夜間トイレの室内廊下照明


 一人暮らしのお年よりや老夫婦だけの家庭の場合、周りの人々のきめ細かな配慮が必要となります。就寝後にトイレに行くことが日常化することへの足元安全化対策としての夜間照明もその一つ。

 室内照明設備は、近年建築された大手住宅メーカーの家屋を中心に充実していますが、およそ15年以前に建築された家では不十分なケースが少なくありません。そこで、都市型住宅(玄関の近くにトイレがあり、比較的短い廊下等の先に寝室が配置されている)での照明方法の改善手法をご紹介します。


その1: 簡単で、しかもローコストで実現できる常夜灯(ナイトライト)の設置

 家電店、ホームセンター、スーパーマーケット等の電気器具売場でよく見かける[ナイトライト](メーカーにより名称は異なりますが、5ワット程度の小電球がついていて、電源コンセントに差し込んで使う夜間の足元照明器具)を利用する方法です。

 これは、誰しも使えるものなら利用したいと思いますが、現実にそれを差し込むコンセントが適当な場所(廊下等)に無い場合が多くすぐには使えない。さりとてコンセントを必要な場所に新設しようとすると、露出配線となって体裁も悪く費用も嵩みます。そんなこんなで諦めてしまうのが普通です。かく云う私もその一人でした。

 しかし、よーく考えてみるとナイトライトはコンセントがなくてもつけられるのです、それも僅かな費用で。それは、トイレ内の照明灯を入/切する廊下側についているスイッチと同じ場所(スイッチ・ボックス内)にコンセントを増設するのです。
 “なに?、スイッチ・ボックスに電源はないぞー!・・・”、“ハーイ、電源に代わるものがあるのでーす!!”。

 実は、25年程前から我が家で実践してきた方法、“つまり、トイレの電球(40W程度)とナイトライト電球(5W程度) の抵抗(消費電力)差を利用してナイトライトを点灯させるものです。従って、一つ条件があり、それはトイレ内の照明器具が[白熱灯(昔からある普通の電球)]に限定されること(蛍光灯はその構造上不可)です。また、増設するコンセントは[ナイトライト専用]で、他の用途に転用することは出来ません。

●コンセントの取り付けと結線方法(下の『図解』を参照)
 @ナイトライト用コンセント増設前の状態
 Aコンセント・ボックスのカバー・プレートを外し、中から取り付け枠を取り出す
 Bスイッチから線を外す
 C中央についているスイッチを、下側に移す
 D上側に新規にコンセントを取り付ける
 E上側のコンセントと下側のスイッチの間を、並列に結線する
 F上側のコンセントに、Bで外した線を接続する
 G取り付け枠を元のコンセント・ボックスに取り付け、新しいカバー・プレートを取り付ける
  これでナイトライト用コンセントの増設完了
 Hコンセントにナイトライトを差し込む

『図解』 ナイトライト用コンセント増設方法
@ @A BCD E F G H

 (注)スイッチ、コンセント、取付金属枠、カバープレートは、同一形状のものでなければなりません。古いタイプのスイッチは現在のものと形状が違っていて、使えない場合があります。その時は、取付金属枠を含め全部新規に購入しましょう。
  取付金属枠:45円、スイッチ(片切り):270円、コンセント:130円、結線用銅線:10円、カバープレート(2コ口):100円で、全部買っても555円で揃います(価格は近隣の“Do it Yourself 店”調べ)。

●動作状態
 トイレの照明灯が消灯状態でナイトライトが点灯し、逆に点灯状態でナイトライトは消えます。

●使用方法
@ナイトライトを頼りにトイレに到達したら、これまでと同様スイッチを入れトイレの照明灯を点けます(ナイトライトは消灯します)。
Aトイレ使用後はスイッチを切らないとナイトライトが点かないため、“トイレ内照明灯の消し忘れ”も防げます。
 尚、トイレ内の照明電球が切れていると、ナイトライトも点灯しなくなります(トイレ内電球とナイトライトが直列接続となっている)ので、ご承知おきください。

●ナイトライト
 ナイトライトには大別して手動点滅用スイッチが付いたもの(460円〜)と、暗くなったら自動点灯し明るくなったら自動消灯するセンサー付きのもの(780円〜)との2種類があり、形も一般向けから子供向けまで種類も豊富です(上の写真は、貝殻を使ったもので江ノ島で買いました)。お好みの器具をお求めください。





その2: ひとセンサー付き照明器具の利用(全自動型)

 内玄関ホールや廊下の天井に「ひとセンサー付き照明器具の利用」する方法。この照明器具の真下より半径約3mの範囲に人が入ると「ひとセンサー」が(人間など熱を発する動く物体)を捉えて自動的に点灯し、この動くものがなくなる(いても動かなくなる)と10秒〜6分(範囲は任意に設定可)後に自動的に消灯するもので、更に夜など周囲が暗くなった時のみ点灯する「明るさセンサー」を内蔵した製品が多い。発光体は、白熱電球を使用したものと蛍光管を用いたものとがある。

 我が家では数年前に建替えた際、ひとセンサーと明るさセンサーを持つ照明器具(30Wサーク管を搭載したインバーター方式の蛍光灯・・・右の写真)を内玄関ホールの天井に取り付けることにした。
 この照明器具は、周囲が暗くなった時に人が近づくと点灯し、立ち去った後で消灯する。もっと具体的に日常生活下での動作状態をご紹介すると、

●自動点灯(夜間のみ)するのは @帰宅時に玄関扉を開けた時、A2階から階段を降りてくる途中、B洗面所、風呂室やトイレから廊下に出た時、C各部屋から出て玄関(トイレ)方向へ廊下を約1.5m歩いた時。

●自動消灯するのは @ひとセンサーの感知範囲外に出た時、Aひとセンサーの感知範囲内で静止してから、それぞれ30秒経過した時。

●スイッチ操作(夜間のみ)をするのは 連続点灯させる(自動消灯させない)必要のある時のみ一旦スイッチを切り、2秒以内にスイッチを入れる。この操作により、そのあと再びスイッチを切るまでの間、消灯しない。連続点灯を止めるときは、スイッチを切ってから2秒以上経過後スイッチを再度入れることで通常の状態(センサー・モード)に戻る。

 このように、連続点灯をさせる必要がある場合を除き、スイッチ操作をする必要が全くないため手間がかからず、スイッチの入れ忘れや切り忘れも生じない。文字通り「全自動」である。


●玄関ホールや廊下天井の既設照明器具と取り替える場合
 既設の照明器具を上記のセンサー付き照明器具と取り替えることも簡単にできる。但し、古い建物では、ソケットの規格変更によりソケットが合わないことが多い。その場合にはソケットを[角型引掛けシーリング・ボディー(110円〜130円)](右の写真)に取り替える必要がある。これさえあれば、新しい照明器具(12,000円〜32,000円程度)は簡単に工具ナシで取り付けることができる。