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ミステリ好きの兄上に「なにか読ませたい本があるかい?」 と聞いたところ、これを貸してくれました。 海外はイギリスしか読んだこと無かったので、 フランスにもミステリってあるんだ〜と思ったのが第一印象。 二階堂ハ…ゲフン、黎人と殊能将之両氏がお勧めという事だったので、 かなり期待して読んでみたところ…期待通りに大変面白かったです! フランスの作家さんですが、舞台は第二次大戦後のイギリスです。 そこで起きるのは皆さん大好き、私も大好きな密室殺人です。 それに交霊術だの幽霊だのと盛りだくさんなお話を、 キッチリまとめた上で二転三転させて度肝を抜いてくれました。 特にラストは新本格テイストがたっぷり。 新本格ミステリ好きな方は読んで満足できるとおもいます。ごちそうさま!
木偏を取れば「密室」なんですよね〜というわけで、 講談社ノベルスの「密室本」です。袋とじなんですよね。 大変面白く読ませていただきましたが、最大の欠点は 前作『鏡の中は日曜日』の重大なネタバレがあるところでしょうね。 殊能氏の作品は発表順に読んでいくのがベストのようです。 「樒」 と「榁」は同じ土地を舞台にしたお話なのです。 17年たった田舎町がどんな変貌を遂げたのかとか、 事件以外の部分が面白すぎて、事件が印象に残らないです。 これってミステリとしてどうなのかは非常に悩むところですが、 物語としてはとても面白いので私は良いということにしました。 でもやっぱりネタバレがなあ…。 興味を持ったら『鏡の中は日曜日』を必ず先に読んで下さい。
会社帰りの同僚との会話 「今、光原百合読んでるんだ」 「へえ。光原百合ってどんな感じ?」 「ええっとね、メガネかけてて〜」 「いや、そういうことじゃなくって」 実は顔を存じ上げてるのに読んだことがなかったのですね。 まことに申し訳ない。 野間美由紀先生のイラストのせいもあるかもしれませんが、 非常に少女漫画っぽいな〜と思いました。 特に主人公の所属するミステリ研の先輩3人が全員美形なところが!! ミステリ研にいい男が3人もいるなんて、 そんな事が現実にあるわけがない!天地がひっくり返ったってない! 宇宙の法則としてあり得ない!!(ゼエゼエ) ミステリ研の面々が合宿や関ミス連で遭遇する事件と、 主人公と死んだ叔父さんとの幼い日の遠い約束をめぐる話とが 入り交じるような構成の短編集です。 全体的に暖かい雰囲気で、読んでて気持ちのいい本でした。
槇原敬之に似ている法月綸太郎の短編集です。 「イコールYの悲劇」「中国蝸牛の謎」「都市伝説パズル」 「ABCD包囲網」「縊心伝心」の五本です。んが、んっんっ。 一番印象に残って、これはすごいなと思ったのは「都市伝説パズル」 後で聞いたら日本推理作家協会賞受賞した作品だそうです。 やっぱり賞をもらえるような作品というのはパッと光っていますな。 事件そのものは複雑ではないので犯人もすぐに分かってしまいますが、 「都市伝説にそっくりな殺人」という事件の設定そのものと、 そのゾッとするような結末は印象深いです。 この一編を読むために買っても損はないような気がしないでもないです(どっちよ)。
真保裕一は、今まであまり小説で取り上げられることのなかった公務員を 主人公にした物語をよくします。 この『防壁』は、そんな公務員の中でも、命を懸けて 危険と隣り合わせの仕事をする公務員を主人公にした短編集です。 表題作「防壁」は政府要人を守る警視庁警護課員(SP)。 「相棒(バディ)」は沈没船などの海難救助にあたる海上保安庁特殊救難隊員。 「昔日」は陸上自衛隊不発弾処理隊員。 「余炎」は消防庁の消防士。 こうして並べてみると消防士がいっとうメジャです。すごいラインアップだ。 公務員というと、どうしてもお役所で腕抜き付けて 「あ〜それは別の課だから〜」とか言うおっさんしか連想できへんのですが、 命がけの仕事をしている公務員だって沢山いるんですよね。 そういう人達のおかげで日々暮らしていけるわけなのでちょっと反省。 そんな、いつ命を落とすか分からない仕事をする男達と、 彼らを取り巻く女性たちとを描いた物語です。非常に良いです。
