池澤春菜さんの推薦文と水玉蛍之丞さんの表紙がまぶしいSF小説。 お父さんの影響で池澤さんはすごいSFマニアなんだそうですよ。 舞台は未来。人類は不老不死を手に入れ、主人公も既に一世紀以上生きています。 長年の夢だったフロリダのディズニー・ワールドのマジックキングダムに住み、 スタッフとして働いている主人公。自分の15%の年のガールフレンドと一緒。 幸せだった主人公に思いも寄らない事件がふりかかります。 果たして彼はホーンテッド・マンションを守ることが出来るのか。 「不老不死」というすごい設定にも関わらず、お話そのものは マジックキングダムの、さらにリバティースクエアというとても狭い地域での 世界規模で見るととっても小さな争いに終始してるところがとても好きです。 私は知らなかったんですが、フロリダのディズニーワールドってとても広くて マジックキングダム自体がそのほんの一部なんですね。 因みに東京ディズニーランドはマジックキングダムをモデルにしているので、 この小説の舞台は東京ディズニーランドを思い浮かべて読んでも支障ありません。 といっても私は本場のディズニーランドには行ったことがあるのに、 何故か東京ディズニーランドに行ったことがない人なので分からないのであった。 シンデレラ城じゃなくて眠りの森の美女の城があったですよ。 ディズニーシーなら何度も行ってるんだが、なんでランド行ってないのかな自分…。
創元推理のミステリ・フロンティア。 都会生活での思わぬつまずきから、地元に帰って自営業を始めようと決めた紺屋。 最初思い浮かべたのはお好み焼きだったが、支障があったので調査事務所を始めた。 それも、犬専門。犬を探すことだけを専門にした探偵のつもりたっだ。 それなのに舞い込んだ依頼は失踪人の捜索と古文書の解読。 断れない筋の依頼だったので押しかけ助手ハンペーと手分けして調査を進めていくと、 この2つの依頼が微妙にリンクしている事が分かっていき、そして…。 今までの米澤穂信作品とはちょっと雰囲気が異なります。 主人公の年齢も今までより高めですしね。 ラストの後味の悪さもかつてないものでした。やられたなあっていうか。 紺屋さんも本領発揮してないようなので、続編を期待してしまいます。
萌え系のロリロリしたカバーイラストに油断すると痛い目に遭います。 「青春暗黒ミステリー」となってますけれど、 その言葉からイメージする内容より重い。 読んでいてひたすら痛い、つらい、切ない気持ちでいっぱいになりました。 自分を「人魚」だと言い張る「海野藻屑」という転校生と、 母のパート代と生活保護で、 ひきこもりの兄の面倒をみながら生きる少女の 奇妙で哀しい友情の物語です。 1ページ目で分かってしまうので言ってしまいますが、結末は悲惨です。 主人公の友人・海野藻屑はバラバラ死体となって主人公に発見されます。 主人公の少女は転校生の少女と友情を深めながら、 悲劇へ向かって突き進んでいくのです。 「砂糖菓子の弾丸では、子供は世界と戦えない」 主人公は家族を支える為の「実弾」が欲しくて中学卒業したら自衛隊に入ると言います。 この「実弾」は本当の弾ではなく、お金を稼ぐことや、夕飯を作ること等を漠然と指してます。 それに対して海野藻屑は自分を人魚と主張し、沢山嘘をつき、 「砂糖菓子の弾丸」で自分を取り巻くどうしようもない世界と戦おうとします。 でも砂糖菓子の弾丸では子供は世界と戦えない。 海野藻屑はバラバラ死体となって、その事を主人公に思い知らせてしまうのです。 大人として子供を不条理な暴力から救うために何も出来ていない事を痛感しました。 ていうかこの作品、ライトノベルという括りでいいんですか? あまりにも話が重いし、読者が限定されてしまって勿体ない気がします。 表紙や挿し絵がロリロリしていたのは救いかもしれません。ハード過ぎる…。 作中に出てくる「答えられたらヤバイクイズ」の答えは、さっぱり分かりませんでした。 幸いな事に、私は正常で健全な精神の持ち主のようです。 と言いますかこのクイズ普通に答えられたら本当にヤバイと思います。分かってはいけない。
