【XTRデュアルコントロールレバーを購入】
MTBのAttitudeXのシフトレバー、ブレーキレバーをシマノのXTRデュアルコントロールレバー「ST-M961」に交換しました。この型のシ フターはとても不人気で、普及が進んでいません。数年後に存続しているかどうかも不透明なので、是非一度使ってみたいと導入しました(笑)。
XTRとロードレーサー用のDURA-ACEは私のとって豚に真珠、猫に小判ですから、ワイヤーやチェーンのような消耗品以外には手を出さないようにしてきました。ですが、デュアルコントロールレバーの最大の“難点”はデザインで、XTなどはめまいがするほどダサいです(XTのユーザーの方、ごめんなさい)。XTRは、デザインがなんとか許容範囲かと思って導入しましたが、意外や意外、結構いいです(笑)。クランプ部に意匠の工夫があることや、安っぽく見える元凶であるインジ
ケータを本体から外したことなどで、デザイン的にうまくまとまっています。
ただ、操作性は予想より悪いです。シフティングの際にグリップの握り位置を全く変えずに済むのと、レバーを押し下げるシフトアップの操作感は素晴らしいのですが、シフトダウンのために指の背でレバーを跳ね上げる動作がイマイチです。人間の自然な動作にマッチしていない感じです。ハンドルへの取り付け角度を深めにしておけば、指がそっくり返るという違和感はないのですが、指の背は筋肉が少ないためレバーが指の骨に直接当たる感じで、少し不愉快です。また、指の背で跳ね上げる動作はそれほど力が入りませんから、特にフロントディレーラのシフティングが実際以上に重く感じます。
「ブレーキングとシフティングが1つのレバーででき る」という基本コンセプトに無理があるようです。コンセプトを変更して、補助レバーを使いやすくしない限り、デュアルコントロールレバーはやはりマイナーパーツのまま終わりそうです。
【インジケータ】
XTRデュアルコントロールレバーのインジケータは、シフトワイヤーの途中に取り付けます。インジケータはシマノ用語で「オプティカル・ギア・ディスプレイ」という大仰な名前が付いていますが、このインジケータは恐ろしくシンプルな仕掛けです。
インナーワイヤーをインジケータ内の赤のリングに通すだけです。ギアチェンジの時のワイヤーの動きに合わせて、赤いリングが動く、たたそれだけです。し
かし、このアイデアはグッドです。インジケータを本体から外したことで、本体のデザインの余地が広がりました。それに、XTのように本体に付けていると、
とてもダサいインジケータですが、こうしてワイヤーの一部になるとスマートな印象です。
それに、インジケータを使わない選択肢も生まれます。シフトチェンジのスキルのある人は、インジケータはいらないでしょう。私の場合、フロントがアウ
ターで、リアがローといった誤ったシフティングを避けるために、インジケータは必要ですが・・・。そうそう、細くて見にくそうですが、視認性は悪くありま
せん。
ところで、このインジケータに関する説明は、マニュアルには一切ありません。当初、どうやって付けていいか戸惑いました。少し不親切ですね。
【左右の大きさ】
デュアルコントロールレバーは左右で大きさが違います。フロントのディレーラを操作する左側のレバー(写真では右)の方がはるかに大きいです。リアディレーラに比べ動きの重いフロントディレーラは操作するためには、これぐらいの大きさがいるということでしょう。
【フロントバッグを付けても大丈夫】
XTRデュアルコントロールレバーを装着したAttitudeXに、フロントバッグを取り付けてみました。デュアルコントロールレバーでは、変速のためにレバーを前方向に跳ね上げるため、フロントバッグと干渉しないか心配でしたが、全く問題ありませんでした。
デュアルコントロールレバーはブレーキをかけるときには本体ごと動くのですが、シフティングでレバーを跳ね上げたり押し下げたりする際には、レバーだけ
動くのでバッグとは干渉しません。シフトワイヤーに取り付けたインジケータも、バッグに邪魔されることなく見ることができます。
【補助レバー】
AttitudeXに導入したXTRデュアルコントロールレバーですが、この親指で操作する補助レバーがどうもいただけません。このレバーは親指で押す
と、メインのレバーを中指などの背で跳ね上げるのと同じ効果があります。この補助レバーの操作性自体は極めて良いため、メインのレバーを跳ね上げる動作が
苦しくとも、この補助レバーを併用することで快適な操作性を維持できるはずなのですが・・・。
ところが、この補助レバーは親指で操作するには、ちょっと遠いのです。もう少しハンドルの近くに近づける形状にすれば、極めて扱いやすいはずなのに、そ
うなっていません。最初の
ST-M960をマイナーチェンジしたST-M961では補助レバーを使いやすくしたとのことですが、全然ダメです。バリこそありませんが、プラスチック
