4334761321.死を呼ぶ婚礼
―修道士カドフェルシリーズ〈5〉

エリス ピーターズ Ellis Peters 大出 健


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修道士カドフェルの第5弾であります!
読み始めた時、ちょうど友人の結婚式だったので、
いくらなんでもこんなタイトルの本はいかんだろうとしばらく封印したりしました。

シュルーズベリの修道院で結婚式が行われる事になりました。
花嫁は18歳の美しい娘で、死んだ両親の遺産を受け継いでいるけど、
後見人である叔父夫婦にがんじがらめにされています。
花婿はカドフェルに年が近い資産家のおっさん。
もちろん後見人が仕組んだ典型的な政略結婚。
しかし女性に自由がない時代、これはしばしばある不幸だったのです。
本当の不幸は、花嫁には思い人がいたこと。それも相手は花婿の従者の青年。
従者といっても荘園を持っているし、身分的な釣り合いもとれていました。

結婚式前にクビを言い渡された上に、泥棒の疑いをかけられる青年。
それまでとは一転して「婚礼を心待ちにしてる」という花嫁。
そして結婚式の朝、花婿が死体で発見されます。しかも他殺で。
疑いは逃亡中の青年にかけられますが
実は彼は絶対に見つからない場所に匿われていました。
それは修道院の中の施療院。ハンセン病患者達の中だったのです…

相変わらず若い男女のラブ満載。
割と簡単に犯人は分かってしまうように思うんですが(動機も)、
それだけに「イヤー!そいつ犯人なんだからそんなことしちゃあ!」と
ヤキモキ出来るというのもある種の楽しみ方かと。
あと、後半に出てくる女性が妙に魅力的で、
美人でなくても人間として魅力のある女性を書くのが本当に上手だと思った。
この女性はのちの作品で再登場するので、作者もお気に入りっぽいです。


4334761348.氷のなかの処女
―修道士カドフェルシリーズ〈6〉

エリス・ピーターズ 岡本 浜江


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イングランドでは相変わらずスティーブン王と女帝モードが内戦真っ盛り。
女帝モードがウスターに攻め込んだ為、避難民が沢山シュルーズベリに。
ところがところが、避難民の中から貴族の姉弟が行方不明になっていた。
戦乱に乗じて夜盗が暗躍しているので放っておいては危険極まりない。

ブロムフィールド修道院に、怪我をした旅の修道士の治療に赴くカドフェル。
なんとその修道士は行方不明の姉弟と同道していたらしい。
縁あって姉弟を捜すことになったカドフェル。首尾良く弟は発見出来た。
しかし、姉(美人らしい)と連れのシスター(これも美人らしい)は不明。
弟の証言によると、みんながバラバラになったのは姉の身勝手のせいらしい。
お姉さんは生まれながらのトラブルメーカのようだ。
弟を連れて帰路を急ぐカドフェルは、凍りついた川の中に、
殺された美しい娘が横たわっているのを発見する。
果たしてこの死体は姉なのか、それともシスターなのか。

読みどころは、なんといっても、死体を発見するシーンの胸を衝く美しさでしょう。
とてもつらい、悲惨な光景なのに、美しいとしか表現出来ません。
よくこんなシーンを考え出したなあと、ただただ感心しきり。

そして、治安の為なら頑張るヒュー・ベリンガーも有能っぷりを発揮。
珍しく彼らの戦う姿を見ることが出来ます。
特筆すべきは、オリーブ色の肌をした青年の登場でしょう。
彼の存在は、カドフェルさんの人生の色合いを大きく変えてしまうのです。


4334761364.聖域の雀
―修道士カドフェルシリーズ〈7〉

エリス ピーターズ Ellis Peters 大出 健


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修道士カドフェルおじさんのシリーズ第7弾。
いつも通りに礼拝をしていたシュルーズベリの修道院に、
1人の若者が傷だらけになって飛び込んで来ました。
彼は旅芸人で、強盗と殺人の疑いをかけられ、、
暴徒と化した街の人々に追われて修道院に逃げ込んで来たのです。
修道院の中は一種の聖域。修道院は逃げてきた者を保護する義務があります。
カドフェルさんは若者が無実であることを確信して、真犯人探しに乗り出します。

このお話でも、もちろん若い男女のラブ話は健在です。
健在すぎて、若い男女が出て来たら容疑者から外せちゃうくらいだ。
今回は旅芸人と、殺された男の家の下働きの娘が恋をしますよ?
しかも修道院の礼拝堂で結ばれちゃうんだからとんでもない話です。
このカップルがまた、純粋というか純朴というか。いいんですよ。
もう一組カップルが出て来ますが、なかなか対称的で面白いです。

あと、音楽の事しか考えてなさそうなブラザー・アンセルムが良いです。
この作品以降もしばしば出て来ますが、なんかなごむ方です。

面白いのは修道院に匿われている間は、例え若者が本当に殺人犯だとしても、
誰も手出しが出来ないというところですね。
日本でもかつて駆け込み寺、無縁寺なんてありましたが、
どこの国でも宗教施設は俗世間の介入できない聖域のようです。
江戸でも、下手人が寺社の敷地に逃げ込むと、寺社奉行の管轄になるので、
町奉行の同心は手が出せなかったりしたんですよ、
と、なんでも江戸時代の話に結びつけるマン。


