EL34-12AT7-SRPP-2段直結-差動パラPPの製作

使用する部品の構成

【電源トランス】
ノグチ-PMC-500
Primary 95V-100V-105V
Secondary 0-20V-320V-360V-400V Dc500mA

【出力トランス】

ノグチPMF-28P-5k/28W
直流抵抗:1次P-P間: 142Ω
1次許容DC電流:240mA(2本分)アンバラ:12mA
1次インピーダンス 5KΩ、SG端子有り
2次インピーダンス 4、6、8、16Ω

ソフトンRX-40-5-プッシュプル用5KΩ/40W
直流抵抗:1次P-P間: 128Ω(RX-30-8の場合)
1次許容DC電流 210mA(2本分) アンバラ:5mA
1次インピーダンス 5KΩ、UL端子(50%)有り
2次インピーダンス 6Ω

【チョークトランス】
ノグチ-PMC-0350H
インダクタンス3H/最大電流500mA/DCR 27Ω

<左右独立電源の場合-2個必要>
ノグチ-PMC-228H
インダクタンス2H/最大電流280mA/DCR 51Ω


【全体の構成を考える】

 EL34を8本使い、パラPPとして、全段差動型で直結回路とします。
 直結回路とするため、回路は、2段構成にします。このため初段の真空管は、増幅率の高いものでなければいけません。そのような真空管は、「内部抵抗が高くなり、高域特性が悪くなってしまう」ということなので、初段は、SRPP回路の差動型とします。実機でのレイアウトや経費を考え複合3極管にします。

 「Building My Very First Tube Amp講座」のHPにそって、利得を求め初段の真空管を決めていきます。
「電圧増幅双3極管比較表」のHPを参考にして、複合三極管で、増幅度が高く、内部抵抗の少ない12AT7を検討してみます。

【総合利得の予想】
12AT7・EL34の2段構成で、十分な利得が得られるかどうか、このアンプの総合利得の見当をつけます。
2段直結-初段SRPPとしますので、出力段のグリッド電圧が、初段のカソード電圧の分だけ嵩上げされ、高い電圧が必要です。また、出力段がパラレルなので、EL34、8本分のプレート電流が流れるため、多くの電流供給能力が電源トランスに求められます。ノグチ-PMC-500の能力から、EL34の動作条件は、Ep=350V、Ip=50mA、RL=5kΩp-p、バイアス=-27Vあたりを想定します。「出力トランスでの電力ロスを0.9くらい見込む」ということなので、

 1) 理想最大出力は、
    0.1A×0.1A×5000Ω×0.9÷2=22.5W(パラレルなので、Ip=50mA×2=0.1A)

 2) 8Ω負荷における22.5W時の出力電圧
    √(22.5W×8Ω)=13.4V<最大出力時の出力電圧>

 3) EL34の入力感度は、
 27V÷1.414=19.1V(r.m.s.)

無帰還総合利得=最大出力時の出力電圧/最大出力時の初段入力
なので、

最大出力時の初段入力(入力感度÷初段利得)を求めます。
入力感度は、上の3)から、19.1V(r.m.s.)。

初段利得は、

初段利得は、「手作りアンプの実験室―真空管アンプのゲイン解析」のHPによれば、
*「三極管 SRPP カソード取り出し」
*「カソード抵抗による電流帰還がない場合」のゲインは、
A = -μ1 * (Rp2 + μ2 * Rk) / { Rp1 + Rp2 + (μ2 + 1) * Rk }

ということなので、12AT7を検討してみます。
***真空管の特性は、「電圧増幅双3極管比較表」のHPを参考にしました。

【12AT7の場合】
μ=60 Rp=10.9
RL=50kΩとすると(大体のロードラインを引いてみる)
「私のアンプ設計マニュアル」のHPによれば、上側の球の負荷抵抗値は、

負荷抵抗値(RL) = 上側球のrp + ( 上側球のRk × 上側球のμ ) + 上側球のRk
 ということなので、RKは、

Rk = (RL − rp) ÷(μ+1)
となるので、

Rk=(50−10.9)÷(60+1)=0.64kΩ

上側球のRkは、大体、0.6kΩ位になりますので、
A=60*(10.9+60*0.6)/{10.9+10.9+(60+1)*0.6}
ゲインA=48.2倍です。

