涼宮ハルヒシリーズ第4作目。 第2・第3作目の中だるみをガマンして読んだ甲斐がありました。 シリーズ中で一番面白いのではないでしょうか。 これまでの3冊で張られた伏線をキレイに回収しつつ、 尚かつ「これからどうなるの?」とぐいぐい先を読ませる展開。 惜しいのは、これを楽しむためには先の3冊を読まないといけない事か。 最初はともかく、本当に2作目とかつらい…。 しかし、この4作目を楽しむために「〜の憂鬱」から読むのはアリです。 「笹の葉ラプソディ」あたりが必読。
「暗黒館を1日で読了」と日記に書いたら、 Web拍手で「化け物ですか」とコメントをいただきました。 そんなに誉めないで下さい。照れます。 因みにその日は本を読むのとご飯食べるの以外何もしなかった。 綾辻行人の【館シリーズ】最新作です。 何年も何年もみんなを待たせた挙げ句に、 これでもかと分厚い新書・本文二段組を一気に刊行です。 兄が発売後間もなく購入していたのを借りて読んだのですが、 買った当人である兄は上巻の途中で挫折したそうです。 勝った…(ニヤリ) 暗黒館に向かった江南君の視点で話が進むのかな〜と思いきや、 「中也君」なる大学生の視点が中心となる模様。 かと思いきや誰のだか分からない謎の「視点」が存在してたり、 中学生の男の子の視点も入ってきたり。 何がなんだか分かりません。しかし、この視点の移動はかなり臭い。 明らかに仕掛けがあることは間違いありません。 上巻のかなり最初の時点で、時間軸の齟齬に気付きました。 江南の視点では○○だったのに、こっちではなぜか××に。 でもそれが意図するところは全然分かりませんでした。 そしてこれでもかとおどろおどろしい雰囲気を醸し出す暗黒館。 この雰囲気に嫌気が差してしまうと読了は難しそうです。
下巻です。犯人探しなんてもうどうでもいい。ふっとんでしまいました。 玄児さんが…あやしい……。 ダリアの部屋で、玄児さんったら中也君を押し倒すんじゃないかと、 ワクワクテカテカしてしまいました。 もう、この2人が気になってしまい、全然トリックとかどうでも良くなりました。 これが本当の密室消失トリック(by森博嗣先生)。 時間の齟齬には気付いていたけど、「視点」の正体と、 中也君の事には全然考えが及びませんでした。 うわーい、ひっかかったひっかかった!>私 中也君はともかくとして、視点の正体はちょっとどうかと思いましたけど。 『人形館』『囁き』なんかと同じカテゴリと思って読むと許せるかも。 最後に、暗黒館は他の館シリーズ全てを読了してから読みましょう。 そうでないと、真に楽しむことが出来ません。 それだけマニアックな本なんですよ、この暗黒館は…。
学生時代、サークルの先輩にお勧めされていた本を今頃読んでみました。 舞台は12世紀のイギリス。 修道士のカドフェルさんは当年とって57歳。 若い頃にはあちこちの女性と色々あったり、十字軍に参加もしたけれど、 今は引退決め込んで修道士になって、畑仕事に勤しむ毎日です。 畑といっても現在でいうところのハーブガーデン。なかなかハイカラです。 カドフェルさんは自分のハーブガーデンさえ平穏なら満足なのですが、 修道院内の権力を争っている人々や、修道院の未来を考えてる人は、 もっと色々な事を企んだりするものです。 シュルーズベリ大修道院は立派な修道院ですが、足りない物がありました。 それはズバリ・聖人の遺骨! これがあると一気に権威が高まります。 まあ、カドフェルさんにはどうでも良いことだったりするんですが。 グウィセリンというウェールズの寒村に残された聖女ウィニフレッドの遺骨を 大修道院で引き取るために、修道士達は一路グウィセリンへ。 