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#092[溝] 以前、住んでいた部屋の真下で、人殺しがあった。深夜、大きな物の倒れるような音がして、呻き声がして、[断末魔の声]と、すぐに思った。嘘のように静かになった。死んだなと思った。2階のベランダから飛び降りる音がした。足音は走り去った。 数日後、帰宅すると、駐車場の入り口に黄色のテイプが張られていた。詰まらないことをするやつがいるもんだと思った。ドアを開けると、台所にLが立っていて、さっき、警察の人が来たと言った。下のフロアの住人が、近頃、姿を見ないのでと、管理人にそう言って開けさせたら、死んでいたという。その話には、少し、嘘があるなと思った。通報者も、きっと、呻き声を聞いたのだろう。 おもしろい体験をしたなと思いつつ、あの夜、私(達)が何らかの行動をとっていれば、死んだ人は死なずにすんだのかもしれないと思うと、やはり、いやな感じがした。しかし、私に何ができたのだろう。電話はない。電話を引くと、母からかかって来るかもしれないので、引かなかった。引いておいて、引いていないと嘘をつく勇気はなかった。近くに公衆電話はない。夜中に未知の人の部屋のドアを叩く勇気もない。たとえ重症であっても、命に別状がなければ、そっとして置いてほしいと思うタイプの人かもしれない。人は生きたがるものか。そうでもないのか。そのあたりから、うろうろする感じだ。 下の部屋のどこかが騒ぎだすのを待っていた。しかし、どの部屋からも、反応はなかった。水に塩が溶けたようだ。何も起きなかったかのようだ。次第に、自分の耳が信じられなくなった。 私は、下の住人が一人暮らしだとは知らなかったから、何が起きたとしても、同居人がどうにかするはずだと、思いに上せるまでもなく、信じ込んでいたのだろう。 短い叫び声がして、数秒後、ザクッと着地する音が聞こえた。叫んだ男が飛び降りたと思った。ザクザクと走り出すから、[なあんだ。元気じゃないか]と思ったような気がする。[被害者が一人、加害者が一人、合計で二人]という計算ができなかった。 電車の中などで被害に遭っている人を、他の乗客が助けようとしないのは、人々が無関心を装っているせいではない。車内では、人々は、互いに無関心であることを強制されている。無関心は、モラルの低下を意味するのではない。むしろ、逆だろう。干渉しないのが、マナーだ。マナーに捕らわれていて、頭が切り替わらない。見て見ぬふりをしているのではない。見えてはいても、見ているような気になれないのだろう。 勿論、他人に対する無関心の根底には、人間に対する、淡い嫌悪や絶望などがあるのに違いない。少なくとも、私には、ある。 通りに倒れてる人がいる。少なくない人が、その人を取り囲んで見ている。しかし、彼らは何もしていない。言葉を交わしさえ、しない。見飽きたら、そのまま、立ち去る気だろう。私は、わざと足早に通り過ぎる。 自分には助けられない人間を、そのせいで嫌いになることもある。 私は、ある人がその人自身のためにならないことをしていると思っても、黙っている。[勝手に死にやがれ]と思っている。人間は多すぎる。今の半分でも、多すぎる。 みん、みん、みん、みんな死ね。 [世界]の周りで、爛れて腐れよ。 みん、みん、みん、みんな死ね。 死んだと聞かされて、その人の姿が目に浮かぶようだった。乱れた室内に、仰向けになって倒れている。そこは、私の眠る位置より、窓に近い。斜めになっている。左足が、黒い革のソファに掛かっている。両手を広げている。ものの長さを測ろうとするかのようだ。目を開いている。何を見たかった目だろう。夜が白み、動かない目に、朝日が差し込む。昼を過ぎ、夕方になっても、動かない。外は悲しいような騒がしさで、鼓膜が震える。やがて、何度目かの夜が来る。闇の中で閉じる目も、ありそうだ。その目に、加害者の姿が焼き付いている。 逃げた男のことも思った。黒っぽい服を着ている。小男だ。身のこなしが軽い。駐車場の方へ小走りに進んだ。死んだ男と同じような、黒い服を着ている。背格好も似ている。面差しさえ、似ているようで、一方が死んでいるのでなければ、さあ、どっちが、どっちだか。 耳の底に残る、着地の音から、脚が生え、人の形ができて、夜の奥へ駆け去る。闇に溶ける服を身に着け、石垣の横を逃げる。煎り付けるような飢渇が、青黒い肉体を引き回す。すでに罰されてしまったみたいな、歪んだ肉体が、ヒクヒクするのは、明かりが目に入るからだ。