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大沢在昌 『氷舞―新宿鮫〈6〉』(光文社文庫)→詳細 Amazon.co.jp/bk1

新宿鮫の第6弾でーす。初めて公安との戦いになりまーす。
今までは本を読んでる間にタイトルの意味がすぐに分かったのですが、
(例:赤い蛹・放火→「炎蛹」 おお、なるほど。みたいな)
今回はそこまでストレートじゃないみたいです。実はまだよく分かってない。しゅーん。
あと、あんまり表紙が怖くありませんでした。

売れっ子になってしまったロックシンガーの晶との関係も微妙になってきてますな。
しかも、鮫島さんたら晶ちゃん以外の女性に心奪われてしまうのです。
まったく色男さんは困るよなあ。
事件は今まで以上にドロドロとして暗いです。いや、今まで一度も明るかった事はないんだが。
その上長いので結構読むのに気合いがいります。頑張りましょう。


鮎川哲也 『黒いトランク』 (創元推理文庫) →詳細 Amazon.co.jpbk1

鮎川哲也先生の実質的なデビュー作。
最近なにかと話題の汐留駅(ただし昔の)でトランクの中から腐乱死体が発見される。
宛名は架空のものだったが送り主は実在。しかも自殺を遂げていた。
被害者を殺害した犯人が自害したものと思われたが、
鬼貫警部は初恋の人の依頼でこの事件の捜査を開始する…とこれがあらすじ。

ハッキリ言って時刻表だけでもややこしいのに、
トランクがあっちいったりこっちいったりして、複数の人物が同時に移動するので、
もうさっぱりわけが分からなくなりました。お手上げです。
なんのメモもとらずにこれを全部実行した犯人は偉いと思いました。
私だったらこんな手順はとても覚え切れません。
「2回目読んだらスッキリ分かった」という方も多いようなので、
また、記憶がイイ感じに薄れた頃にもう一度読み直してみたいと思います。


加納朋子 『虹の家のアリス』(文芸春秋) →詳細 Amazon.co.jpbk1

『螺旋階段のアリス』の続編です。短編集。
子供も独り立ちした脱サラ探偵仁木と、その助手の美少女安梨沙のお話。

「虹の家のアリス」…親がいい人だと、子供も良い子になるんでしょうなあ。
「牢の家のアリス」…あ、珍しく途中で仕掛けが分かっちゃった。しかし安梨沙…(絶句)
 この本の安梨沙は前作のイメージを覆す行動が多い気がした。
「猫の家のアリス」…平然と嘘をつける人間というのは確かに存在します。怖いよあれは。
「幻の家のアリス」…なぜ人は相手に自分の幻想を押しつけるのか。あー私もしてるなあ。
 押しつけられることもしょっちゅう。でも認識は当人1人のものでしかない以上仕方がないかも。
「鏡の家のアリス」…騙されっぱなしでした。やられた…仁木のことは笑えないよ。
「夢の家のアリス」…ああ、やっぱり今までの安梨沙のイメージを崩していってたんだなあ。
 でも確かに天使のような人間なんて、人間らしくないよね。


倉知淳 『壺中の天国』(角川書店) →詳細 Amazon.co.jpbk1

第一回ミステリ大賞小説部門受賞作。
いきなり電波ゆんゆんの文章から始まるのでどうしようかと思いました。
主人公は父親・娘と3人で暮らす未婚の母。仕事は洗濯物の配達。
彼女の住む町で連続無差別殺人が発生、そして事件の後には犯人による
電波がゆんゆんな犯行声明ともとれる怪文書が撒かれる。

しかし、どんな凶悪な事件が起ころうと、それが身内で起きていない限りは
娘がやおい小説を書いている事の方が主人公にとっては大事件なのです。
大きな事件なんて茶飲み話でしかない。探偵役と事件との関わりもそんなものです。
被害者が殺された動機がかなりアレなんですけど、結局犯人が電波系ですからねえ…。
事件と謎解きよりも、それを取り巻く人間の描写がメインだと思います。

時折フィギュアを黙々と作るヲタクさんの描写が挿入されるのですが、
なんかね…その人の考えてる事の元ネタがほとんど分かる自分がちょっとヤでした。トホ。


森博嗣 『赤緑黒白』(講談社ノベルス) →詳細 Amazon.co.jpbk1

自分は、ここにいるのだろうか?
否、自分はここにはいない。
彼女は、自分の影を見ているのだ。
光が当たれば消えてしまう影を。


「Vシリーズ」の第10弾。クライマックスというと、これがラストと同義ですけど、
これがラストなんでしょうか?……どうもそうらしいですね。
これでも森博嗣ファンクラブかなり番号若い会員なんですが、最近出版予定押さえてなくて。
大体、これも何ヶ月も前に出てたらしいではないですか。なんてこったい。