カドフェルさんはウェールズ語が出来るので通訳として同行する羽目に。 しかし「聖女様はこの地を離れたがるはずがないんだずー」「んだすー」 と村人達は大反発。まあ当然です。漂う険悪なムード。 と、そこで反対派の代表・地主のリシャートさんが殺されてしまいました! あまりにナイスなタイミング。犯人は村人なのか修道士の誰かなのか。 カドフェルさんは成り行きで、地主の娘と犯人探しに乗り出したのです。 謎解き自体はそれほど複雑ではなく、慣れた人なら犯人はすぐ割れるはず。 でもその事が作品の面白さを損なう事は全くありません。 12世紀を舞台にしているからこその、独特な捜査方法。 若い修道士さんと村娘、地主の娘さんと彼氏さんの恋愛模様。 そして何よりも世知に長けた修道士カドフェルが魅力的です。 頭柔らかおじさんのカドフェルが考えた最良の解決方法は見事の一言に尽きます。
世俗の酸いも甘いも知り尽くした修道士カドフェルさんの推理シリーズですよ。 聖女の遺骨問題も無事解決したと思ったら、 なんとシュルーズベリは戦争に巻き込まれてしまいました。 スティーブン王と女帝モードが従兄妹同士で王位を争い、 女帝モードがフランスで身動きがとれないでいる間に、 スティーブン王がシュルーズベリ城を陥落させてしまったのです。 スティーブン王に逆らい、捕虜となって見せしめに処刑された者94名。 修道院は埋葬を申し出、実際の埋葬を頼まれて出向いたカドフェルが、 念のために数えた遺体の数は95名分だった。 死体が多すぎる。 問題の1人は明らかに処刑ではなく、細い紐で首を絞められて殺されていた。 何者かが殺人を犯し、死体を紛れ込ませて消そうとしたのだ。 一体誰がこんな真似をしたのか、そしてこの遺体は誰なのか。 次巻以降、カドフェルの良き理解者としてレギュラーになる人物が登場します。 その人は犯人から除外されてしまうので、3巻以降を先に読まないで下さい。 分かってしまうと面白くないです。ドキドキが薄れます。お気をつけ下さいね。
「哲学的な意味がありますか?」 高校生の主人公達の前に突然現れた少女・マーヤ。 彼女はユーゴスラビアからやってきました。時は1991年。 彼女は日本の習慣や不思議な言動に強い関心を示し、 答えを聞くと、必ずさらに質問をするのです。 「哲学的な意味がありますか?」 この質問には、実はユーゴスラビア人としてのマーヤの夢と決意が秘められているのです。 主人公の同級生の家に下宿し、2ヶ月で帰っていったマーヤ。 マーヤの故郷・ユーゴスラビアではスロヴェニアが独立を宣言し、 内戦が起きようとしていたにも関わらず。 最後までユーゴスラビアのどこから来たのか、語らなかったマーヤ。 主人公はマーヤの語った言葉から、彼女がどこから来たのか推理を試みます。 激しい内戦の中、少しでも安全な国であって欲しいと願いながら。 ここ半年ほど、クロアチアに興味津々だったので、かなり感情移入して読んでしまいました。 ユーゴスラビアはかつて、 「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家」 といわれていました。 あのボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエヴォで、 1984年に冬期五輪が開催されたのも今では夢のような話です。 基本的にミステリィのはずなのですが、謎解きとしてはちょと、いまいち。 主人公達が高校生にしては妙な事に詳しすぎるあたりはかなり不自然でした。 1人や2人ならともかく、全員の知識量があれってのは、あり得ないかなと。 しかし、青春小説としては本当に素晴らしいです。 まっすぐに先を見据えて、迷いなく逞しく生きているマーヤに焦燥感を覚える主人公。 どうにもならない現実に、初めて自分が無力であることを悟ったり… 誰もが一度は通り抜ける悩みだよな〜と、既に通りすぎた人は思ったりしました。