 このアンプは初段も差動回路なので、
48.2÷2=24.1倍が初段利得と予測できます。

したがって、最大出力時の初段入力(入力感度÷初段利得)は、
上記3)から、


(入力感度)19.1V÷(初段利得)24.1=(最大出力時の初段入力)0.79
になります。

無帰還総合利得

上記2)から、
(最大出力時の出力電圧)13.4V÷(最大出力時の初段入力)0.79=16.96
なので、

およそ17倍の総合利得が得られる予想です。(Rkの値を高くすれば、若干、総合利得も上がります。同じことですが、ロードラインの傾きを少なくすれば、利得が上がります。)

このようにして、他の真空管で検討すると、およそ次のようになります。やはり総合的に12AT7は妥当な初段管だと思います。
6DJ8(μ=33、rp=2.64kΩ)の無帰還総合利得:10.96倍 
12AX7(μ=100、rp=62.5kΩ)の無帰還総合利得得:28.6倍
6SL7(μ=70、rp=44kΩ)の無帰還総合利得:19.95倍

 負帰還をどのくらいかけられるかを検討してみます。
 このアンプは、総合利得がおよそ17倍あると予想できるので、
 17倍=24.6dB〔20log(10)17をエクセルで計算〕
 「パワーアンプの増幅度は、10倍位が適当」ということなで、
 10倍=20dB〔20log(10)10をエクセルで計算〕
 24.6dB−20dB=4.6dB
 になります。製作後、実機での調整になりますが、4〜5dB程度の負帰還をかけることができそうです。

【電源部】
電源は、ダイオードを使い整流します。
ノグチ-PMC-500は、ブリッジ整流後で、400V×1.3=520Vが供給可能です。
 EL34をパラPPにして、1本あたりのプレート電流を55mAとすると、8本の合計で440mA。このトランスは、Dc500mAあるので何とか大丈夫です。
 出力段のプレートに供給する電圧は、チョークトランスをノグチ-PMC-0350Hを使えば、直流抵抗が27Ωなので、電圧降下が、27Ω×440mA=11.88V。
出力トランスの直流抵抗が、1次P-P間で128Ωと推定されるので、55mA×2本分=110mA、電圧降下は64Ω×110mA=7V。
 電圧降下は、合計で12V+7V=19Vになりますので、520V−19V=501Vがプレート電圧になります。

【出力段】
出力管EL34パラプッシュプル、出力トランス5kを予定しています。
差動式プッシュプルは、出力トランス1次側のインピーダンスを2分の1で考えるので、5kの出力トランスでは、2.5kのロードラインになります。しかし、このアンプは、パラレルになるので、2本で2.5kの負荷なので、1本あたりでは、5kの負荷で考えます。
次のとおり、5kのロードラインを引いてみます。出力段のIpは50mAを想定しているので、バイアス0Vのラインが100mAと交差するように、ロードラインを引きます。350V、−27Vあたりが動作点です。

【初段】
 初段管12AT7、差動式SRPP直結回路で考えます。
 出力と初段上球のカソードが直結するので、出力段のカソード電圧は、初段上球のカソード電圧分が嵩上げされす。
 出力段プレートへの供給電圧が、約500Vとなるので、出力管を350Vでどうさせるには、出力段カソード電圧が150Vになります。これからバイアス分27Vを引いた、150V−27V=123Vが、出力段グリッド電圧=初段上球カソード電圧になります。
 初段下球プレート電圧は、初段上球のカソード抵抗分だけ電圧降下しますが、初段のIpは少なく、また初段上球のカソード抵抗の値も小さいので、電圧降下は、2〜3V程度と思われます。
 初段下球プレート電圧が120Vとなるように、RL=40Kと50kのロードラインを引きます。バイアスが、−0.7Vより浅くならないように考えると、バイアス−1.5Vあたりが適当です。
 動作点は、Ep=120V、バイアス-1.5V、Ip=2.8mAあたりです。

【回路図】
負帰還を3.8dBかけて、負帰還後の利得は、約11倍になります。

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