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中村うさぎは今では借金まみれのショッピングの女王様として有名ですが、 実は(?)ファンタジー小説書きさんだったのですよ、というお話。 「ゴクドー君漫遊記」というシリーズをものしてらっしゃいました。 なんだか時期はずれにアニメ化もした模様。 確かこの話もラジオドラマになってたはずですテーマソングがachi-achiで(古い話だねどうも)。 この本は本編ではなく、本編を下敷きにした外伝です。 主人公はゴクドー君ではなく相棒のルーベット。ルーベットの一人称です。 ゴクドー君に出会う前、ラ・レェテ公爵令嬢時代、修道院に入れられた時のお話です。 もちろんルーベットが大人しくしているわけもなく、首だけのおばけトリスティアと親友になり、 彼女の失われた身体を取り戻すため修道院を駆け回ります。 どうも、ゴクドー君シリーズは外伝の方が優れた話が多いように思うのですが、これもそう。 ルーベットとトリスティアの女の友情に思わず胸が熱くなります。 唯一の問題は、やっぱりゴクドー君本編を読んでおかないと話が分からんところがあることでしょうか。 できれば2巻まで読んでおきたいところです。それ以上は無理しなくていいです(オイ)。
ゴクドー君漫遊記外伝の第2弾。 これもまたもやゴクドー君以外の人物の一人称によるお話。 サッカイの商人の息子・アキンドー・ゼニデッセイ君の視点で語られるため、 ト書きが全部関西弁。 こんなファンタジー小説が未だかつてあったでしょうか。いや、ない(反語)。 カエルに変えられた王をつれて、たった1人で魔法の国パルミットへと向かうアーサガ王妃。 一方、冒険者になる事を夢見て家を飛び出したアキンドー。 王妃に憧れていたアキンドーは偶然の出逢いをきっかけに従者を志願。 王を元に戻すための旅の行く末は… 冒険者を夢見るアキンドー君の視点で描かれる冒険譚。 やっぱりこれも本編よりずっと良い。 アキンドーが夢と現実のギャップに苦しむところとか、己の無力さを知って、それを克服するところも。 ゴクドー君がいかにどうしようもない男なのかも、第三者の視点だと非常によく分かります。 ただ、これも先にゴクドー君漫遊記の本編を2巻まで読む必要があります。 あと外伝1の「聖マリア修道院の怪談」も。 なぜなら 1、まずアーサガ王妃が何者か分からない。 2、なぜカエルにされた王様とゴクドーが運命共同体なのか分からない 3、パルミットの事情が分からないとどうしようもない 4、光の女王と闇の女王の正体が分からないと話が通じにくい 多分読まなくても大体想像は出来るんですが、面白さ半減っていうか。 面白いものが多い外伝作品の中でも出色の出来ですので、 是非これの為に本編を読んで、トライしていただきたいです。 中村うさぎ『人生張ってます―無頼な女たちと語る』(小学館文庫) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 中村うさぎと、いずれ劣らぬ強烈な人生を送ってる女たちとの対談集。 対談相手は花井愛子・岩井志麻子・マツコ・デラックス・西原理恵子・斎藤綾子。 私が「中村うさぎって、ろくな人じゃないんじゃ…」と気付いたのは、ゴクドー君漫遊記2巻の後書き。 原稿料前借りしてトルコ旅行したとありました。だから舞台がトルコ風。 でないと、取材旅行という名目が立たないから……ひどいよねえ……。 これが私が高校の時なのですが、後に西原理恵子のファンになり、 「いつか、このろくでもない(笑)2人の対談なんて、実現しないかしら」と 何年も夢想していたのですが、この本でなんと本当に実現してしまいました。 でも一番すごいのは岩井志麻子との対談です。 なんとストーカーと結婚した岩井志麻子。デブ専で、理想が金正日な岩井志麻子。 そして岩井志麻子向けにデブに例えてシャネルの受注会の説明をする中村うさぎ。 とにかくこの本で一番読み応えがあるのは岩井志麻子との対談です。 特にシャネル受注会の説明は圧巻ですので、是非。 鮎川哲也『憎悪の化石』(創元推理文庫) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 鮎川哲也先生です。ああん、また時刻表が載ってるよ〜。 どうも時刻表トリックというのが苦手な私なのですが…… あまりじっくり眺めずにひたすら文章だけを読み進めてしまうのです。 これは続きが気になって一気に読んでしまいました。面白かったです。 今回は自分の行ったことのある場所に死体が隠してあったので、 そのことばかりが頭に残ってしまいました。もう、あそこへ行きたくなくなる…(涙) そんな事言ったら宮部みゆきなんか全然読めなくなってしまいますがね! 