シリアルキラーのお話です。死体が真っ赤に染められたり、緑に染められたりしてます。
被害者がそれぞれ「赤井」さんだったり「みどり」さんだったりするのですね。
うっわー犯人趣味悪。

ミステリィとしてどう評価していいのか、ちょっと分かりません。パス1。
だって見事に森ワールドが展開されてて。どうしたらいいのやら。
一番怖いのはラスト5ページでしょうか。
ああでも、これって犀川&萌絵シリーズ読んでないと分からないのでは。
この先生も人の土俵に上がらず自分で土俵を作っちゃう人ですなあ。


井上祐美子『将神の火焔陣 天長篇―長安異神伝』→詳細 Amazon.co.jpbk1

楊ゼン兄さん大暴れの巻、第3弾。東方朔との漫才にも磨きがかかってきました。
今度は天界の人々を巻き込んで大騒ぎなのです。
炎帝というのが復活するのしないので、大変なのです(他に説明のしようはないのか)
韋護に続いて李靖も登場いたします。
といっても情けないナタクパパではなく、偉い軍人さんで、仏教の方の偉い人です。薬師さんです。
しかも楊ゼン兄さんの妹さんも出てくるのです。さすが妹、そっくりです。困った人です。
ラストで楊ゼン兄さんは天界を裏切って逃げ出してしまいます。
何を考えているのか、多分なんにも考えてないと思います。続く。


井上祐美子『将神の火焔陣 地久篇―長安異神伝』→詳細 Amazon.co.jpbk1

炎帝が復活しちゃってさあ大変、な楊ゼン兄さん大暴れの巻、第4弾。
さすがに東方朔と漫才してる場合ではなくなってきました。
妹さんも、ライバルを得て燃えてしまってます。西王母は彼女を野放しにしてはいかんと思います。
東方朔が元の童子姿で出てることが多いので、なにやらちょっと違和感です。
しかも、挿し絵にも童子姿で。おいおいそんな可愛いのになぜオヤジに化けてるデスか。
そして唐突に「お嬢さんを下さいっつーか貰うから」宣言する楊ゼン兄さん。
これから命がけの戦いに行こうってのにこの男は。
ドラマだと大抵「帰ってきたら結婚しよう」という男は帰ってこないと相場が決まってますが、
楊ゼン兄さんですからね…殺してもしなないよね…。


黒崎緑『しゃべくり探偵の四季 ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの新冒険』
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「しゃべくり探偵」の続きです。もちろん単独でも楽しめますよ。
そして相変わらずカバーイラストはいしいひさいちです。
関西某大学学生の保住君と和戸君のボケ・ツッコミの会話文のみで構成されてる
(「おまえとはやってられんわ!」で終わる)ミステリから、
他の人からみた保住君(名前は出てこないけど保住でしかない)を見た形式のミステリ短編集。
特に床屋さんがひとりで延々とお客の刑事さんに語り続けて事件が解決する話は秀逸。
保住君の高校時代の同級生の友人・金子君の今後が心配です。


大沢在昌『灰夜―新宿鮫〈7〉』 →詳細 Amazon.co.jpbk1

新宿鮫の第7弾です。
今回は東京の話ではありません。新宿鮫なのに……。そんなの新宿鮫じゃない…
晶も誰も、レギュラーメンバーは出て来ません。鑑識さんとか、好きなのに…。
鮫島さんに迷惑な遺書を残して自殺した同期の法事に出たことから色々巻き込まれます。
まず公安。そして同期の友人。どうしてみんな、そんなにクセがあるんだ。
今回は北朝鮮の話がかなり絡んできます。ある意味タイムリーに読みました。
そんでもって沢山人死にが出ますよ…毒猿の時ほどじゃないですが。


競作「幻想都市の四季」(祥伝社文庫)

架空の都市「真幌市」で起こる殺人事件を描く競作です。
真幌市の地図や歴史まで載ってます。戦国時代の大名が横溝氏と鮎川氏。
名産品が銘菓”有梅”、工芸品が”密漆”。おーい。
舞久浜とか鮎川鉄道とかふざけた名前が多いのでその辺も楽しんでみて下さい。
どれも中編なのでサクサクと軽く読めると思います。