丸出しの質感も全体のデザインに不調和です。
当然シマノもそれを分かっているはずですが、多分メインのレバー1本でブレーキングも変速も可能というコンセプトにこだわっているのでしょう。こんな中
途半端な補助レバーを付けるのは、それ以外に考えられません。でも、プロのライダーでも使うという補助レバーですから、正式なレバーに格上げすべきでしょ
う。そういえば、ロードレーサー用のデュアルコントロールレバーも2つからなっているじゃないですか。MTBだけ1本のレバーにこだわる必要はないでしょ
う。
ともかく現状では、このレバーを使うことはありませんから、取り外してしまおうと思っています。それこそシマノのユーザー誘導戦略に乗せられることになるわけですが(苦笑)。
【補助レバーを外しました】
MTBのAttitudeXに導入したXTRデュアルコントロールレバーですが、補助レバーは 親指で操作するにも遠く、何の役にもたたないので取り外しました。外すと金属がむき出しなりますが、そこに標準で付いてきたキャップを取り付けました。
デュアルコントロールレバーがもう少し普及すれば、サードパーティーからもっと使いやすい補助レバーが発売されるかもしれませんが、まあ当分の間は無理で
しょう。
【インプレの変化について】
MTBやロード、そして折り畳み自転車に組み付けたパーツの中には、最初のインプレの時に比べ使い込むうちに随分印象が変わったものがあります。中でも、MTBのAttitudeXに導入したXTRデュアルコントロールレバーは、印象が良くなった最たるものです。導入して8カ月以上経ちましたが、もうMTBではラピッドファイヤーシフターには戻れそうにありません。
シマノのデュアルコントロールレバーは、最初見たときには「なんだ、こりゃ」と失笑。当初、シマノがラピッドファイヤーシフターをやめる方向にあり、そ
れへ反発もありました。しかし、実際に付けてみて、思いのほか使い勝手が良いの驚きました。シフトダウンの時の指の背で跳ね上げる動作への違和感や、補助
リリースレバーの使いにくさを差し引いても、かなりグッドでした。
そして今、このデュアルコントロールレバーは本当に良いです。節操なく、そう思います。指を跳ね上げる動作も慣れると違和感がなくなりました。それに
「バーエンドバーを握っているときも、シフトチェンジができる」と、どこかの雑誌に書いてあったのをやってみると、これが結構使えます。激坂でひぃひぃ言
いながら上っている時に、バーエンドバーを握ったままシフトダウンできる、このメリットは確かに大きいです。
使えない補助リリースレバーを外したのも正解でした。レバー1本にすると、操作に迷いがなくなり、シフトミスの確率も減りました。考えてみれば、ロード
バイクのデュアルコントロールレバーは2本のレバーの組み合わせで構成されていますが、補助リリースレバーを外したMTBのデュアルコントロールレバーは
純粋にレバー1本のみ。潔いではないですか…と完全にシマノの商品戦略に取り込まれてしまった東葛人でした(苦笑)
【シフトワイヤーをフレームに通すためのストロー】
KLEINの自転車は、前後のシフトワイヤーがフレームの中を通ります。私のAttitudeXも当然そうなっています。2本のシフトワイヤーがフレー
ムの中に隠れ、フレームの外を這うのはリアブレーキのワイヤーだけのため、全体のイメージがとてもすっきりします。そのことが、AttudeXの美しさの
引き立てています。
で、それはそれで素晴らしいことなのですが、買ったときに疑問だったのは、どうやってシフトワイヤー(インナー)をフレームに通すのかということです。
普通に通そうとしても、簡単には通りません。フレームの外から強力な磁石でワイヤーを誘導でもしない限り、不可能です。「こりゃワイヤーの交換が大変だ
な」と思っていたのですが、実は簡単でした。
AttitudeXには長いストローが付属しています。ワイヤーを交換するときには、これまで使っていたワイヤーをフレームから抜き取らずに、その長い
ストローに通していきます。ワイヤーを通したストローをフレームの中に入れると、やがて反対側からストローの先端が出ます。つまりフレームのワイヤーを通
す両方の穴からストローをのぞかかせます。
ここで初めて、古いワイヤーを抜き取ります。もちろんストローはフレームに残したままです。そして新しいワイヤーをストローに通すと、ワイヤーはスト
ローの中を通って自然にフレームの中を通ることになります。最後にストローを抜き取って作業は終了です。シフターをXTRデュアルコントロールレバーに換えたついでに、ワイヤーも交換しましたが、この方法で簡単にフレームを通すことができました。
しかし、それにしても一番最初にワイヤーを通すときは、どうしているのでしょう。この方法は使えませんから、やはり磁石を使って通しているのでしょうか。疑問が残りますね。