.水木サンの幸福論―私の履歴書
特別付録『ゲゲゲの鬼太郎』第1話
(コミック誌「ガロ」掲載分を復刻収録―全45ページ)付

水木しげる


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以前水木しげる先生が日経新聞に「私の履歴書」というエッセイを連載していまして、
会社で時々読んでいました。ただ、飛び飛びにしか読めなかったので、
いつか全部まとめて読みたいなと思っていたところ、この本に収録されてました。

水木先生自身が既に妖怪なんじゃないかと常々思っていたのですが、
なんというかこの方、作品以外でも独自の世界を構築していて、
他の追随を許さないのですね。
それも、なんとも羨ましい世界で、どうしたらそんな世界に辿り着けるのか
知りたくなってしまう、そんな世界を持っているのです。
水木先生の回りに人が集まってくる理由が分かるような気がしました。

冒頭に水木サンが見つけたという「幸福の七箇条」というのがあるのですが、
「それは、分かるけれど実践するのはとてもムツカシイですよ先生」という感じです。
その幸福な生き方に当てはまるのはみうらじゅんくらいなのではないかと。
でも、確かに「そうやって生きられたら幸せかも」とは思うので、
心の片隅にでも心がけて生きてみようかと思うのです。


.あやかし修学旅行 鵺のなく夜
―名探偵夢水清志郎事件ノート

はやみね かおる


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虹北学園中学三年生の修学旅行に、悪夢のような偶然が重なって、
なぜか名探偵夢水清志郎がついてきてしまうのが今回のお話です。

鵺と名乗る人物から「修学旅行を中止しろ」という脅迫の手紙が来たり、
掛け軸が血を流したり、昔話の密室殺人(?)を解決したりと、
盛りだくさんすぎて途中で脅迫の話を忘れました。
さあ、どれが本筋なのか当ててみたまえ!
そしてレーチは文学的苦悩と言いながら相変わらず亜衣の事しか考えてない。

今回のポイントは本の中に修学旅行のしおりがある事ですね。
バスの座席表にはどこかで聞いたような名前がちらほら。
修学旅行の行き先は「洛名録(らくなろく)」
そして宿泊先は星降り荘で、おかみの名前は倉知さん。
どこかで聞いたことがありますなあ。

こんな事ばかり書くと、ミステリマニアにしか楽しくないようにみえていけないですね。
この本に書かれてる修学旅行は、行き先もスケジュールも生徒が自分で決めるし、
お金が足りない分は商店街でアルバイトして稼いで、
そばうち体験したり、自分で選んだテーマの研究をしたりと、とても楽しそうです。
これから修学旅行に行く人は、こんな修学旅行に行きたいと思うだろうし、
もう修学旅行を体験してる人は、きっととても羨ましくなると思います。
シリーズ中で一番読み応えがあったと思うのですが、どうでしょう。


とむらい機関車.
大阪 圭吉


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北村薫の『ミステリ12か月』で紹介されていて、とても興味そそられ思わず読了。
戦前の名作ミステリです。作者は第二次大戦中ルソンで亡くなっています。

戦前の作品ながら、ガッチガチの本格。超本格。
乱歩や横溝が怪奇幻想小説ばかり書いていた頃に、
ここまでガチンコに本格推理に取り組んでる作家がいたとは知りませんでした。
なぜ乱歩や横溝に比べて圧倒的に知名度が低いのかというと、
やはり出兵先で亡くなっているため、作品数が圧倒的に少ないからのようです。
他のミステリ作家が大阪圭吉をどのように評価しているのかは、
大阪圭吉のファンページ等を参照して下さい。
以下、短編の感想をちょっぴりずつ。
あまり深く書くとネタバレになりそうなので、あくまでちょこっとだけ。

「とむらい機関車」
表題作。やたらと轢殺事故を起こすH駅のD50・444号機関車にまつわるミステリ。
礫死体の描写が生々しくて、ちょっと辛い。

「デパートの絞刑吏」
和製ホームズという雰囲気の名探偵・青山喬介の登場。
なんで警察の捜査に堂々と加わってるのか、なんて事ツッコンではいけない。

「カンカン虫殺人事件」
青山喬介もの。相変わらずなんの脈絡もなく事件に首突っ込んでます。
(多分枚数の関係なので、突っ込むだけ野暮なんだと思いますが)
造船工場の描写が、まるでプロレタリア文学のように執拗。悲劇的な雰囲気はないけど。

「白鯨号の殺人事件」
また青山喬介もの。これこそまさに和製ホームズと呼ぶべき雰囲気の作品。
推理も、最後の落ちも秀逸です。
主人公と喬介は2人で遠乗りに来ていたとの描写に、いい年の男が2人で旅行なんて、
まるで有栖川有栖と火村英夫の様だと思ってしまった。