4334761380.悪魔の見習い修道士
―修道士カドフェルシリーズ〈8〉

エリス・ピーターズ 大出 健


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修道士カドフェルおじさん大活躍シリーズ第8弾。
1140年秋。シュルーズベリの大修道院は、
メリエットという見習い修道士を1人受け入れました。
やけに急いで正式な修道士になりたがっている以外は、別に普通の若者です。

日  中  は  。

夜になると、就寝中に悪夢にうなされ、恐ろしい叫び声をあげるのです。
それも毎晩毎晩。ハッキリ言って良い迷惑です。
他の見習い修道士には小さい子供もいるので怯えちゃって大変です。
そんなはた迷惑な彼につけられたあだ名が「悪魔の見習い修道士」。

さて、その頃俗世間では司教の側近が行方不明になっており、
彼が最後に目撃されたのは宿泊先のメリエットの実家を出たところ。
その失踪とメリエットの修道士志願はちょうど時期が重なりますが、
彼の毎晩見る悪夢と、失踪事件には関わりがあるのでしょうか。
無いわけがないので、カドフェルさんは真相究明に乗り出します。
修道院に安眠を取り戻せカドフェル。頑張れカドフェル。

相も変わらず男女のラブ話があります。メリエットと隣の荘園の娘さん。
「彼は私のものです」と断言してしまう辺りがすごい。
メリエット君は頼りない感じなので、なかなかお似合いなんですが。

詳しいことはネタバレになってしまうので言えませんが、
割と政治的な話が絡んでくるので、その辺りがちょっと異質な事件ですね。


死者の身代金 ―修道士カドフェルシリーズ(9).死者の身代金
―修道士カドフェルシリーズ(9)

エリス・ピーターズ 岡本浜江=訳


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またしても政治的な事が絡んできますね。
歴史的事実を物語に組み込むのがとても上手だ。

州執行長官が捕虜になってしまい、こちらの捕虜と交換する事になるのですが、
重傷を負っていた執行長官が殺されてしまいます。
というわけで当然、捕虜交換が微妙な事態に。

執行長官のプレストコートさんは、今まで名前はよく出てましたが、
まさかこんなことでお亡くなりになるとは思ってなかったので軽くショック。
そんなに良い人でもなかったけど、悪い人でもなかったのになー。
名前くらいなら2巻から出てたのではないでしょうか。
なんとなく「サブレギュラー」的に考えていたので、殺されるとは夢にも。

若い男女の恋パートはプレストコートの美人な娘さんと捕虜の男性。
すごいイバラの恋っぷりにドキドキです。
この辺りから、登場人物表で恋ばなの主を推測して読むようになりました。


憎しみの巡礼―修道士カドフェル・シリーズ〈10〉.憎しみの巡礼
―修道士カドフェル・シリーズ〈10〉

エリス ピーターズ Ellis Peters 岡 達子


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聖ウィニフレッドの遺骨がシュルーズベリ修道院に移葬されてから4年。早いものですね。
詳しい事は1巻の「聖女の遺骨求む」を参照していただくとして、
カドフェルさんは誰にも言えなかった重荷を少しだけ軽くすることが出来た模様。
持つべきものは友達です。カドフェルとヒュー・ベリンガーの友情って良い感じだな。
軽く30歳は離れてると思うんですが、友情に年齢は関係ないようです。

さて、お祭りに合わせて沢山の信者や巡礼者がシュルーズベリに集まってきます。
そうかなるほど、これがあるからどうしても遺骨が欲しかったのねと納得。
人が沢山来ると、修道院が潤いますからね。

巡礼者の中に奇妙な二人組の男がいて、
遠いウィンチェスターで1人の騎士が殺されていて…
一見つながりがない事柄がひとつに繋がって行くわけですが、
ウィンチェスターの騎士の話がわりと唐突な印象なので、
明らかに「ああ、この二人組と関係あるのね」と分かりすぎてしまうのが難点。
あと、二人の巡礼者の関係が友情ではないだろうことは、
本のタイトルから容易に類推可能。ちょっと話に無理があるかなあ。

でも、ウィニフレッドの奇跡にはホッといたしました。よかったねカドフェルさん。
早くブラザー・マークが司祭になって帰って来て、カドフェルの懺悔を聞いてくれると良いですね。


秘跡 ―修道士カドフェルシリーズ(11).秘跡
―修道士カドフェルシリーズ(11)

エリス・ピーターズ 大出 健


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イングランドは相も変わらず、スティーブン王と女帝モードが王位を争ってます。
犠牲になるのはいつも庶民。修道院から焼け出された修道士が二人、
シュルーズベリ大修道院を頼ってきます。
十字軍の英雄だった修道士と彼を慕う若い修道士は、喜んで迎えられますが、
元英雄は、戦争で負った傷が深く、もう長くは保たないようです。

