東京にいた時は、会社の寮に住んでいました。
4畳くらいの1人部屋で、廊下の音が筒抜けの部屋でした。
ある夜、寝ていると、「ドン、ドン、ドン」と、ドアを叩く音で、目が覚めました。
時計を見ると、午前3時半頃でした。
「誰だ、こんな時間に。酔っ払って帰ってきた同期の奴か?」と、思いました。
「ドン、ドン、ドン」
しつこく、ドアを叩いています。
「迷惑な奴だ!」
私は頭に来たんで、シカトを決め込むことにしました。
「ドン、ドン、ドン」
なおもしつこく、ドアを叩いています。
「ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン」
ますますドアを叩く音は、激しくなってきます。
「ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン」
かれこれ3分以上、叩きつづけています。
ここまで来ると、ちょっと、何か変だ・・・と、思い始めました。
いくら酔っ払いでも、ここまで叩き続けるかな?と。
声くらい掛けるんじゃないかな?と。
先ほどから、私の部屋のドアを叩き続けるそれは、無言で、叩き続けています。
ところが、不意にドアを叩く音が止みました。
「やっと・・・」と、思ったのもつかの間、
今度は「う〜っ、う〜っ」と、唸り始めました。
「う〜っ、う〜っ、う〜っ、う〜っ」ひたすら唸り続けています。
もう、はっきり言って怖かったです。
部屋の明かりを点けて「う〜っ、う〜っ」と、唸り続けるドアを見つめていました。
5分くらい唸り続けて、唸り声は止みましたが、その後、何も音がしません。
ドアの前から立ち去れば、その足跡が必ず聞こえるんですが、聞こえません。
と言うことは、まだドアの前にそれは居るのか?
・・・15分ほど耳を澄ませていたのですが、音はしません。
ここで、勇気を出してドアを開けてみることにしました。
「カチャリ」
ドアを開けるとそこには、誰も居ない廊下があるだけでした。
あれは、一体なんだったんでしょうか????
・・・あれだけ夜中にドンドンやってたんで、他の人もあの音を聞いていただろうと、
翌日、寮の人たちに聞いてみたんですが、誰も音を聞いていないというんです。
あれだけ激しくドアを叩いていたのに・・・