全4巻の古代中国伝奇小説でございます。 兄に「図書館に行ってるヒマがないなにか面白い本を出せ」と言ったところ、 これが出て来たのですね〜。すぐなにか出てくるところがすごいな。 ぬう、4冊かよ!とちょっと思ったのですが井上祐美子は前に読んだ本が、 中国テイストを損なわないのに読みやすくしかも面白いというステキな本だったので、 今回もためらわず読ませていただきました。そしてあっという間に読了。 読みやすー&面白〜。 宗の都開封で剣舞を見せる芸人の少女・宝春が、家出した貴公子(実は皇太子候補)の 白戴星(無論偽名)と、科挙にわざと落ちた秀才の包希仁に窮地を救われる所から お話は始まります。もうドタバタです。 戴星は、自分を産んだ後に命を狙われ行方不明になった母親を探していますが、 この母親探しと、なにか秘密があるらしい宝春の素性が全て桃花源へと繋がっていきます。 というわけで、このよく分からない面子で桃花源を探す旅に出る羽目に。 戴星の素性を見抜いた包希仁は、自分は戴星に仕える運命だとか言い出すし、 凄腕の刺客(これがなんともいい男)やら仙人まで現れ、もう何がなんだか。 皇太子候補の息子が家出しても割と平気な八大王夫妻もいい味だしてます。 必然性があるのか分からないメンバーでの旅は、お互い適度に突き放し、 それでも何となく気を使いあってる絶妙さがたまらなく好きです。 戴星が希仁に行動を全て読まれていて、 こいつら一生このままの主従で行くんだろうなと思うと微笑ましいやら。 刺客の殷玉堂さえも従えてしまう天然の王子さまぶりの戴星もいいです。 カバーイラストも美しいし、話もいいしキャラもいいしで、なかなかお勧めの4冊です。 小林信彦 『ドジリーヌ姫の優雅な冒険』 (文春文庫) →絶版です またもや兄上の本棚から持ち出してきました。 主人公の敏子は類まれな美貌とスタイルの持ち主ながら、生まれつきひどいドジなので、 友達は彼女を「受難の聖ドジリーヌ」とさえ呼んだ。 そんな敏子がドジをしなかったのは夫、二階堂秋彦が溺れたのを助けたときだけ。 夫・秋彦は「ハードボイルドだど」な日常を送る謎な職業。 日本全国、時には海外へも助けを求められて駆け回る。裏の世界にも顔が利く。 だから「おみやげはなあに?」とか訊いてはいけないのです。 ハードボイルドな人におみやげをねだってはいけないのですから。 いつお帰りですか?も駄目。さすらい人をサラリーマンに堕落させてはいけない。 ここまで読めば見当はつくと思いますが、ええ、バカ小説です。とびっきりの。 すごくバカです。下らないです。そして面白いです。 私が「バカ」「下らない」というのは最大級の誉め言葉だったりします。 そんな秋彦は異様に料理にこだわりが。 連作短編集なのですが、全編これまたこだわりの料理・レシピの数々。 それもそのはず、この連作短編は創刊当時の『クロワッサン』の連載だったのです。 なんて度胸の持ち主なんでしょうかクロワッサン。正直見直しましたクロワッサン。 惜しいことにこの本は既に絶版ですので、どうしても読んでみたい方は 古本屋さんを捜してみて下さい。文春文庫256−1です。背表紙は黒です。
小説現代増刊メフィストで猫丸先輩シリーズを連載している倉知淳先生の連作短編集です。 主人公の美衣子は地方から上京してきた大学生。 渋谷のおんぼろビルで「霊感占い所」の看板を出す辰寅叔父のところでバイトをしつつ、 叔父さんの生活の面倒を見る日々。どっちがメインなのかは不明。 事務所にはクーラや暖房がないので巫女の格好は夏冬つらそう。 辰寅叔父は純白の行者の服を着て、頭はぼさぼさ。よくみれば割とハンサムらしい。 始終寝ている辰寅叔父のもとには、怪異現象に頭を悩ませる客がやって来ます。 彼らの相談に応えて、辰寅叔父が口に出すのは三度狐や水溶霊など、 妙な霊や妖怪の名ばかりで、相談者は首をひねりつつ帰っていきます。 霊や妖怪はインチキだけど、辰寅叔父の託宣はいつも怪異の裏の真相を突きます。 辰寅叔父は霊感はさっぱりだけれど、推理だけは鋭いのです。 そんな辰寅叔父と、助手の美衣子の心優しい安楽椅子探偵連作集です。 しかし、辰寅叔父といい猫丸先輩といい、ノット堅気な男を書かせると、 倉知淳先生の右に出る者はいないんじゃないでしょうか。 すばらしき駄目人間っぷりです。 美衣子が来るまでどうやって生活してたんでしょう辰寅叔父。