元英雄の心残りは、十字軍に従軍する前に婚約を解消した少女の行く末。
少女は自らの意志で女子修道院へと入ったと言うが、その修道院も戦争でちりぢりに。
なんとか見つけた修道院長は、そんな少女など修道院にはいなかったと証言します。
修道院へと向かったはずの少女は一体どこへ消えたのか。
カドフェルは死を目前にした元英雄のために、少女の行方を探します。

とうとう、といいますか、今まで無かったのが不思議なくらいなのですが、
修道院に絶対あったに決まっている衆道、いわゆる1つの男色の話が出てきますね。
『悪魔の見習い修道士』の時に、間違いが起きないように、
子供達の寝室の前にはブラザー・ポールの寝床があって見張ってるという描写があったので、
やはり、皆さん警戒はしているようなんですが。

美しい見習い修道士と、元英雄のおつきの修道士さんに心惑わされてしまう、
そんな修道士さんが出てくるのですよ。
別にエロティックな描写があるわけではないんですが、
彼の惑わされ方が、ちょっと生々しくてびっくりしました。
ちゃんと彼にも救いが用意されていて、良かったです。


門前通りのカラス ―修道士カドフェルシリーズ(12).門前通りのカラス
―修道士カドフェルシリーズ(12)

エリス・ピーターズ 岡 達子


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ファーザー・アダム亡き後、空席となっていた聖十字架教区(門前通り)の新しい教区司祭を、
ラドルファス修道院長がロンドンから連れてきた事から話は始まります。
故ファーザー・アダムは学識こそなかったものの、教区司祭に必要なものは備えていました。
が、新しい教区司祭は厳格で、謙虚さや寛容といったものからは無縁の人物。
教区の人間の事よりも、自分の修身の方が優先。ファーザー・アダムの対極にいる人柄でした。
彼の杖で打ち据えられた子供とその親。自分の仕事を疑われたパン屋。
身持ちの悪さを懺悔しても、許しを得られなかったため、絶望して川に身を投げた少女の親。
司祭が自分の祈祷を優先したため、洗礼を受けられず、教会墓地に葬ることを拒否された赤子の親。
門前通りの人々の新司祭に対する怒りはと憎しみは、日毎に募っていきました。

だからクリスマスの夜、彼の死体が池に浮いているのが見つかったときも、
悲しむ者はいなかったし、誰が殺してもおかしくなかったのです。
しかし、どんな人物であったにせよ、殺されて良いわけではない。
カドフェルさんは、司祭を殺した犯人の手がかりを探し始めました。

修道院の司祭と、教区司祭の求められるものの違いが、非常に興味深かったです。
修道院に入っている人は、自分の修養を最優先するけれども、
教区司祭は教区の人の事を自分よりも優先して考えられる人でなければいけないんですね。
新司祭が殺された後、次に派遣されて来た司祭はまともな人だったんだろうか。


代価はバラ一輪 ―修道士カドフェルシリーズ(13).代価はバラ一輪
―修道士カドフェルシリーズ(13)

エリス・ピーターズ 大出 健


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シュルーズベリに住む若い未亡人が、修道院に自分の財産である家を寄進しました。
条件はただ1つ、家の庭に咲くバラの花をたった一輪、
聖ウィニフレッドの祭の日に届けて欲しいというものでした。なかなか洒落てます。
ウィニフレッドの祭を間近に控えたある日、その家の庭のバラの前で、
彼女にバラを届ける役だった修道士が殺されてしまいました。
遺体発見直後、今度は未亡人が突然失踪します。彼女は一体どこへ消えたのか。

若く、美しく、財産のある未亡人は、沢山の人に言い寄られ、狙われています。
再婚目的で誘拐された可能性もありあり。
何よりも、彼女の寄進した家で修道士が殺されたという事実が、事件に影を落とします。
彼女は無事でいるのか。この失踪と殺人事件は関係しているのでしょうか。
行方不明の未亡人を探して、ブラザー・カドフェル大奮闘。

恒例のラブ話は、美しい未亡人の再婚相手が誰になるのかというところ。
これがまた、非常に良い感じに心温まるお話なんですよ。


シャム双子の謎.シャム双子の謎
エラリー・クイーン 井上 勇


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北村薫の『ニッポン硬貨の謎』を読むためには、クイーンのこの辺を読んでおけ、
と「このミス」に書いてあったので、『ニッポン硬貨』読破のために本書読了。
シャム双子というのは、体の一部が結合してしまっている双子の事なんですね。
これを読んで、『暗黒館の殺人』に双子が出てくる理由がやっと分かりました。
クイーンへのオマージュだったんですのね…。

山火事に追い立てられたクイーン父子は、山の頂上にあるお屋敷に逃げ込みます。
まさに陸の孤島状態。これで事件が起きないはずがありません。
そこで屋敷の主人が殺されるのですが、犯人探しは難航。
おまけに山火事はちっとも消えず、次第に屋敷を取り囲んでいきます。
下から火に炙られる状態で、逃げ場無し。
殺人事件はあまり印象に残らないお話でした。
炎に囲まれた屋敷という特殊な舞台設定の方がインパクト強いですね。
クイーンものの中では異色な作品だそうです。確かにそんな感じ。