「気狂い機関車」
青山喬介ものです。機関車の乗組員が2人タイムラグ殆どなく殺されるという謎。
なかなか意表を突いた動機でした。

「石塀幽霊」
さり気なく青山喬介登場。一本道で挟み撃ちしたのに犯人が消えちゃったミステリ。
そんなのありかよ、ってちょっと思いました。

「あやつり裁判」
同じ女性が複数の裁判で目撃者として証言しているのは何故かというミステリ。
これも青山喬介ものです。

「雪解」
金の鉱脈を探し続けた男が狂気に堕ちていく様を情け容赦なく描いた作品。
殺人は起きますが、いわゆる探偵小説ではありません。

「抗鬼」
海底炭坑の中で発生する連続殺人事件。すごく緊迫感があります。
大阪圭吉の最高傑作とも言われているそうです。


ねこのばば.
畠中 恵


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風の噂で、畠中恵先生はネットをよく御覧になっていると聞いた。
自分の作品名で検索をかけたりしているという…。
……はっはっはっ、うちのサイトなんてひっかからないから大丈夫…
嘘です、前は検索結果のわりと上の方に来てました…ブルブル…。

「映画化プロジェクト始動」だそうですので、配役でも考えてみましょう。
若だんなは、若き日の田辺誠一さんが良いです!
と言ったら、同期の人に「実現不可能なキャスティングはダメ」と言われました。ちぇ。
役者にしたいようないい男で、若い人で、病弱そうって難しいです。
演技力を重視して、藤原竜也という事でファイナルアンサー。
仁吉さんは山本耕史で、佐助は山本太郎あたりなんてどうでしょう。
よく考えると全部大河の新撰組に出てる人達ですが気にしない。

鳴家(やなり)はCG処理したガッツ石松さんでお願いします。


僧正殺人事件.
ヴァン・ダイン


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北村薫の『ミステリ12か月』で紹介されていて、とても興味そそられ思わず読了。
と言いますか、仮にもミステリファンと名乗りながら、ヴァン・ダイン読んでないのって、
尻の座りが悪いというか、居たたまれないような気分なものですから…。
十角館の殺人に出てくる作家は網羅したい心持ち。

僧正殺人事件の「僧正」とは、チェスの駒の「ビショップ」の事なので、
タイトルの「僧正」には「ビショップ」とルビを打つべきではないかと思う。
マザーグースの歌の通りに人が殺され、「僧正(ビショップ)」を名乗る人物から
マザーグースの歌が綴られた犯行声明が送りつけられるという事件のお話です。

本の内容自体は大変面白いのですが、翻訳が…悪すぎる…。
表現が不自然とか以前に、日本語としておかしいだろうという表現が多すぎ。
読んでてがっかりするほど読みづらいです。


皇帝のかぎ煙草入れ.
ディクスン・カー 井上 一夫


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北村薫の『ミステリ12か月』で紹介されていて、とても興味そそられ思わず読了。
この『ミステリ12か月』は大変危険な本です。
紹介されてる本のうち未読のものがあると、ついうっかり読みたくなってしまうので。
というわけで、現在『ミステリ〜』は半分より手前で読むのを中断して、
そこまでに出て来た未読の本を片っ端から読んでいってます。
完全に北村先生の術中にはまっています。そう、私の負けです。

『皇帝のかぎ煙草入れ』はカーの傑作なのです。不可能犯罪ものです。
主人公の女性と、その回りの人とのドロドロの人間関係が濃すぎです。
トリックは、現在では特に目新しさを感じるものではないですが、
発表当時は画期的だったのではないだろうかと。
注意深く読んでさえいれば、犯人はちゃんと分かるように出来てます。


Φは壊れたね.
森 博嗣


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そのそも、謎だと思うこと自体が主観であり、
基のデータには、客観的な謎が存在しているわけではない。
本当のところ、真実とは、けっして完全に目の前に姿を現すことはないのだから。


森ミステリィ新シリーズ。何シリーズと呼ぶのかは不明です。
次作が『θは遊んでくれたよ』だそうなので、数学記号シリーズとでも呼ぶのかしら。
因みにタイトルは「ファイはこわれたね」と読みます。
「ファイ」です。高2で数学とバイバイした私は読めませんでした。

「ファイ」って何だろうと思って調べていたら、
「シュレディンガー音頭」という、物理を志す者必修の踊りに辿り着いてしまいました。

「Ψ(プサイ)にΦ(ファイ)!Ψ(プサイ)にΦ(ファイ)!あなたとわたしのシュレディンガー」

心と耳に残ってしまいます。こちらのサイトで是非ともあなたもシュレディンガー!
で、結局Φって何なのかはじぇんじぇん分からなかったんですが…。
まあ、別に読むのに支障はないから、いいです…。

西之園萌絵嬢と国枝先生が出てくるので、S&Mシリーズ好きな人は是非。
登場人物紹介に犀川の名前も出て来ますが、期待するとガッカリすること請け合いです。
相変わらず遠くにいながら真相見抜いているようですが。
でも、私もすぐに真相分かっちゃったし、犀川先生だって分かるに決まってるよな…。
主人公?の加部谷恵美が誰だか分からなかったので、
慌てて『幻惑の死と使途』を読み返してみたりしました。
誰だか分からないくせに、登場作がどれか一発で分かってるのは一体何故なんだろう。