新潮文庫の100冊、というのに並んでいてつい買ってしまいました。 普段こういうのには引っかからないんですけど、北村マジックにかかってしまいました。 それにおーなり由子さんの暖かいイラストが、おいでおいでしてたんですね。 で、買ってみて…う〜ん、良かったです。 字も字間も大きめで読みやすくって、おはなしも短くて読みやすい。 会社が近くて電車に乗ってるのがたった4分なのですが、片道で短編ひとつ読めました。 でもでも、中身のボリュームはたっぷりです。 9歳の「さき」ちゃんと二人暮らしのお母さん、この二人の日常の物語です。 非常に現実的で、とりたてて事件はおこらないのですが、切なくて暖かいお話です。 透君風に表現すると、心にぽっとロウソクが灯るような、そんな感じのお話。 イチオシです。
「小説たけまる増刊号」を文庫にしたものらしいです。 増刊号の方にはエッセーとか載ってたらしいんですけどね、 しまったなあ、見かけたときに買っておけば良かったなあ。 ミステリの短編集です。「怪の巻」の方は、ホラー作品を集めてるとか(未読)。 我孫子武丸のシリーズでない短編は初体験。とても上手いと思いました。 「花嫁は涙を流さない」が私の中ではベストですね。 古典的な手法ですが、キレイにまとまっていて、そして怖くていいと思いました。 まったく全然救いのないのところもまた…。
「あ・あいいちろう」と読みます。 この名前は「探偵名鑑」みたいな事典類の トップを飾ることが出来るように作者が考えたというのは本当なのでしょうか? 「あいはら」さんも「あいざわ」さんも「あ・あいいちろう」には勝てません。 もちろんアミバのトップなんて防ぐのは簡単です(限定ネタ)。 亜君はギリシャ彫刻のような端正な顔立ちで背も高くて、 見かけだけは完璧超人ですが、動きはとろいし要領も悪い見かけ倒しな男です。 泡坂妻夫のデビュー作である短編「DL2号機事件」も収録の短編集。 本格ミステリが好きな人にはたまらない短編集です。
この密室が解けるかな この謎を看破したものに、 エンジェル・マヌーバを譲ろう。 森博嗣モノなら「え、エンジェル・マヌーバかよ!」と思わず三村ツッコミをしたくなる、 そんな表紙の引用文なのです。 講談社ノベルス20周年企画の”密室本”です。全編袋とじなのです。 保呂草が語り部なので「Vシリーズ」に分類されてるようです。 (どのシリーズに分類されているか考える必要があるのか、などと考えない) メビウスの輪の形をした建物の中で密室の状態で他殺体が発見されます。 森作品には色々な建物が登場しますが、このねじれ屋敷が今までで一番アホらしい建物ですね。 つまり、一番人間的な建物だということです。森博嗣っぽく表現すると。 語り手は保呂草ですが、なぜか西之園萌絵も登場します。まあ、同じ那古野市民だし。 犀川先生は(電話の)声のみ登場。遠い那古野の地から真相に気付いている模様。 萌絵ちゃんは保呂草から見ても魅力的なお嬢さんのようです。売約済み(?)ですけどね。
「混沌とした話をしているね。もっと抽象的に言いなさい」 「ようするに、つながっているのに、つながらない」 「Vシリーズ」第9弾だそうです。そんなに出ていましたっけ?実感が湧かないです。 黒猫の三角と、人形式モナリザ以外は再読していないせいでしょうか。 今回は、『六人の超音波科学者』の事件その後、というお話。『6枚のとんかつ』とは無関係。 別に前作を読んでいなくても話は通じます。それは大丈夫です。 なにしろ、私も全然覚えていませんでしたから。 でも、やっぱりVシリーズ全作品を読んでおく方がいいですね。話が繋がりません。 特に短編集『地球儀のスライス』に入ってる短編は読んでおかないと、今回話が通じないかも。 皇なつき画のコミック版『黒猫の三角』に入ってるので、そちらを読んでもいいですね。 紅子さんは正直好きではなかったんですけど、皇なつきの漫画を読んでからは、 イメージがしやすくなって、嫌いではなくなりました。コミック版おすすめです。 |