ハローワークで求職中の主人公に降って湧いた美味しい仕事。 それはある別荘で、見ず知らずの他人と、一ヶ月間家族の振りをすること。 たったそれだけで、法外な報酬がもらえるという。 別荘には盗聴器と監視カメラがついているので、不自然な素振りは見せられない。 主人公と見知らぬ女性と少女との奇妙な疑似家族生活が始まった。 西澤保彦らしい、大人向けのファンタジーです。 しかし、常日頃の氏の作品とは異なり、後味が悪くありません。 中に一人、完全に壊れてる人物が出てくるのですが、 相変わらず、心を病んでそうな人を書かせたら天下一品です。(誉めてるの?)
前作『星界の戦旗3 家族の食卓』から約3年。 満を持して、やっと、ようやく、長らくお待たせして続編が出ました。 遅筆な作家さんのファンになると大変です。 しかも、今巻はなんと初の続き物です。この一冊では完結していません。 続きも気になりますが、それがいつ読めるのかの方が気がかりです。 後書きには、あまりお待たせせずに済みそう的な事が書いてあるんですけど。 信じていいんですよね、森岡先生…? 今回はドゥヒール君の上官やら、ラフィールの新しい部下に、 今までにないタイプのアーヴが出て来て興味津々。 次巻以降、彼らがどういう活躍をしてくれるのか楽しみです。 今まで名前だけしか登場しなかったコトポニー元帥もようやくお目見え。 これまでの根源氏族が皆さん濃厚な人物揃いだったので、 あんまり普通の人過ぎて何だか物足りません。 これから本領発揮して下さるんでしょうか。 スポールさんは今回出て来ませんでした…出てこないだけで相変わらず クファディス君はひどい目に遭ってるんでしょうけど。 とにかく後半がとても楽しみです。早く出してくれると嬉しいです森岡先生ー。
涼宮ハルヒシリーズの第2弾。 1作目だけ読んで満足しておこうと思ったのに読んでしまったどうしよう。 『〜憂鬱』の引きから始まります。まあ予想通りの展開。 で、今回のお話は、ヒマで仕方がないハルヒが文化祭に向けて SOS団で映画を作るというもの…例によって朝比奈みくるを犠牲にして。 映画を作る過程は、ハルヒのみくるへの仕打ちがひどすぎて ちょっと笑えないところも多々ありながら、そこそこ面白いです。 でも映画の出来が最終的にどうだったのかぼかされてるのもあって、 最後どうやって話が終わったのか全然思い出せない…。 ビシッと締めて下されば、もっと印象的な話になったと思うのでそこが残念。 ところで古泉が芝居でやったのは、 『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』ですね。 ローゼンクランツもギルデンスターンも、ハムレットの学友です。 二人一組で、どっちが誰なのかハムレットにも区別が付かない程度の人物。 因みに普通のハムレットではこの二人、出て来てすぐに死にます。 しかも、ものすごくひどい仕打ちで、おまけに殺されるシーンもないです。哀れ。 『〜は死んだ』は、この二人の端役を主人公にした映画です。 ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。 つまり古泉は端役から主役に変わったのであり古泉のクラス紆余曲折ありすぎ。
小鳩君と小佐内さんは高校のクラスメートで中学からの同級生。 二人は恋愛関係にも依存関係にもないが、互恵関係にある。 実は二人は高校生デビューを目論んでいる者同士。 二人が手に手を取って目指すのは、小市民。 いつか掴むんだ、あの小市民の星を。 小市民を目指すということは、つまりそれまでは小市民とは程遠い存在だったわけで。 しかし、人間変わろうと思ったところで簡単に変われるものなら苦労しない。 小鳩君はもう、名探偵面などして目立ちたくないというのに、 目の前に現れる謎を解く羽目に陥ってしまう。 そして小佐内さんは……。ガタガタブルブル……。 そこはかとなく、続きが出そうな雰囲気です。というか出して欲しい。 次は秋期限定のマロンケーキとか、そんなでしょうか(安直)。
涼宮ハルヒシリーズの第3弾。 やっぱり1作目で読むのをやめておけば良かった…こうやってぐだぐだ読んでしまう。 時間設定は『憂鬱』と『溜息』の間のお話になります。 今回は長編ではなくて、短編集になっています。 涼宮ハルヒシリーズは長編向きではないのかもしれません。 一編一編は短いのに、それぞれが『溜息』よりも印象に残っています。 「涼宮ハルヒの退屈」 退屈になったハルヒが思いつきで野球を始める話。キョンの妹と鶴屋さん登場。 長門有希がある意味大活躍。 「笹の葉ラプソディ」 ハルヒ中学時代の校庭の地上絵の謎が解き明かされる。 もはやこれは運命だと思って、キョンは諦めた方がいいんじゃないかと思う。 「キョン君の事どう思ってるんですか?」「奴隷だね」←ありがち 「ミステリックサイン」 ハルヒが考えたSOS団のシンボルマークが妙な騒ぎを起こすお話。 シンボルマークなぞ、ごはんや手巻き寿司にしておけばいいんだ(マニア向けネタ)。 「孤島症候群」 ハルヒは本格ミステリィが結構好きらしい……仲間か………。
