ダンディーラーとバカラの出逢い(32)…タケルの行動に、ダンディーラーがバカラとの出逢いを回想するシーン。
◆ ◆ ◆
怪我をしているダンディーラー、タケル達を見つけ、身を瓦礫のかげに隠している。
ダンディーラー 「少年の居場所を、一刻も早くバカラ様にお伝えしなければ。ゆけ!スペードのエース!(トランプのカードを投げる。)」
カードは宙で真っ二つにされ、現れたアズールの剣がダンディーラーの目の前に突き出される。
アズール 「残念だったな。」
ダンディーラー、タケル達の前に突き出される。
タケル 「あいつは!」
アズール 「敵の気配にも気づかぬとは、相変わらず隙だらけだな。」
タケル 「アズール!」
ポーチ 「アズール様!」
アズール 「タケル、お前にはまだまだ強くなってもらわなきゃ困るんだ。その天源核とともにな。」
タケル 「!」
アズール、ダンディーラーに剣を向ける。
タケル 「何をする気だ!」
アズール 「お前の敵は俺にとっても邪魔者。だから、斬る!」
タケル 「よせ!」
アズール 「何故かばう!?こいつは魔守。お前の敵だぞ!」
タケル 「だって怪我してるじゃんか!」
ダンディーラー 「!」
タケルとアズール、にらみ合いがしばらく続く。
アズール 「…わかったよ、その情けが、お前の命取りにならないことを祈ってるぜ。」
アズール、カオスの中へ去っていく。
ポーチ 「待って、アズール!」
カンジー 「ダメですよ、ポーチさん。」
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ダンディーラーの傷の手当てをするタケル。
カンジー 「でも、本当にいいんでしょうか。バカラの仲間を助けたりして。」
タケル 「よ〜し。」
タケル、薬草をすりつぶしたものをダンディーラーの傷口に塗る。
タケル 「ちょっとしみるけど我慢しろよな。」
タケル、いつも自分の腕に巻いてある布をとり、包帯代わりに巻く。
ダンディーラー 「お前…フッ…甘いな…。」
タケル 「え…?」
ダンディーラー 「その甘さ、そっくりだ…。」
◆ ◆ ◆
ダンディーラーの回想。
悪魔達が集まる酒場のステージ上で1人歌う歌姫ダンディーラー。会話ばかりしていて、彼女の歌をまともには聴いてはいない模様の客達。
― ダンディーラーの歌より ―
混沌(カオス)の海を いくつ越えれば 乾くのかしら 心の涙
混沌の海は 魔術師(マジシャン)のよう そっと開くわ 心の扉
あたしは漂う木の葉のように あたしはさまよう闇の中
どこまでも どこまでも おちてゆく ああ
氷のように 冷たくて 炎のように この身を焦がす
混沌に全てをゆだねるわ
あなたに巡り会う その日まで
愛を取り戻す その日まで
◆ ◆ ◆
閉店時間となり、客が帰って、暗く、静まり返った店内のステージ上に1人たたずむダンディーラー。
バーで1人お酒を飲むダンディーラー。空のグラスを見つめる。
ダンディーラー 「ったく、ダメよね…あたしって。才能、ないんだもん…。ねえ!(グラスを挙げてお酒を求める)」
マスター、静かに首を振る。
ダンディーラー 「いいじゃないのよ、もう一杯ぐらい…。今日はあたしの、引退記念日なのよ!」
数席となりでジョッキを飲み干しているバカラと、ピンゾロイド1号。
バカラ 「ぷはあ…。いいねえ、カルシウムは。あんたの歌と同じぐらい、心にしみるぜ。」
ダンディーラー、バカラの方を見る。
ピンゾロイド 「あ、カリスマデビル様ピン!」
TVに出ている人の言葉 「いつまで、同じ悪魔同士が戦えば気が済むのでしょうか!?今こそ、カリスマデビル様の元に、一致団結すべき時です!」
バカラ 「そうだ、その通り!さすがカリスマデビル様!いいぞ!」
ピンゾロイド 「ピピピン!」
ダンディーラー、バカラの姿に見とれる。
◆ ◆ ◆
場面は変わり、戦車のような形の悪魔達が街を襲う。避難を始める住民の悪魔達。その中にダンディーラーもいる。
バカラは悪魔達を自分のガスベラスに非難させている。
バカラ 「早くしろ!乗るんだ!さ、早く!早く!」
転んで泣いている子供を見つけ、引き返すダンディーラー。
ダンディーラー 「大丈夫?」
子供を抱えて走るダンディーラー。しかし、悪魔の攻撃で倒れてきたビルの外壁の下敷きになりそうになる。
それをすんでのところで支える男。
バカラ 「危なかったな…。」
ダンディーラー 「ありがとう…!」
酒場で出逢った男であると気づくダンディーラー。
バカラ 「うおりゃ!とう!(外壁を敵の悪魔達に投げつける。)」
ダンディーラーと子供を抱えるバカラ。
バカラ 「行くぜ。」
走るバカラ。しかしガスベラスは発進してしまっていた。崖に追いつめられ、バカラは崖から飛び降りる。
バカラ 「ピンゾロ!」
ピンゾロイド 「ほいきた、ピピン!」
バカラ 「よっしゃ!」
バカラ、ガスベラスから伸びた手に着地。
◆ ◆ ◆
ガスベラスから伸びた手の上のバカラとダンディーラー。ダンディーラー、バカラが怪我をしていることに気づき、スカートの裾を破いて包帯代わりに巻く。
ダンディーラー、バカラに問いかける。
ダンディーラー 「何故助けに…弱い者を見捨てる…それが悪魔なのに。」
バカラ 「仲間は助ける。それがおれのやり方なんでね(腕組みする)。」
ダンディーラー、バカラを見つめる。
◆ ◆ ◆
避難作業も終わり、ガスベラスの整備をするバカラとピンゾロイド。
ピンゾロイド 「オーケーだビン!」
バカラ 「よし、戦線復帰だ。」
ピンゾロイド 「行くだピン!」
そこへ、遠くからダンディーラーが決意の表情とともに走ってくる。
ダンディーラー 「あたしも…この船に…。」
バカラ、微笑んでうなずく。ダンディーラーもバカラを見つめて微笑む。
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