柴田錬三郎『御家人斬九郎』(新潮文庫) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 渡辺謙主演のフジテレビドラマの原作です。 う〜ん、時代劇で、「ハードボイルドだど」って感じですね。 テレビから入った私としては、ちょっとガッカリするところが多かったです。 若村真由美が演じる蔦吉姉さんが全然違うというか、 本当にただ割り切った大人の付き合いなだけの芸者として出てくるとか。 (あの気っぷのいい蔦吉姉さんの姿は影も形もありません) 斬九郎の性格も、原作の方がずっとひねくれてます。 ただ、岸田今日子演ずる斬九郎の母上だけはそのまんまです。母上好きな方はどうぞ。 テレビの斬九郎が好きって方にはお勧めしません。 桐野夏生『顔に降りかかる雨』(講談社文庫) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 女性が主人公の「ハードボイルドだど」です。 親友のノンフィクション作家がいわくつきの1億円を持って消えた。 その一億は、親友の恋人・成瀬(妻子持ちの上に暴力団関係だ!)から預かったもの。 金と親友の行方を知っていると誤解された主人公村野ミロは、成瀬と捜索に乗り出す。 Amazonでの書評がかなり辛かったのが意外でした。面白かったですよー。 文体もとても読みやすいしお話にも引き込まれるし。 江戸川乱歩賞受賞作なのもうなずけます。 桐野夏生は初読でした。これだけ面白いならOUTも読んでみようかと思いました。 森博嗣『虚空の逆マトリクス』(講談社ノベルス) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 森博嗣の短編集です。英題は『INVERSE OF VOID MATRIX』。 森先生の短編集の中ではこれが一等好きかもしれません。 Vシリーズで自分の愛にやや自信が持てなくなってましたが、これで復活気味。でも気味なのか。 「トロイの木馬(Trojan Horse Program)」 森博嗣らしい未来を舞台にしたミステリィ。とてもバーチャルな世界。ある意味とてもリアル。 でもきっと、どんなに精神的なことに価値が置かれるようになっても 人はこの肉体からは逃れることは出来ないんだろうなと思う。 「赤いドレスのメアリィ(Mary is Dressed in Red)」 まるで都市伝説のようなお話。老人が語ったことは真実なのかデタラメなのか。 そしてメアリィさんは一体どこへ消えたのでしょうか。 「不良探偵(Defective in Detective)」 なんか、主人公の作家が売れていく過程に妙なリアリティが(笑)。 でも森先生は40過ぎたら作家になるって決めてたそうだから、全然違いますね。 「話好きのタクシードライバ(That's Enough Talking of Taxi Driver)」 なんて、タクシー運の悪い男なんだろう(笑)。 名古屋のあの道幅の広い道を運ちゃんの果てしないおしゃべりを聞きながら…合掌。 「ゲームの国(リリおばさんの事件簿1)(The Country of Game)」 うおお、また回文か…メフィスト掲載短編の悪夢が甦る…ガタガタブルブル (君ホントに森ファンクラブ会員?←オー!イエスアイドゥー!マイ会員番号イズ148番ネ! 因みに2003年2月現在会員数は7000を越えています) でもこれはまともなお話でホッといたしました。 「探偵の孤影(Sound of a Detective)」 ぬぬ、依頼人の正体はそれでアリなのですか!?と思ったら探偵さん…あららら。 「いつ入れ替わった?(An Exchange of Tears for Smiles)」 はやまっちゃいけねぇよ犀川先生!!! いいんですか本当にいいんですか!!? 英語タイトルが大変ロマンティックで素敵だと思いました。 でも犀川先生、本当にいいんですか……… 乙一 『石ノ目』(集英社) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 「ジャンプノベル」に掲載された短編に、書き下ろしを加えた短編集です。 実際のところ最後の短編は書き上がってたんだけど掲載前に雑誌がなくなっちゃったのですね。 「石ノ目」 この短編集の中で一番ホラーらしい作品。オチも。 石の目の正体は…というところまでは想像がついたのですが、さらにそれ以上の事が。 「はじめ」 週刊少年ジャンプ2003年5号、6・7合併号において、小畑健氏の作画でコミック化されています。 確かにこの短編集の中では最も少年誌向けのお話だと思いました。 コミックの「はじめ」はエッセンスだけ抽出して上手にまとめた話だということが分かりました。 実際はもう少し長いお話です。 友達と勝手に設定を作り上げていた架空の少女が、幻覚の友達となって現れる話です。 「BLUE」 人に愛されることが人形のアイデンティティなら、醜く作られた人形はどうなるのか。 