真っ黒な澄んだ瞳。 その中に、空がある。 そこへ墜ちていけるような。 相変わらず、装丁が美しすぎるの一言に尽きます。 スカイ・クロラから3冊並べたい。 もちろん、装丁に内容が全然負けてない。 気付くと森博嗣作品の中で好きなシリーズに入っていました。 戦闘機パイロットの草薙が主人公のシリーズです。 地上にいるときには、生きている感覚がしない主人公は、 空にいる時だけ、生きていると感じられる。 しかし、それでも重力に縛られている。生きている限り。
シュルーズベリも一旦平和になった頃、修道院は客人を迎えることに。 荘園を修道院に寄付して、生活の糧を修道院から貰って余生を送るつもりらしい。 その荘園領主が殺害される。死因は毒物によるもの。 それも、カドフェルが作った塗り薬が犯行に使われていた。 毒物の正体はトリカブト…俗に修道士の頭巾と呼ばれている。 容疑は領主の妻の連れ子―本来荘園を継ぐはずだった―にかけられた。 そしてその領主の妻は、遥か昔、カドフェルが結婚するつもりでいた女性だった。 彼女の息子の疑惑を晴らすため、カドフェルは奔走する…。 毎回趣向を凝らして飽きさせないのは素晴らしいです。 カドフェルの昔の女ですよ!これがいい女なんですよ!やるなあ! このシリーズは必ず恋話が入るのですが、今回はカドフェル本人の(昔の)恋です。 そして事件とは別に、シュルーズベリ修道院の院長の進退も注目です。 ロバート副院長の野望は果たして達成されるのでしょうか。 この巻から、2巻のとある登場人物がカドフェルの理解者としてレギュラー入りします。 必然的にその方は2巻の犯人から外れてしまうので、ちゃんと順番に読みましょう。
年に一度の聖ペテロ祭。主催はシュルーズベリ大修道院。 津々浦々から商人が集まってきて模擬店が立って、3日間町は大賑わい。 町にとってもお客さんが沢山やって来る重要イベント。 修道院にとっては模擬店の場所代や売上に応じた献金で潤う大事な祭。 ところが、祭直前の深夜、1人の商人が刺殺されてしまう。 昼間、被害者と喧嘩をしていた町会長の息子に疑いがかかりますが、 どうやら商人が殺されたのには、もっと深いわけがありそうですよ…。 被害者の商人相手に町の若い衆が大暴れする場面で、 さりげなく前作に出ていた少年がいたりと、レギュラーが増えて楽しくなってきました。 もちろんいつもの如く恋話も健在。被害者の娘が美人のしっかりものなのです。 12世紀イギリスのお祭の様子を垣間見られるのも面白いです。
米澤穂信の神山高校古典部4人組の第1弾。 因みにタイトルの『氷菓』は古典部の部誌の名前です。 省エネを信条とする主人公の折木奉太郎は、高校でも帰宅部を通すつもりが、 姉の命令により、部員数が0で廃部寸前の古典部に入部することに。 どうせ部員なんて自分一人だと高をくくっていたら、 実は既にもう1人「千反田える」という新入部員がいたのでした。 そして千反田の「私、気になります」攻撃で、奉太郎は心ならずも 学校内でのささやかな、しかしどうにも不可解な謎を解き明かす羽目に。 なぜ、女生徒は部室に閉じ込められていたのか… なぜ、図書館から、誰も読まない学校史の本が毎週貸し出されているのか…etc そして、千反田の行方不明になった叔父は、かつて幼い千反田に何を言ったのか。 それはとても怖いことで、千反田は泣いてしまったのだが、どうしても思い出せない。 古典部に関係があることだけは確かなのだが… 奉太郎のらしからぬ行動に興味津々の友人・福部里志と、付随して伊原摩耶花も入部。 