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NHK総合で、仲代達也主演でドラマ化されています。 私が高校生の頃なので随分昔ですね。 そのドラマが妙に好きになってしまった私は原作を買いました。 すると本屋のお姉さんに「お客さん、お若いのに渋いですね…」と言われまちた。 「え〜ドラマの原作だしそんな事は」と当時は思ったものですが、 10年後再読して、そりゃあ高校生が読むには渋すぎるぜと納得しました。 本屋の姉さんが正しい。 某藩の藩主が逝去したのに伴い、用人の三屋清左衛門は隠居した。 でも、隠居したくて仕方なかったのに、いざ隠居すると、やることがない。 息子の嫁は良くできた嫁だけど、死んだ女房のようにワガママは言えない。 「日残りて昏るるに未だ遠し」の意味で「残日録」と名付けた日記を書きつつ、 それでも剣の道場に通ったり、勉強したり釣りをしたりと、何とかやる事を見つけ始めた。 もちろん、隠居ジジイの隠居エンジョイライフなど綴ってもそう意味はありません。 清左衛門に、幼なじみの町奉行・佐伯熊太が色々と難題を持ってくるように。 曰く、藩が表立って動くと都合の悪い事も、隠居ジジイなら角が立ちにくいとか。 そして色々首を突っ込んでいるうちに、藩の政争に徐々に巻き込まれていきます。 ねえ、渋いでしょう。テーマとしても絶対に若者向きではない。 でも若い人が読んでも面白いですよ。少なくとも高校当時の私は楽しんでました。 清左衛門を隠居ジジイと書きましたが、まだ50過ぎなので私の父親より若かったりして…。
歌舞伎座での公演中、毎日決まった場面で桜の花びらが一枚だけ降ってくる。 「本朝廿四孝」では降るはずのない桜の花びら。 誰が、いったい何のために、どうやって花びらを降らせているのか。 女形の瀬川小菊は師匠・瀬川菊花の命令、で同級生で探偵の今泉文吾と 調査をすることになった(withむく犬と助手の山本君)。 事件の影には何者かに顔を傷つけられた若手歌舞伎役者・市川伊織と、 その恋人と噂され「滝夜叉姫」と呼ばれている美女の姿が。 梨園でひた隠しにされていた悲劇が明らかになる時、事件の真相が見えてくる。
鋼の錬金術師にすごい勢いでハマッて、とうとうこんなものまで買ってしまいました。 コミックのノベライズなんて!…いったい何年ぶりなのか…。 過去に散々痛い目を見ているのでかなり覚悟を決めて読みました。 そのせいか、それほど読んでいて辛くはなかったのですが、 後半に出てくる錬金術バトルの描写だけはさっぱり訳が分かりませんでした。 これさえなけりゃ、充分許容範囲だったんだけどなあ…。 最初、副題の「囚われの錬金術師」だけで、色々想像がふくらんでしまいました。 エドが誘拐されるなんて、それじゃ普通で面白くないわ! そうよ、「錬金術師」とぼかしてるくらいだから、 きっとアレックス・ルイ・アームストロング少佐に違いないと思っていたら、 少佐は影も形も出て来ませんでした。くい〜ん。 いやだ、本当にエドが誘拐される話だなんて、そんなの普通じゃんっ!(普通でいいんだ) 表紙と挿し絵、あとがきが荒川先生描き下ろしなので、 その辺に価値を見出して買うのがよろしいかと存じます。 (小説には、カバー下のお遊びがないので残念です)
コッペリウスが作った自動人形のコッペリアを本物の人間と思い込んで 恋をしてしまったフランツと、その婚約者スワニルダのお話です。 ああ、よかったプリンセスチュチュを観てたおかげで予備知識バッチリですよ。 他にもピグマリオンとか、人形に恋する話は昔から色々ありますけど、 この加納朋子の「コッペリア」も、人形に惹かれた人達の物語です。 惹かれたというより、取り憑かれたというべきかもしれません。 導入はハッキリ言って病んだ雰囲気で、人間関係もドロドロしていて、 出てくる人々がみんな見事に自分勝手でワガママで、 どうしよう、今読んでいるのは西澤保彦だっけかと思いました。(それも失礼) 正直、ちょっと不安になりながら読み進めたのですが、 後半に入ると、今まで叙述トリックに完全に騙されていたことに気付き、 ああ…またやられてしまった…と、しばし読む手を止めるのでした。 (ちょっとミスリードさせる方法があざといなとは思いましたが) ラストについてはあまり詳しく語るわけにはいかないのですが、 やっぱり加納朋子はいいなあ…とホッとさせられました。 未来を感じさせてくれる、暖かいラストで読後感はすっきりです。
