FET+SRPP+Cascode−差動回路の検討

 SRPP差動直結PPは、初段が差動回路のため、増幅度が半分になってしまい、NFBは2dB程度かけるのがやっとでした。回路を2段から3段に増やせばいいのですが、直結で3段にするのは、かなり厳しくなります。
 なんとか増幅度を上げられないかとHPを見ていたら、「自作オーディオのページ de JN1NDK mac」- 「SRPP回路の実験」というHPでFET+SRPP+Cascode回路の実験を紹介していました。実験の結果は、「カスコードに配置した方がFET+SRPP回路よりも出力電圧が上昇し、さらに低歪みとなった」と言うことでした。
 そこで、以前製作した「6BM8差動直結パラPP」をモデルにFET+SRPP+Cascode差動回路を下図のように考えてみました。


 FET+SRPP+Cascode差動回路はどうやって設計するのだろう?
 FET+SRPP+Cascode差動回路は、思いついたもののどの位の電圧、電流にしたらいいのかわかりません。
 「私のアンプ設計マニュアル」のHPに真空管の「カスコード回路」の解説がありました。しかし、これだけではよく理解できないので、さらにHPを探してみると、「電脳時代の真空管アンプ設計−2.7 カスコード接続」というHPが見つかりました。これも真空管を使った場合の解説でしたが、両方のHPを合わせてみてみると、設計の手順がなんとなく見えてきました。これに基づき、以下のような考え方で設計してみます。

 まず、前の回路のSRPP上球は真空管抵抗として働くと言うことなので、次のように置き換えてみます。

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ホームページ「私のアンプ設計マニュアル」によれば、
「負荷抵抗値 = 上側球のrp + ( 上側球のRk × 上側球のμ ) + 上側球のRk」
ということなので、
28k+(1.5k×70)+1.5k=135k
となります。

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 次にFET−2SK30Yの動作電圧を決めます。FETの動作電圧は、20V以下ということなので、大体15Vくらいにします。
 SRPPの上球への電圧は、次段に125V〜130V程度で直結したいので、その倍の260Vとします。また、SRPPの上球は真空管抵抗として働くので、6BM8の特性図から推測して、135kΩあたりにします。これで、2SK30Yのドレイン−ソース間電圧特性図にロードラインを引きます。SRPPの上球への電圧260VからFETの動作電圧15Vを引いた245Vの点から、135kのロードラインを引きます。ゲート-ソース間電圧の0Vとの交点が2SK30Yのロードラインの上端と言うことです。2SK30Yのロードラインは、SRPP下球のカソードの対アース電圧ということなので、緑色の縦のラインになりますが、実際には大体、黄色のラインのようになるということです。従って、2SK30Yの動作電圧は、15Vより少し高い15〜16Vの間位になります。
 動作点は、1mA -0.7V ドレイン電圧 15.5Vあたりです。


 入力電圧が、1Vとすると差動回路なので、それぞれの2SK30Yのゲートでは0.5Vになります。
 ここで、「0.7mA -0.95V」、「1mA -0.7V」、「1.6mA -0.45V」の動作範囲をSRPP下球の6BM8の特性図に移します。
 SRPP下球のカソードは、15Vに固定されているので、15Vの分だけ特性曲線(黄色の曲線)をずらして、260Vから135kのロードラインを引きます。このロードラインと0.7mA、1mA、1.6mAの交点がSRPP下球の動作範囲となるということです。ただし、15Vの分だけずらした黄色の曲線までしか動作しません。
 下図では、60V−125V−165Vが動作範囲なので、出力電圧は、165V−60V=105Vp-pですので、初段の増幅度は、105倍です。


【総合利得】
 出力段の利得を予想します。
利得=μ×{RL/(Rp+RL)}なので、
μ=6.75(6BM8の出力用5極部の3結時の増幅率)
出力トランスは、5kΩ(ノグチトランスのPMF-15P)
Rp=0.8(6BM8出力用5極部の3結パラレル接続時の内部抵抗)
6.75×{5/(0.8+5)}= 5.8倍です。
初段の倍率が105倍:出力段の倍率が5.8倍なので、
総合利得 105×5.8=609倍 です。
出力トランス2次側では、
5kΩ/8Ω=625 √625=25なので 
609÷25=24.36倍が裸利得になる予定です。
前に製作したこのアンプでは、NFB(負帰還)抵抗を3KΩにしてありましたので、負帰還量が約5dB、負帰還後の増幅度は、13.6倍になると予想できます。(「私のアンプ設計マニュアル」の負帰還量の計算方法による)

参考HP
1.「自作オーディオのページ de JN1NDK mac」- SRPP回路の実験
2. 私のアンプ設計マニュアル / 基礎・応用編
  電圧増幅回路の設計と計算その4 (カスコード回路)
3.「電脳時代の真空管アンプ設計」2.7 カスコード接続

【回路図】

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