キマイラの新しい城 (講談社文庫)キマイラの新しい城 (講談社文庫).
殊能 将之


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殊能将之の独自世界が炸裂しまくってる長編です。
テーマパークが、本物の中世の古城を移築してしまったのが運の尽き。
そのテーマパークの悪徳社長さんに、古城の領主の霊が取り憑いた!
「私を殺したのは誰なんだ!?」
と、750年前の殺人事件の調査を霊に依頼される探偵石動戯作。
なにしろ750年前の事件なので事件の状況も容疑者も、
全てその霊の記憶の中にしかなかったりする…。どうする石動戯作!?
とりあえず領主の霊は中世のお人なので、中年ハリーポッターとなって面会だ!
大変ですが、石動さんもお仕事ですから…。

領主の霊の一人称部分が楽しすぎますが、一応本格ミステリでもあります。
ちゃんと、現代にも殺人事件は発生しますし。

しかし何と言っても見所は、古城の領主によるロポンギルズ(六本木ヒルズ)の大攻防戦。
偶然、ハリーポッターを観に六本木ヒルズに行ったばかりだったので、
領主の活躍の模様を鮮明に思い描くことが出来ました。領主カッコイイよ領主!


富豪刑事.
筒井 康隆


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今度深田恭子主演でドラマ化される『富豪刑事』です。
この前まで絶版だったのですが、ドラマ化のおかげで再版してる模様。
因みに深田恭子演ずる主人公は原作では男性です。富豪刑事はおぼっちゃんです。
ドラマだと、父親の美人秘書の役割も主人公が兼ねる事になるのでしょうか。

主人公は大富豪の息子で、職業は刑事さん。
ばったばったと、難事件を解決していきます…親の金を湯水のように使って…。
あくどい事で富豪になった主人公の父親は、若い頃の因業を悔いているので、
息子が刑事になってくれたことを呼吸困難になるほど喜び、
悪いことで稼いだお金なぞ、むしろ全部使ってくれとばかりに全面協力です。
しかし、何故だろう全然お金が減ってるようには思えないのですが…。

JRではなく、「国鉄」なあたりが時代を感じさせます。
と言いますか、今のお若い方々はご存じ無いですよね「国鉄」…。


銀座幽霊.
大阪 圭吉


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戦前の新本格作家・大阪圭吉の短編集です。傑作選といったところでしょうか。
『とむらい機関車』と併せて読んでみました。
雑誌『新青年』に連載した短編で、解説によると発表当時は割と厳しい評価を
受けていたようです。どうやら期待が大きかったからのようなのですが。
正直この枚数制限で本格やるのはつらいだろうなと思います。
確かにちょっと物足りないのです。
自由な枚数で書けていたら、もっと面白くなっただろうと作品が多いです。
特に「三狂人」あたりは、すごい事になっていたと思うので残念です。


帽子収集狂事件―乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10〈7〉.
ジョン・ディクスン カー John Dickson Carr 森 英俊


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実はこれも北村薫の『謎物語』で取り上げられていたので、
「読まないといけない」と思って読みました。
最近の私の読む本は全て北村薫にコントロールされてる気がしてきましたよ。

ロンドンで紳士たちの帽子が「いかれ帽子屋(mad hatter?)」に盗まれる事件が頻発し、
ロンドン警視庁を悩ませてました。
そんな中、ロンドン塔で1人の青年が殺されているのが発見されるのですが、
なんとその青年の頭には、青年の叔父が先刻盗まれた帽子が載っていたのです。
犯人は「いかれ帽子屋」なのか。
そして不可能な状況で青年はどうやって、誰に殺されたのか。
乱歩は「密室以上の不可能トリック」と大絶賛しております。


涼宮ハルヒの憂鬱.
谷川 流 いとう のいぢ


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『このライトのベルがすごい!2005』で大賞を取ってましたね。
だから読んだわけではなく、兄貴の本棚から適当に取っただけなのですが。
スニーカー文庫もライトノベルも読むのはとても久しぶりです。

「ただの人間には興味ありません。
この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
涼宮ハルヒはスタイルも良い美少女なのに、入学式の挨拶でこんな事をぶちかます、
とてもぶっ飛んだお嬢さんです。
そんな彼女に自ら巻き込まれて行く本名不明の「キョン」君の視点で描かれてます。
ハルヒは活動内容不明の謎の部活「SOS団」を発足して、次々と部員を拉致。
なんと集められた部員は本当に宇宙人・未来人・超能力者!
ただし、ハルヒはその事に一切気が付いていませんが。

実はハルヒも宇宙人や未来人がいて欲しいと思いつつも、
本当はいるわけがないと頭で分かっている常識人であったり、
話はぶっ飛んでいるのに、妙に地に足がついてる所が好感持てました。

これで話は完結してるように思うのですが、続いてるんですよね…。
続き読んでみようかどうしようか、考え中です。
キレイに終わってるままで終わらせた方が良いような気もするので。