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萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。 「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」 犀川はすぐ答えた。 「普段はそんなものは存在しない」 「尊敬してる人は誰ですか?」と今訊かれたら、迷わず、「両親と森博嗣助教授です」と答えるでしょう。 そう、著者の森博嗣先生は現役バリバリの某国立大学(N大としておきましょう)の助教授なのです。 しかも工学部建築学科です。そしてミステリィ作家。しかも両方で一流。本当にすごい人です。 あんまり好きすぎてファンクラブに入ってしまったくらい好きです。 『すべてがFになる』(以下『F』)は犀川助教授&萌絵シリーズの第1作です。 森先生が本当に最初に書いたのは2作目にあたる『冷たい密室と博士たち』で、 『F』は4作目に書かれたものだというのは一部では有名な話ですね。 ミステリィなのであまり内容には触れられませんが、目から鱗が落ちるほど面白いです。 最初に出会ったのは1997年の夏の終わりでした。当時私は大学3年生。 お約束のように宿題をため込み、ひいこら言いながら(本当に言ってたら面白いですね) 山のように溜まったレポートを片付けていました。 半分終わって少し休みをとろうと思っていたところに、兄が 「これ面白いぞ」と持ってきたのが『F』だったのです。「ジャジャーン!(効果音)」 「大学の助教授と学生の話。学生は『超』お嬢様で美人。助教授は彼女の父親の弟子。 そして彼女はその助教授に首ったけ。」 その時の兄の説明はこんな感じでした。 私は『動物のお医者さん』が好きだし、大学院に行くくらい「大学」が好きなので あっという間に飛びつきました(レポートからの逃避とも言う)。 そしてそのまま1日1冊、一気に5作目の『封印再度【WHO INSIDE】』まで読んでいました。 一体レポートはどうしてしまったのでしょう。 14歳の時、両親殺害の罪に問われ、外界との交流を絶って孤島の研究施設の地下室に閉じこもった 天才工学博士の真賀田四季。N大工学部助教授犀川創平は教え子の西之園萌絵とともに 真賀田博士に会うためにその孤島に訪れた。 そして誰も出入りできないはずの地下の博士の部屋で、真賀田博士が殺害される。 これが簡単なストーリーです。もちろんこの密室のトリックも凄いんですけど、 それ以外のところも凄く良いのです。説明するより読んで貰った方が早いのですが、 今までの価値観を全部ひっくり返されてしまったような感覚でした。 この後、森先生がHPを持っていて毎日近況を載せていることを知り、 大学から毎日のようにアクセスしました。そこでも鱗オチまくり。 大学が休みになるとこれが読めなくなってしまう、それがイヤで自宅でネットを始めました。 このHPが今あるのも、すべて森先生の影響です。私の生活・思考がかなり変わりました。 う〜ん、森博嗣助教授、恐るべし。当分ついてゆきますv 本の感想というより森先生へのラブコールになってしまいましたが、まあ良し。
記念すべきポアロ登場第一作。確かデビュー作でもあったような。 『ポアロ登場』という短編集もあって紛らわしいのですが、こっちが先です。 ヘイスティングスが療養先でポアロと再会するところから始まるので。 実は私は中学生の時大のクリスティ好きで、図書館で借りまくって殆ど制覇しました。 多分ポアロとミス・マープルは全部読んだんじゃないかな。 メアリ・ウェストマコット名義の恋愛小説の方は手つかずです。 しかし、だいぶ前の事なので内容の方は殆ど覚えちゃいません。 これでまた新鮮な気持ちで読めるわけです。ちょっと得した気分(そうか?)。 ポアロ読みまくったのには理由がありまして、それは ポアロとヘイスティングスはどこで出逢ってどうやって友達になったのか、 その謎を解くためです。 なにせこの2人、年は違うしシュミも違う、味の好みなんてまるで違うし (ポアロの好物はチョコレート(飲む方)、黒すぐりのシロップ。 想像するだけで胸焼けがしそうで、ヘイスティングスには同情します) 何をどうすればこの2人が友達になれるんですか状態なのです。 ところが、シリーズ全部読んだにもかかわらず結局謎のまま。 この『スタイルズ荘』でも「療養先でなんと偶然ポアロと再会」という記述だけで、 かつてどこで会って、どうやって友達になったのかには一切触れてません。 仲良く同居なんてしてるので相当仲はよろしいようなのですが…。 以前サークルの後輩にポアロとヘイスティングスの話をしたところ、 「うわあ、良いですね」とポアロ×ヘイスティングスを勝手に展開。 あの2人でそういう妄想が出来るあたりにある種の感動すら覚えました。 こいつこそほんまもんのヤオイストであるなあと思ったことであるよ(詠嘆)。