シェイクスピアは1564年に生まれて、1616年に死んだそうです。 ヒトゴロシ・イロイロと覚えるんだそうですよヲホホホ愉快愉快。 因みに1616年といえば日本では徳川家康が死んだ年であり、 ドン・キホーテの作者、セルバンテスの死んだ年でもあります。うぬ、お勉強になるね! 「シェイクスピアは、現代人が1行で言うところを4行で言う」とは蜷川幸雄の言ですが、 もう、無駄な言葉は多いし、話だって破綻しまくってるし、結構めちゃくちゃです。 いや、それでも好きなんですけど。 シェイクスピアの作品はあくまで演じるためのもので、小説ではないので、 当時のお客に受ける要素をとにかく詰め込んでるのではないか、 との説を阿刀田高が立てているのですが、「そうかもしれないな〜」とちょっと納得。 とにかくサービス精神だけは感じられますからね。 日本の近松のように、当時話題だった事件を元に作られた話もあることを考えると、 シェイクスピアにとってはお客の観たい作品を追求することが第1で、 話の辻褄なんぞ二の次でよかったのかもしれませぬ。 この本はシェイクスピアの戯曲の有名どころ11編を選んで解説してくれてます。 要所を押さえてくれてるし、あらすじも分かるので、 実際にシェイクスピアを読まなくても、これさえ読んでおけば知ったかぶりが出来ます。
山本周五郎賞受賞作。 元ネタは江戸時代の怪談。 役者の小平次が、女房とその愛人に殺され、沼に沈められて化けて出るという怪談も、 京極夏彦の手にかかると、こんなすごい話になってしまうのさ。 御行の又市もちらと出て来ますが、嗤う伊右衛門と同列の作品と思った方が良いです。 職業柄か、読みながら「これを是非舞台で観たい」と思っていました。 映画の方がよさそうな気もしますけど、生の迫力で観たいなという思いが強いです。 職業柄というよりただの芝居バカの妄想ですねどうもすみません。 問題は「そこに立っているだけで幽霊」な小平次を演じられる役者がいるのかって事ですが。 まあ…その辺は制作の人におまかせして…(他力本願)
東京創元社の編集さんイチオシの新人作家のデビュー作です。 デビュー作で第13回鮎川哲也賞受賞ですよ…期待しちゃいますよね…。 探偵は紫式部、狂言回しはその女童(めのわらわ)という古代ミステリ小説。 (平安時代って、古代なんですよね) 中編が2本と、最後に短編が1つ。 1編目は、枕草子に出てくる「上にさぶらふ御猫」、 中宮定子様の御猫・命婦様が行方不明になる話。 この時点ではまだ源氏物語は一部の人の間で読まれている程度。 貴族の娘さんなので出歩けない紫式部は、女童の「あてき」の情報から真相を見抜く、 安楽椅子探偵です。(安楽椅子なんてない時代ですが…) 2編目は1編目の数年後。源氏物語は大ベストセラー(?)に。 ところが、清少納言からの和歌をきっかけに、紫式部はえらいことに気付きます。 世間で読まれている源氏物語は、第2巻「かかやく日の宮」が抜け落ちている! 源氏物語の「桐壺」と「帚木」の間にはもう1つ失われた巻があるのでは、 という説が昔からあり、それにアイデアを得たミステリです。 誰が、何の意図で「かかやく日の宮」を葬ったのか。 平安時代がお好きな方にはたまらない小説です。 日常の謎系ミステリなのでトリックを期待する方には物足りないかもしれないですが、 小説としての完成度が素晴らしい作品です。 純粋に読み物として面白いのでミステリはちょっと…という方にもオススメしたいです。
いったんはまると、こういう方向からアプローチしたくなる質の人間なのですよ。 創元社の「知の再発見双書」というシリーズは初見だったのですが、 世界文化史を図版で読み解くのがテーマらしく、とにかく図版が充実してます。 おかげで、エドの背中やアルの腕のマークが 「フラメルの十字架にかけられた蛇」だということも分かりましたとも。 このフラメルというのは、もちろんハリーポッターに名前が出て来たニコラス・フラメルです。 (この本によると、彼は錬金術師ではなかったようですが…) とてもミーハーで不純な動機で読んだ訳ですが、 いやもう、錬金術がいかに訳分からなくて、胡散臭いものかよく分かりました。 もちろん、錬金術を学んでいた人は真面目だったと思うんですけど、 それにしても、やはり今の感覚からは理解しがたい学問です。 「全は一、一は全」とか、お馴染みの言葉も出てくるので、 ハガレンにどっぷりと浸かりこみたい方は、どうぞ読んでみて下さい。 ただ、「全は世界、一はオレ」というのは荒川先生独自の解釈で、 本来、万物は「世界霊魂」という物質で出来ているという錬金術的思想を表してるようです。 アトリエシリーズプレイしてる人はご存じですよね世界霊魂…。 あともう一つ。 錬金術では人間を「ミクロコスモス」とし、世界を「マクロコスモス」として、 「ミクロコスモス」である人間には「マクロコスモス」を構成する全てが存在すると考えたそうで。 このあたりに、エドが両手を合わせただけで錬成できる理由があるのかなとか思ってみました。 こんなこと真剣に考察している自分を、アホちゃうか思うけど、結構好きだ。ダメ人間だなあ。