畠中恵でひらがなタイトルだったので、つい「しゃばけ」のシリーズかと勘違い。 冷静に考えると出版社違います。しっかりしろ私。 幕末、維新志士と名乗る破落戸が町中をうろうろするようになった時期の、 江戸の小さな神社の息子が主人公です。 主人公の得意技は夢占い。といってもフロイトさんのように夢判断するのではなく、 主人公が白昼夢を見る事で探し物をしたり未来を占ったりするのです。 まあ、かなり胡散臭いです。当たるけど…。 ぽややんとした主人公と、しっかり者の弟のコンビが、 大きな神社から夢占いの依頼を報酬に目が眩んで(神社の修繕したかったからさ…)、 引き受けてしまったのが運の尽き。 連続殺人事件に巻き込まれ、あげくその神社の敷地から一歩も出られない状態に。 面白かったんですけど、後半の展開や依頼を持ってきた神官の真の狙い等に、 置き去りにされてしまった感がありました。 ちょっと大仰すぎるような気もするんですよね。 神社の修繕費といった、生活感溢れる作品世界と微妙にマッチしてないのよ…。
会社で上司に借りて読みました。 大沢在昌らしい、ハードボイルドな男たちのハードボイルドなお話4本入りです。 どれも面白かったんですけど、個人的に好きなのは一番最初の「ビデオよ、眠れ」です。 主人公が広義の裏ビデオ屋さんから借りた、自社で制作されたお蔵入りのビデオ。 それは昔主人公が一度だけ一緒に仕事をして、飲みに行ったこともある、 割と好きだったアイドルが出演していた。どうやら未使用の政府広報用ビデオらしい。 ビデオの状態が悪いため音も映像も途切れているのだが、 「被爆」という単語から、どうやら日本に再び原爆が落とされた時用のものらしい。 確かに政府が作っていてもおかしくはないし、問題はない。 しかし、そのビデオに振られた記号は「B」。ということは「A」や「C」があるはず。 そのビデオの行方を何気なく探し始めた時から、主人公の周囲で不穏な動きが…。 何気ない小さな好奇心が、国の機密に関わるような事態に繋がっていくわけですが、 その過程が実に無理がなく、主人公と一緒に奔流に巻き込まれるようでした。 最後の逆転劇も鮮やかです。 地味と言えば地味な話なのですが、それを感じさせない筆力には圧倒されます。
エラリー・クイーンの国名シリーズです。 解決編の直前に「読者への挑戦」が入ります。 つまり、「謎を解く手がかりは全て提示されています。貴方と探偵は同じ条件にいます。 さあ、犯人を当ててご覧なさい」という事です。 この手の挑戦に、未だかつて勝利したことのない私。 さっさと降参して、解決編を読みにいってしまう私。 ですが、この本で初めて勝利できました! 正確には一点だけ、完全には読み切れなかったので、完勝とはいかないんですが。 でもちゃんと、犯人は分かりましたよ!こんなに嬉しいものだとは思わなかった! 事件全体に怪しいムードが漂っていて、面白かったです。 でもちょっと長すぎました。もう少し、簡潔な方が好きです…。
タック&タカチシリーズと呼ぶのか、酔いどれ大学生四人組シリーズとでも呼ぶのか。 呼び方はともかく、西澤保彦の例のシリーズの短編集です。 長編のシリーズも出版の順番がバラバラで、時系列が分かりづらいのですが、 この本の中にもその混乱は持ち込まれてしまっていてます。 「依存」の後の、まだ学生時代の話もあれば(ボアン先輩も学生です)、 ボアン先輩が働いててウサコも院生で、タカチは東京…という状態の短篇もあり。 その間には一切の説明がないので、このシリーズ初読の方は混乱する事必定。 読み慣れていれば、あ、この短篇はあの辺の頃の話なのねとすぐに分かるのですが。 すなわち、シリーズを全部読んでいることが楽しめる前提条件。ハードル高いね…。 「チョーモンイン」シリーズもですが、出版時期の関係で作品内時間と 出版の順番が前後ひっくり返ってる事も多いので、西澤作品は色々と面倒です…。 ノンシリーズよりも、シリーズ物の方が面白いので、オススメではあるんですが。
法月綸太郎の久しぶりの書き下ろしです。 良くも悪くも、海外の古典ミステリを読んでいるような気分になりました。 重厚で格調高いのだけれど、やや冗長で単調なきらいも。 面白く読みましたが、今ひとつ読後感はすっきりしませんでした。 このミステリーがすごい1位だったので期待しすぎたのがいけなかったのでしょうか。
神麻嗣子の超能力事件簿。略してチョーモンインシリーズの短編集。 いつもの通り、趣味思考や人格がねじくれた人達が沢山出て来て、 とても鬱々じっとりとした読後感を味わわせてくれます。くっはー。 (管理人は本当に西澤ファンですか?) しかしそんな中、異彩を放っているのが最後に収録されている書き下ろし作品 「情熱と無駄のあいだに」。 ネタバレになってしまうので内容には触れられないのですが、 主人公の超能力使用の目的とその動機のバカバカしさがたまりません。 |