『月光ゲーム』は学生アリスのお話です。 うちに来てる濃い方にはもはや説明不要な気もしますが一応説明しておきますと、 作家アリスというのは推理小説家の有栖川有栖が主人公のシリィズで、 探偵役は犯罪心理が専門の火村助教授、 学生有栖は京都の大学ミステリ研所属の有栖川有栖が主人公で 探偵役は部長の江神先輩です。 主人公の名前は同じ有栖川有栖でも、この2人はまったく別人で接点もありません。 作者がモデルでもないらしいです。 有栖川有栖は、作家アリスしか今まで読んでなかったのです。 『ロシア紅茶』『スウェーデン館』とか国名シリィズの方です。 それでわたくし、正直あまり有栖川にはまれなかったのです。 友人に有栖川がすごく好きだというのがいるんですが、なんでこれがいいのかな? なんてことを不届きにも考えておりました。 『月光ゲーム』は図書館で借りて読みました。 (図書館は利用し尽くすべし。只だし。貸し出しカード番号暗記するほど取り寄せろ) …すみません、有栖川が面白く無いだなんて…私が間違っていました。 作家アリスよりも学生有栖の方がずっと面白いじゃないですか。 こっちが有栖川の真骨頂だったなんて…今まで損してました。 続編?の『孤島パズル』の解説によると学生アリス3作目の『双頭の悪魔』が このシリィズでの最高傑作みたいなのですが…まだ読めてません。 実は今日図書館で取り寄せを頼んだところです。火曜には来ます。ワクワク。 幸せになれる瞬間というのはいい本に出逢えた時です。 それを味わいたいから私はとにかく本を読むのでしょうね。
マイナな作家ですが仕方ないだろ好きなんだもん。 北村薫チックな世界ですがこれを読むとやはり北村先生は男性だと感じますな。 女の子ってこんな感じだよね〜。みんな可愛くってしたたかで。 この本も『テロリストのパラソル』と同様タイトルが気になって読んだ本です。 「月曜日はまだええ、けどなんやねん、『水玉模様』って!ごっつ気になるわ!」 と何故かこてこての濱田マリ的関西弁でツッコミを入れつつ 図書館の貸し出しカウンタへレッツゴーしてしまったわけです。 ほらほら、あなたも水玉模様が気になってきたでしょう〜? でもマイナ過ぎて図書館になかったりしてな!(その場合は注文しましょう) 『テロリスト〜』と同様、読めばちゃんとタイトルの意味分かりますので、その点はご安心を。 そしてこの作品も加納朋子のお得意!連作短編でございます。 今度の主人公はOLさん。作者もOL経験があるそうなので描写結構リアルらしい。 「月曜日の水玉模様」で始まる7編の短編で1人の女性の物語を描いているというか。 北村薫同様とにかく口で説明しづらい作家さんなのであります(IR調)。 「月曜日の水玉模様」 「火曜日の頭痛発熱」 「水曜日の探偵志願」 「木曜日の迷子案内」 「金曜日の目撃証人」 「土曜日の嫁菜寿司」 「日曜日の雨天決行」 と、短編のタイトルを書き出してみました。頭文字を取ってみると面白いよ、って事で。 これだけで「連作短編」のニュアンスが多少伝わるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう?
早稲田大学の中央図書館にお勉強に行ったら何故かこの本が目に留まり、 ついお勉強を忘れて読みふけった次第。狩野派の事調べてたはずなのになあ。 タイトルが凄いですよね。『掠奪美術館』。思わず手に取りたくなってしまいます。 「掠奪」ってくらいだからてっきり大英博物館の事についての研究書かと思ったのですが 全然違いました。しかしイギリスって凄いですね、 あちこちの国と戦争して略奪してきたものを平気で博物館で公開してるんですから。 この面の皮の厚さは日本も見習わないといけませんな(笑)。 実は佐藤亜紀を読むのはこれが初めてだったのですが、 『バルタザールの遍歴』というのが一番メジャな著書なのですね。 バルタザールって新約聖書の三賢者の1人でしたよね? 確か学部生時代に漫研の先輩が面白いと言ってたような…。 良い機会なのでこれは今度読んでみようと思っています。 佐藤亜紀さんは昔美大生で学者を目指して大学院まで行かれたそうで、 結局その道は挫折して現在作家をやっているそうです。 この本は、13の絵画を取り上げ(「名画」でないのはメーヘレンも入ってるからです) それにまつわる佐藤亜紀自身のエピソードや、連想した事を綴ったエッセイです。 エッセイ自体非常に面白かったのですが、何より印象に残ったのは 「絵画を題材にしてるけど絵の話より関係ない話の方が多い」という方式。 まるでこのページみたいじゃないですか。うへえ。 もちろん佐藤亜紀の方が断然面白いですがね!! 佐藤亜紀は一章で、昔観たアメリカの探偵ドラマの話を取り上げてます。 美術愛好家が絵画を盗み、それを主人公の探偵夫婦が大活躍して美術館に取り戻します。 探偵妻曰く「美術品はこうしてみんなで観られるようにするもの。独り占めしてはいけない」 これに当時中学生の佐藤亜紀は「絶対違う!」と思ったのです。 本当に気に入った名画は、自分の部屋に飾って一生眺めて良いのではないか。 もちろんそれを理由に美術館から略奪したって誰も認めちゃくれませんんが。 こんな文章があるので『掠奪美術館』てタイトルになったのだと思われます。 私は美術の成績最悪で、ハッキリ言って苦手分野なのですが フェルメールとかシャガールが割と好きです。 でも…本物の名画なんて一生かかっても買えるもんじゃないですよね〜。 私の部屋にはせいぜい渡辺昭夫(ネコの絵を描く作家)の複製画があるくらいです。 我々庶民が名画を手に入れようとしたら…それこそ掠奪するしか無いでしょーね。 …後ろに手が回るの覚悟で…。 |