人形が動くという状況は相当怖いはずですが、ただ感動させられるお話です。 「平面犬。」 刺青の犬が勝手に動いて吼えだし、左腕に小さな犬を飼う羽目になる少女のお話。 平面ガエルでもなく、根性根性ど根性とも鳴きません。 テーマは家族の絆。この話が一番好き。 有栖川有栖 『マレー鉄道の謎』(講談社ノベルス) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 国名シリーズ第6弾。もちろん作家アリスです。 私は学生アリスが大好きで作家アリスは割とスルーしてるのですが、 今回は作家アリスシリーズの中では面白いと思います。 学生アリスシリーズに比べてるとどうしても落ちてしまいますが。 外国が舞台なので、『幻想運河』にちょっと雰囲気が似てます。 取材旅行から四年半の時を経てようやくのお目見えですが、 一行目が書かれたのが2002年2月、正味42日間で書かれたというのがすごいですね。 分かりますよ、ずっとぐずぐずしてて、急に何かが「来て」がーッと完成するというのは。 私も一応色々作品を作ってる者ですし、遅筆な方なのですごく分かりますが、 プロとしてそれってどうなのよとちょっと、ちょっっっっと思わなくはないです。 でもいいです。面白かったから。…次はもう少し早めにお願いします。 真保裕一 『トライアル』 (講談社文庫) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 競輪・オートレース・競艇・競馬、四つの公営ギャンブルの選手を主人公にした短編集。 モンキーターンのおかげでやけに詳しくなった競艇以外は、知らないことばかりでした。 レースの選手という、自分の身一つが頼りの主人公達はそれぞれ悩みを抱えてます。 この短編集のテーマは「信じること」だと感じました。 どんなに疑わしい事があっても、相手を信じてあげられるか。 それは家族だったり夫婦だったり、おなじ職場の人間だったりします。 親しい人でも無条件に信じるのは非常に難しい事ですよね。 自分は家族や親友を、心から信じてあげられるのか、問われている気がしました。 裏切られるかもしれなくても、信じてあげる勇気を持ちたいです。 森博嗣 『スカイ・クロラ』(中央公論新社) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 僕はまだ子供で、 ときどき、 右手が人を殺す。 その代わり、 誰かの右手が、 僕を殺してくれるだろう 新書で出てるんですけど、表紙が良いのは圧倒的にソフトカバー版の方なので、 bk1のリンクをソフトカバー版の方にしました。 新書版の方が値段も安いですけど、装丁も含めて本と考えるとソフトカバーがお勧めです。 森作品の中で、この装丁が一番美しいと思います。 まず、この本はミステリィではありません。 戦争が日常的に行われている世界で、飛行機で戦う事を仕事としている人物が主人公です。 先生本人は、『女王の百年密室』が最も近い作品だとおっしゃってます。 今のこの世界とは、違う世界を舞台にしているという点では近いかもしれません。 飛行機に乗っている浮遊感が味わえる作品です。結構好きかも。 世界観の細かい説明などはありませんので、設定オタクな人はイライラかも。 実はスカイ・クロラ公式ページもあったりして。フラッシュムービーがステキ。 乙一 『夏と花火と私の死体』(集英社) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 作品と年齢は切り離して考えるべきだ、という考え方もありますが、 やっぱりこれだけの作品を16歳の男子高校生が書いてのけた、というのは ものすごく意味のあることではないかと思うのですよ。 すごい才能だなあ。と素直に感心しました。 もちろん作者の年齢を度外視しても、面白い作品です。なんじゃとお!って感じ。 主人公は物語開始早々に殺されてしまうので、死体となった主人公の視点で語られます。 この尻の据わりの悪さがたまりません。 しかも殺されて事への恨みとか、そういう感情はなくて淡々とすすむところがまた。 もう一編、「優子」という短編も収録されています。これもまたすごい。 やー、乙一面白いです。他のも読んでみないかんな〜。 西澤保彦『リドル・ロマンス 迷宮浪漫』(集英社) →詳細 Amazon.co.jp/bk1 西澤保彦先生の新作です。ハードカバーなり。 「ハーレクイン」と名乗る謎の美しい男と、依頼人たちを描いた短編集。 ハーレクインはなんでも願いを叶えてくれるドラえもんのような人なのです。 まあ、そこはそれ、西澤保彦なので心が歪んでたり、記憶を自分で混乱させてる人など、 ちょっと病的なお話が多かったりします。 しかし前向きな話が多く決して読後感は悪くないのでお勧めです。 |