついキッスを交わすのである。 ―
バカラ&ポーチ 「!!(ゲッ、という顔をする2人。)」
― うっとりと見つめ合う2人…。そっと目を閉じる「はなこ」…。 ―
(ポーチ、必死に抵抗する。ゲー帝もエスカレート。)
ゲー帝 「そっと目を閉じるはなこ〜!」
― 「うまのすけ」の唇が、「はなこ」のそれへと重なってゆく…「うまのすけ」の唇が、「はなこ」のそれへと近づいていくぅ〜〜〜! ―
ポーチ 「そ、それだけは…いや〜!!」
(悲鳴をあげたポーチの強い拒否により、ゲー帝の筆がそれる。)
ゲー帝 「いくら抵抗しても無駄だぞ、はなこぉ!」
― 「うまのすけ」の唇が、「はなこ」のそれに重なろうとしたとき、感極まった「はなこ」が、「うまのすけ」に想いのたけを、ぶちまけた〜〜! ―
はなこ 「うまのすけさ〜〜ん!すき!(バシ!)」
(何故かハリセンでうまのすけをひっぱたくはなこ。)
ポーチ 「フフ。」
(二ヤリとするポーチ。)
はなこ 「すき!(バシ!)すき!(バシ!)すき〜〜!(バシ!)」
(味をしめたように、ひたすらハリセンでひっぱたきまくるはなこ。)
― しかし、「はなこ」の愛情表現は、「うまのすけ」には、通じはしなかった。 ―
うまのすけ 「何するんですか、はなこさん!」
はなこ 「え?」
うまのすけ 「僕はこんなにもはなこさんのことを愛しているっていうのに!」
はなこ 「あたしだって〜!」
うまのすけ 「嘘だ!あなたは最初から遊びだったんだ!」
はなこ 「ひどい、ひどすぎるわ〜!」
国王 「うまのすけ、わしのかわいい娘になんてこと言うんじゃ。」
やすべえ 「お嬢様、こんな男はほっといて、一刻も早くお宝を探しに参りましょう!」
へいはちろう 「お宝の在処はあっちです、さあ!」
(はなこを抱きかかえて走り去るへいはちろう。)
◆ ◆ ◆
(ゲー帝が疲れて筆の手を休めたので一時中断。)
◆ ◆ ◆
へいはちろう 「国王、お宝の在処は、ここです。」
(帽子から取りだした地図を広げ、指し示すへいはちろう。)
やすべえ 「この森を抜けるとすぐですね。」
へいはちろう 「急ぎましょう、国王。」
国王 「うむ。」
― そこへ、行く手を阻む敵陣の登場だ。 ―
うまのすけ 「お宝は、お前達にはわたさん!」
妃 「なにぼーっとしてんのよ、うまのすけ!攻撃よ!」
うまのすけ 「…イエッサー!」
(毎回恒例のバカラの肩書き紹介。)
― うまのすけが悪魔誕生装置を動かすと、装置の中から、放火魔人が出現。 ―
(放火魔人によって辺りが火の海に包まれる。)
へいはちろう達 「あち〜!」
― へいはちろう、放火魔人に一瞥をくれると、剣を抜く!―
へいはちろう 「むっ!おりゃ!」
― 雄叫びを上げると、火の海に突っ込んでいくへいはちろう! ―
タケル 「俺熱いのやだよぉ…。」
ゲー帝 「そうはいかんぞへいはちろう…果敢に火の海に飛び込んでこそ、読者は心打たれ、感動の涙を流すのだぁ!」
― へいはちろう、火の海に向かってダーッシュ! ―
へいはちろう 「あちち、あついって…たぁーっ!」
(放火魔人に突っ込んでいくへいはちろう)
へいはちろう 「あち〜!」
放火魔人 「あついわ〜ん。」
(放火魔人とともに火だるまになって川へ飛び込むへいはちろう。)
― 一難去ってまた一難、炎の次は氷責めだ〜〜〜っ! ―
(夏鬼ゴーリラが現れて、川を凍らせる。)
へいはちろう&放火魔人 「ちめた〜い。」
(一方でお宝獲得のために向かう王子達)
王子 「お宝は俺達のものだ」
妃 「うまのすけ、急いで」
うまのすけ 「イエッサー!」
(2人を乗せて、自転車をこぎまくるうまのすけ。)
― しかし、へいはちろうはくじけはしなかった。渾身の力を込めて、氷を砕くのであ〜る! ―
へいはちろう 「うりゃぁ〜!」
(閉じ込められている氷から自力で脱出するへいはちろう。)
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(王子と妃の見守る中、お宝のあるとおぼしき地面をせっせと掘るうまのすけ。)
うまのすけ 「よいせ、よいせ、よいせ、ん?」
(スコップが何かに当たる。)
うまのすけ 「みつかりました〜!」
(掘り出した箱を地上に持ってくる。)
妃 「お宝はこの中なのね。」
(しかし、そこへ現れるへいはちろう。)
へいはちろう 「ちょっと待ったぁ!」
(その一方で、火の海から逃げて、地中を素手で異常な速さで掘り進む「はなこ」と「やすべえ」の姿。)
(うまのすけVSへいはちろう。)
うまのすけ 「おのれ〜(スコップを構えて向かっていく。)。」
へいはちろう 「やあ〜!(剣を構えて向かっていく。)」
(スコップと剣がぶつかり合う。)
(うまのすけの力におされ気味のへいはちろう。)
うまのすけ 「そろそろかんねんしろ、小僧〜。」
ゲー帝 「そうはいくか〜、正義は、勝つんだぁ!」
へいはちろう 「く、く、く、く、く、おりゃ!」
(掛け声とともにうまのすけをはねのけるへいはちろう。)
うまのすけ 「あ〜やられたぁ〜!」
(跳ね飛ばされたうまのすけ、妃と王子にぶつかり、3人とも掘った穴へ落ちる。)
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(箱を目の前にするへいはちろう達。)
へいはちろう 「硬くて開きません。」
はなこ 「カギがかかってるんじゃないの、へいはちろう?」
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(ゲー帝が箱の中身が思いつくことができずに中断。)
(思案の上、箱の中身を「次界卵」に決定。)
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(箱を開けるへいはちろう達。箱の中から強烈な光が。)
へいはちろう 「わあ、まぶしくてなんにも見えないよ!」
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(再び中断。次界卵を知らないので、それを実体化することができないゲー帝。結局、今までの原稿はボツとして破り捨てられてしまう。)
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