アリスをモチーフにした連作ミステリアンソロジーです。 中井英夫・小栗虫太郎・山田正紀等々、ミステリ好きにとっては有名な執筆陣が揃ってます。 言い換えると、ミステリ好きでないと誰一人分からないであろう執筆陣。 いや、ミステリ好きだけをターゲットにした本だと思うんで、それでいいんですが。 一番面白かったのは山田正紀の「襲撃」でした。あとはちょっと…正直微妙で。 やっぱアリスのような言葉遊びの話をモチーフにミステリやるのは難しいのね。 山田正紀の作品は、『不思議の国の犯罪者たち』という連作短編集から収録されたもの。 というわけで次はそっちも読んでみることにしました。 こうして読みたい本は放射状に広がっていき収拾がつかなくなるのです。
4人の作家による、書き下ろしホラー・アンソロジーです。乙一目当てで読みました。 本当はホラー苦手です。と言いつつ最近わりと平気になってきました。 【収録作品】 ふたり遊び(篠田真由美) 闇の羽音(岡本賢一) ラベンダー・サマー(瀬川ことび) 階段(乙一) 秀逸なのは乙一。父親の家庭内暴力に苦しめられる姉妹のお話。 非現実的なところのないホラーもあるのだと知りました。 はっきり言って4作品の中でこれが一番怖かったです。
清涼院流水のように、好き嫌いがはっきり分かれる作家だと思います。 このノリに私はついていけませんでした…。 作中の人物が名探偵として上げる名前が…御手洗潔まではまだ許せました。 でも犀川創平は私の中ではNGでした。匠千暁はもっとNG!マニアックが過ぎます。 この人達は、現役の名探偵なわけですよ。 例えばQがあこがれの探偵として金田一一や江戸川コナンの名前出したら変ですよね? 私は、作中の探偵には、読者と同じ視点に立っていて欲しくないのです。 色々書きましたが、私が合わないというだけで、好きになれる人には面白いと思います。
野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事に使ひけり。 なぜか暗唱出来ます。 その理由が10ン年前のアニメイトカセットコレクション「魔神英雄伝ワタル」だなんて、 そんなこっぱずかしい事口が裂けても以下略。 竹取物語に隠された意味もさることながら、 診療報酬改訂で起きる理不尽な事態を初めて知って驚きました。 同じ薬を同じ量処方されても、飲む時間によって値段変わるって何事ですか! 兄に来る高田先生からの年賀状はパズルが付いてて楽しい。 (なんで高田先生から兄に年賀状が来るのかは知らない)
貴重な学生アリスものが収録されているのでお好きな人は要チェックです。 アマゾンでなぜかアダルト商品に分類されていてびっくりしました。 アマゾン的には誘拐はアダルトなテーマなのかと一瞬考えてしまいましたが、 ソフトカバー版は一般書籍なので、明らかに間違いですね。 一応、修正事項としてフォームで送っておきましたが、直ると良いなあ。 だって有栖川でアダルトって間違いにしたってあんまりだ…
ミステリ連作短編集です。 アリスミステリー傑作選に一作目が載っていたのをきっかけに読んでみました。 この手の絶版本をどうやって読んでるかというと、図書館で借りてるのです。基本ですね。 客は自分たちの本名や職業を明かしてはならないというバー、チェシャ・キャット。 常連客の「兎のさん」「眠りくん」「帽子屋さん」は勢いで現金輸送車を襲撃する。 ここまでがアリスミステリー傑作選に収録されてました。 三人の常連客は、襲撃以降日常に戻っていたが、 非日常的な出来事に巻き込まれるようになっていきます。 因みに、黒幕は2話の時点であっさりと読めてしまいました。1話目でも、分かるかも…。 最終話の「もう帰らなければいけないよ…遊びの時間は終わったのだから…」 という言葉が胸にチクッと来ました。 「まだ遊びたいんだけどな……いつまでも遊んでいたいんだけどな……」 そうしてるうちに公園が真っ暗になってしまった経験は誰にもありますよね。 たまたま昼休みに近所の公園で読んでたから現実味があったわけではないですよ? |