消える影
執筆:2001(?)−2002/5/18

終わらない緑の悶えの奥の堅い舌先で
賢しらさな少女が尖った胸を凍らす
その影

始まらない時の離宮の扉の前で
愚鈍な私が短い棒飴をねじる
その影

もしも夢が破れたのなら死んでしまえ
と書いた日記の裏表紙に
見せ消ちの単語が長い毛を生やす
その影

欠けた記憶を埋めるように
欠けた月を雲が覆う

遅れた兵士が岩陰で靴紐を結び直す
その影


[ホームへ戻る]


© 2002 Taro Shimura. All rights reserved.
このページに記載されている内容の無断転載を禁じます。