倉知淳『まほろ市の殺人 春 無節操な死人』  →詳細 Amazon.co.jpbk1

主人公は大学生。主人公の彼女が幽霊の痴漢にあった次の日、
友人から「部屋を覗いていた痴漢を七階のベランダからモップで突き落としてしまった」と電話が。
しかし地上には男が落ちた痕跡がない。もちろん警察には笑われるだけ。
ところが翌日、警察が鑑識連れてマンションにやって来た。
なんと痴漢は、七階から突き落とされる前に殺されて真幌川に捨てられていたのだ。
さて、被害者はどうやって殺された後に痴漢を働けたのか。
というお話です。うん、あんまり読後感は良くないです。えぐいよう。
でも主人公がさわやか恋愛の最中なので、まだマシだと思い知るのでした。


我孫子武丸『まほろ市の殺人 夏 夏に散る花』  →詳細 Amazon.co.jpbk1

春に怪事件が起きて、また夏にも怪事件が起きるのでした。こまった町ナリ。
新人作家が若い女性からファンレターを貰い、まだ見ぬ彼女に恋をした。
一度会うことはできたが突然連絡が途絶えてしまう。
諦めきれない作家は彼女の家を探して、そして……

最初の面会の時点である程度の予測はついたのですが、その後は読めませんでした。
なんだろう…この読み終えた後の鬱々とした感覚は……
読まなきゃ良かったかと思うほどの読後感の悪さだ。
いや、お話としてはよく出来てると思いますよ。


麻耶雄高  『まほろ市の殺人 秋 闇雲A子と憂鬱刑事』→詳細 Amazon.co.jpbk1

真幌市在住の有名ミステリー作家闇雲A子と彼女にメランコ刑事とあだ名されてしまう天城君のお話。
春から真幌市では11件も連続して殺人事件が発生していた。
(……春からまったくもってろくな事が起きていない町だ)
その「真幌キラー」を追うあA子と巻き込まれる天城刑事ことメランコ刑事。
死体の耳が焼かれ、傍には必ず何かが置かれている。
さて、真幌キラーの正体とは…。

ワガママ作家と刑事さんのドタバタ珍道中かと思って読むと痛い目にあいます。
4作品の中で一番何かが壊れて、終わっている話です。救いが、ない…
なおもって悪い読後感です…。鬱々々々……。


有栖川有栖『まほろ市の殺人 冬 蜃気楼に手を振る』 →詳細 Amazon.co.jpbk1

これは犯人の視点で描かれてる話です。冬もまた殺人が。なんだこの町は一体。
しかもこんどは自分の三つ子のうち1人を、つまりまあ兄弟を殺して隠そうとする男の話です。

真幌市ではなぜか蜃気楼が見えます。なぜ見えるのかは科学的に不明なのです。
主人公は兄弟達と母親につれられ5歳の時に蜃気楼を見る。
「蜃気楼に手を振ったら幻の町に連れて行かれるよ」という母の言葉に逆らい、
こっそりと蜃気楼に手を振った主人公の兄はその直後に事故死した。
25年後、ひょんな事から手に入れた三千万のため、主人公は残された兄弟を殺し、
それを隠して完全犯罪を目論む…が、次々と主人公のもくろみは崩れていく。
そしてついには、死んだはずの兄弟の幻覚を見る……

兄弟殺しですので読後感は推して知るべし。


鮎川哲也『準急ながら』(光文社文庫) →詳細 Amazon.co.jpbk1

鮎川哲也先生の電車トリック物です。
相も変わらず後半になって出て来て黙々と電車と写真のトリックに挑む鬼貫警部なのです。
派手さはないのですが、これが1966年に書かれたことを考えるとすごいですね。
ただトリックそのものに目新しさはありません。
なぜ土産物屋の店主が殺されたのか、
新聞の地方版に出た記事が、どうして殺人に結びついたのか、
その糸をたどっていく過程、人間模様に面白さを感じました。


真保裕一『盗聴』(講談社文庫) →詳細 Amazon.co.jpbk1

表題作を他4編収録の、真保裕一の短編集。

「盗聴」…解説で長編向けと話だと指摘されているとおり。なんかあっさり終わってしまう感じ。
 もっと長く書いた方が面白かっただろうなという話。
 過激派「赤い月」ってホワイトアウトにも出て来ませんでしたっけ?
「再会」…執念って怖いネーという話。究極のストーカーといえましょう。
 相手に気付かせないのがミソです。
「漏水」…これもマイナ公務員シリーズの一環?(違うと思う)
「タンデム」…すぐにネタが割れてしまったのがガッカリ。
「私に向かない職業」…解説の言うとおりになってしまうのも悔しいですが、これが一番面白い。
 主人公のキャラに味があっていいんですよ。