富士見ミステリー文庫です。ライトノベルです。 最近ライトノベルが熱いですが、私の中でも熱いです。 桜庭一樹さんの文章は読みやすくてしっかりしてて大変私好みです。 この本は後書きがすごいです。とにかく凄いんです。 本編興味無い方も、絶対に後書きだけは読んで下さい。絶対ですよ。 ヨーロッパの架空の小国を舞台に、留学生の久城一弥くんと、 図書館の屋上の植物園に巣くう美少女・ヴィクトリカの 素直になれないツンデレカップルが事件の謎に迫ったりするお話。 因みに探偵役はヴィクトリカです。「君は本当に頭が悪いな」と一弥は罵られてます。 ひょっとしたら一弥はMなんじゃないかとたまに思います。 本格的な推理物というより、ホームズ的な冒険小説っぽいです。 そしてキャラ小説なので、可愛い一弥やヴィクトリカに大いに萌えるといいと思います。 MYSCONのインタビューで石持浅海先生が 「これほどシリーズ物の探偵が求められるとは思っていなかった」と おっしゃっていたんですが、ライトノベル=キャラ小説とすると、 ライトノベルほど探偵モノに向いてるジャンルはないかもしれません。 読者がシリーズ物のミステリを読むのは、 お気に入りの探偵の活躍が見たかったり、 探偵さんとワトソン役の関係がどうなるのか知りたかったり、 理由なんてそんなところじゃないかと思うんです。少なくとも私はそうです。 考えてみると、ポアロやホームズがどんな人かは良く覚えてても、 事件ひとつひとつについての記憶は割と曖昧です。 やっぱり探偵小説に重要なのは事件の内容やトリックよりも、 探偵のキャラをいかに立たせるか、なのではないでしょうか。 探偵のキャラが決まれば、どんな事件が起きるかも見えて来ますしね。
MYSCON7読書会の課題図書。 倒叙形式の密室殺人ものです。犯人は主人公。 因みに倒叙というのは、犯人が分かっていて、それを追い詰める形式のミステリです。 完璧だったはずの偽装工作を暴いていく探偵役との頭脳戦が見所です。 ちょっとデスノートみたいな雰囲気だよ、というふれこみで読んだのですが、 探偵役が主人公に好意を持っている美女というあたり、 デスノートとはだいぶ趣が違うんじゃなかろうかと思いましたよ。 主人公、羨ましすぎ。多分全然不幸じゃない。 内容に深く突っ込むとネタバレしてしまいそうなのであまり書けないのですが、 仕事中に外出先で仕事サボって一気に読み終えたくらい面白かったです。 MYSCONでネタバレ全開でみんなで感想を述べ合ったのも面白い経験でした。 その時もほとんど好意的な意見ばかりで、質の高いミステリである事を実感しました。
『春期限定いちごタルト事件』の続編。 小市民を目指す小鳩君と小佐内さんは恋愛関係でも依存関係でもない、互恵関係にある。 何にでも首を突っ込みたがる探偵癖をどうにかして小市民になりたい小鳩君。 高校2年の夏休み、小佐内さんがやって来て小鳩君に渡したのは 『私のこの夏の運命を左右する「小佐内スイーツコレクション・夏」…』 ふたりの夏は甘いもの巡りの夏でもあるのです。 しかし小佐内さんが何もなしに小鳩君をひきずりまわすはずがない。 小鳩君は小佐内さんの意図に推理を巡らせてしまいます。そして…。 ラストが衝撃的です。気になる。秋期限定が気になる。続きまだー?(AA略) 多分堂島君に言わせればまだるっこしい二人なんでしょうね。 一緒にいることに互恵関係だなんだと理由をつけるからややこしくなるのだ。 「小市民になりたい」を自分たちを特別視する傲慢だと気づいた二人。 いいですね、青春小説っぽい。 これからこの二人がどう変わっていくのか、その中で二人の関係がどう変化するのか、 本当に続きが楽しみです。次は秋だからモンブランですかね? 毎回出てくるケーキが美味しそうなのもこの作品の見所ですね。 私もこのシャルロット食べてみたいなあ。
NHKでドラマにもなった夢水清志郎のシリーズです。 夢水を演じたのが和泉元彌だったことは私の中で黒歴史になっています。 なんで和泉元彌だったんだろう…。よりによって…(ブツブツ) 何と二重の袋とじです。袋とじを開けるとさらにまた袋とじが!! 最初が黒い袋とじで、そこを開けるとメイントリックが! そして袋とじの中にさらに赤い袋とじ(妖しさ120%!)が…その中には事件の本当の真相が… うわー、ドキドキしますね! しかし図書館で借りて読んだので、最初から袋とじは全開でした。 情緒もへったくれもないっていうか。 図書館で借りてばっかりですみません。悪いのは私です。 事件の真犯人も真相も、ミステリ慣れ(ミステリずれ)した私のようなダメ大人には 特に衝撃的なものではなかったけれども、 こういう本格的なミステリを初めて読む子供にはショックだろうなと思います。 はやみね先生には、どんどん子供達にミステリ英才教育を施していって欲しいですね。
いーだ俊嗣(旧・すんぢ)さん作画で月刊シリウス連載していた 『テレパシー少女蘭 ねらわれた街』の原作です。 コミック版は↓こんな感じです。すんぢさんファンにはたまりませんよ。