総勢4人になった古典部に、ある課題がのし掛かる。 神山高校の名物である神山高校文化祭、通称カンヤ祭に古典部も参加しないといけない。 学校からもらえる活動費の名目は「文集作成費」。そう、部誌を作らないといけないわけだ。 部誌のバックナンバーを探す事から始まり、古典部とは何をする部なのか探るうちに、 部誌『氷菓』の謎と、千反田の叔父の謎が少しずつ解かれていく…。 青春小説です。しかしミステリです。『氷菓』創刊の秘密、結構ほろ苦いです。 しかし、奉太郎の絶妙なやる気のなさと、千反田の天然ぶりと、 手芸部と掛け持ちしてる里志、漫研との掛け持ちの摩耶花を入れた 4人の掛け合いがなかなか面白いので、良いバランスの作品になってます。
神山高校古典部4人組シリーズ第2弾。 主人公・折木奉太郎のやる気の無さは健在。 『氷菓』創刊の謎を解き明かした古典部の面々は、部誌作成に取りかかり、 厳しい進行役の摩耶花の叱咤の元、原稿は着々と集まっていました。(里志除く) そんな古典部の面々に2年生から珍妙な依頼が。 それは、とある館で起きた密室殺人の謎を解いて欲しいというものでした。 神山高校文化祭は部活単位での参加が基本。 しかし妙にやる気を出した2年F組は映画を自主制作…しようとしたのはいいのだけれど、 脚本担当者が途中でダウンして放棄。撮影は途中で頓挫。 そう、館で殺人が起きたという謎だけが提示され、結末がない状態なのです。 古典部の面々が頼まれたのは、2ーFの有志それぞれの推理を聞き、 それが果たして正しいかどうかを判定して欲しいというもの。 すっかり様相は『毒入りチョコレート事件』。 もちろん展開されるのは穴だらけの推理。 果たして2ーFの映画は無事に結末を手に入れ、完成することが出来るのか。 因みに、古典部に依頼がいった影には、奉太郎の姉・供恵の存在が見え隠れ。 まったくもって底知れないお姉様です。私、気になります。 作品自体はとても面白いんですが、気になるのは本のタイトルです。 内容がまったく類推できないので、却って損をしているような気がします。 じゃあどんなタイトルならいいんだ、と言われても困るのですが、 もう少しストレートなタイトルでも良かったかなと思います。 せめて、『氷菓』のシリーズだと一目で分かる程度には。
神山高校古典部4人衆シリーズ第3弾。 タイトルから内容が類推できない度・MAX! 因みに「クドリャフカ」とはソ連の作った宇宙船スプートニク2号に乗って、 地球に還ってくることが出来なかった可哀想なライカ犬の名前です。 この知識は本編読むのにカケラも必要ないので悪しからず。 古典部の面々は頑張って部誌『氷菓』を作りました。 しかし、ちょっとしたミスで部誌を刷りすぎてしまったのです。ほんの7倍ほど。 というわけで200部も刷ってしまった部誌を抱え、 これを3日間の文化祭で出来るだけ多く売るにはどうすればいいのか、 古典部4人の奮闘が始まったので御座います。 因みに奉太郎は店番。このやる気の無さがたまらない。 前々作・前作と大きく違うところは、奉太郎の視点からだけでなく、 4人それぞれの視点でお話が展開するところです。 千反田の視点は天然ボケで楽しいし、やっぱり里志は底知れないし、 摩耶花はちょっと漫研の人間関係がしんどくて切なく… 里志視点での里志の言葉に、奉太郎視点で絶妙なツッコミが入ったり、 イイ感じにキャラが立ってきているので大変楽しめました。 やっぱりネックは本のタイトルかなあ、と…。 「クドリャフカの順番」は、確かに謎解きの根幹に関わってる言葉なんですが、 あまりにタイトルから内容が類推出来なさすぎて、損してる気がしてなりません。 タイトルはシンプルな方が良いよ、うん…。 |