![]() ごく普通の中学生、磯崎蘭の目の前に現れた転校生の美少女・翠。 翠がテレパシーで話しかけ、それに答えているうちに蘭は自分の隠れていた力に気づきます。 いい形でない出逢いをしたけれども次第に仲良くなっていく2人。 家族にも誰にも心を開けなかった翠も、蘭と蘭を取り巻く人々と触れ合う内に、 ひとりの少女としての心を取り戻していきます。 そんな2人の前に現れた謎の仮面の人物。 そして2人の住む蔦野市で次々に起こる不可解な事件。 否応なしに巻き込まれていく2人は、事件を解決することが出来るのか。 青春小説です。蘭も翠も留衣も可愛いですね。 特に翠がですね。美少女でツンデレなんです。ツンデレエスパーなんです。 翠が蘭にほだされていくところは、怯えていた小動物が懐くようでなんともたまりません。 というわけでこの小説もキャラクターに萌えるのが正しい楽しみ方だと思います。
『ねらわれた街』の続編です。これもいーだ俊嗣さん作画でコミック化されています。 のっけから翠の存在を無視して留衣とラブラブしようとする蘭。困った奴です。 なにしろ今回は猿にまでやきもちを焼くのだから大変です。 蘭の部屋の窓からみたこともない怪しげな景色が見え、助けを求める声が聞こえます。 景色は蘭にも翠にも見えるけれど、声はなぜか蘭にしか聞こえません。 時を同じくして、蘭の父親(つけものメーカー勤務)に古い友人から 「エマヒクサ」という植物の調査依頼が舞い込みます。 蘭の父と同行する蘭・翠・留衣たち。 辿り着いた疾風村で蘭と翠が見たのは、窓から見えたあの景色だった。 そして蘭にしか聞こえない助けを求める声の正体は誰なのか…。 シリーズ第2弾です。 キャラクタービンビン立ってます。キャラに萌えつつ読むとイイです。 正直、怪しい人物の正体とか、謎の声の正体も、翠の危機の救い方も、 ちょっと微妙だな〜と思わなくもないんですが、キャラが良いからまあいいか、と。 登場人物に感情移入してるので、多少内容がアレでも私は一向に構わないデス。
ご託はいいのでとやかく言わずに翠に萌えるのがいいと思う。 今回もツンデレ少女翠は絶好調です。 そして、留衣は蘭にだけもてているわけではないんだぜ?というお話。 蔦野町に突然野生動物が出没したり、同級生がいきなり暴走しだしたり、 蘭達の周りでまたも不思議なことが起こります。 謎の鍵を握るのは一度だけ会った不思議な老婆。 彼女に渡された名刺を元に辿り着いたのは… 正直言ってオチはありきたりであまり良くなかったです。 「私の中に何かがいる」の意味がかなり衝撃的だったのに、残念です。 しかし、相変わらずツンデレ翠の面白さは全開なので、 キャラクターのその後を追えるぞ、という気持ちで読むとよいかと思います。
修道士カドフェルおじさんの愉快な生活第14弾。 シュルーズベリ大修道院の寄宿生として勉強と遊びに励んでいた10歳のリチャードは、 父親の死によってアイトンの新領主となりました。 修道院は修道士だけでなく、一般の子供も受け入れてました。寄宿学校みたいなもんですね。 遺言により成人するまではラドルファス院長が彼の後見人となる決まりでしたが、 領地を拡大したいリチャードの祖母は隣の領主の娘とリチャードの政略結婚を目論みます。 その娘はリチャードより10歳も年上。孫の気持ちなど考えない無茶苦茶な縁組みです。 そしてそのリチャードの姿が修道院から忽然と消えます。 祖母に誘拐されたのならば、連れ戻して助けのは非常に困難です。 一方、最近アイトン・フォレストにはカスレッドという隠者が住み着き、信者を増やしつつありました。 リチャードが姿を消したのとほぼ同じ頃、カスレッドを訪ねた男が死体で発見されます。 この2つの事件につながりはあるのでしょうか? そしてリチャードの行方は? カドフェルは2つの事件を解くために薬草園を離れて捜査を開始します。
シュルーズベリ修道院で屋根の修理をしていたブラザー・ハルインは足を踏み外し重傷を負ってしまう。 誰もが助からないと思い、ハルインは過去の罪を修道院長とカドフェルに告白した。 18年前、身籠もった恋人を堕胎させるためにカドフェルの薬を盗んだこと。 その薬のために恋人を死なせてしまったことを。 罪を告白して心が軽くなったのか、ハルインは奇跡的に回復。一命を取り留める。 院長は、死なせた恋人の墓所で一晩祈りを捧げたいというハルインの願いを聞き入れ、 足の不自由なハルインのサポートとしてカドフェルを選んだ。 ハルインは恋人の墓所で贖罪の祈りを捧げたのだが、恋人の母親は不自然なほど無関心を装う。 帰り道で宿を求めた荘園で、年老いた召使いが殺され、領主の妹が行方不明になる。 本来は事件の事など気にせずまっすぐ帰らなければならないのだが、 こんな事件を目の前にして、カドフェルが帰れるわけがない。 神父に若い娘はここに葬られてないと言われたり、 ハルイン自身は恋人の遺体を見てはいなかったりと、明らかに恋人生きてます。 それは最初から分かっていることなので、ではどこにいるのかが問題ですね。 これがなかなか粋な話なのです。 お互いが生きているだけで幸せだというのも、素敵な関係ですね。 |