ぽっと、街灯の明かりに当たれば、酸を浴びたように熔ける。ジュワアアッ。だから、丸い舞台は、避けたかった。冷たい光が闇に穿つのは、氷の陥穽。その縁を歩くだけでも、身を削られる思いだろう。 ゾゾゾゾゾワアッと、底の方から、いやあなものが這い上がってくる。そして、何もしたくなくなる。息吸う以外、吐く以外。でもって、金がほしくなる。買いたい物もないのに。 「お金がない。お金がない」と、母は、いつも、言っていた。「仕事で大きな金を動かすとき、土壇場で怯えないように、神経を太くしておくんだ。そのために、賭け事で神経を鍛えてるんだ」と、父は言っていた。「お金がなければ、がさがさして、人と人の気持ちは離れてしまう。愛で、おなかは満たされない」と、母は言った。しかし、彼らは、「金がほしい」とは言わなかった。「金がほしい。いっぱい、ほしい。腐るほど、ほしい」とは、決して、言わなかった。「本当は、何がほしいのか」という疑問にぶつかりたくないからだろう。ほしい物が何であれ、ほしいと言って、ほしい物が天から降って来るわけはないから、ではない。 猿のように蹲り、見詰めていたのは短い糸屑だと気づくとき、喉が苦しい。摘まもうとして摘まめない指の形は、わざとらしい。立ち去りたいのに、立ち上がれない。眉間のあたりが盛り上がり、堅い。痒くもない喉を擦りながら、遅れて来る感情から身を隠す。落ち込む。 子供の頃、溝に落ちている人を見た。その人は、這い上がろうとするのを、上から踏ん付けられていた。タクシーが止まっていた。夜で、そこらだけ、明るい。車内灯の明かりか。私と親達と、歩いて、黄色の家に向かっていた。男のおとなが男のおとなに暴力を振るうのが驚きで、私は親達を見た。父は、ちょっと険しい顔をしていた。私は何か言いかけたが、遮られたか。黙って通り過ぎてから、酔っ払いだと、吐き捨てるように、父が言った。酔っ払いの客が行く先を言えなくて、運転手が放り出したのだろう。散々、てこずらされた揚げ句、料金も貰えない。さぞや、腹の立つことだろう。そんな話を、父がした。家に帰ってから、ひとしきり、酔っ払い共の醜さについて、夫婦は語り合った。二人とも、酒は、ほとんど、いけなかった。酔っ払いはだらしがない。零れた酒を啜るとか、しつこいとか、そういう話。そして、おとなになっても酒飲みにはなるなと、矛先は私に向けられた。実際には、私は、すでに、酒の稽古を受けていた。「酒が飲めないと、出世に響く」ということだった。父は、自分の出世が遅いのは酒が飲めないせいだと、零していた。親達にできなくて私にできることはと言えば、酒を飲むことくらいしかないような気がした。酔っ払いだから、だらしがない。零れた酒も啜ったし、人に絡みもした。 待っていても、何もやって来ない。しかし、この場所を離れることはできない。自分で自分の墓を守っているようなものか。 今頃になって、あの溝に落ちた酔っ払いは無事だったろうか、気になり始めた。まさか、死にはしなかったろう。あの側溝は深くて、水はほとんど流れていないが、子供の背丈だと、上がるのに苦労した。 父が懐中電灯を持って溝の男を助けに行く様子を、思い浮かべる。私の叶えられなかった希望か。 人殺しのあった部屋は暫く空いていて、ある夜から、声がし始めた。女の声。艶かしい。いや、獣のようだ。窓が開いているらしい。わざとかもしれない。郊外で、静かだから、ビンビン、響く。その日から連夜と言ってよかった。昼間のこともあった。大家が、厄払いのために、頼んで遣らせていることかと疑った。すさまじい。大抵、夜中の12時頃に始まる。その声が始まったら、1時間では終わらない。ある夜、私は堪らなくなり、ベランダに出て下を見た。そんなことをしても、角度から言って、見えっこないのだが、何かしないではいられなかった。見下ろすと、下の部屋の隣のベランダに、年の知れない女がいて、仕切りから大きく身を乗り出し、固まっていた。真剣な様子だ。私は、驚いて身を引いた。すると、手摺りに足が当たり、ゴオオンと、鈍い金属音、梵鐘のような、間延びした音がした。女は、すぐさま、顔を振り上げた。目が合った。ほのぼのとした音は続いていて、止めようがなかった。闇の中の白い顔。濡れた、黒い、吊り上がった目。きつく噛み締めた口元。音で合図したと思われたのかもしれない。咎められるべきはこちらであるかのような顔付きだ。下手をすると、噛み付かれそうな。 建物の向こうは、ずっと空き地で、そこを散歩していて、ベランダに出てしゃがみ、ぼんやりしている女を、何度か見かけたことがある。あれが覗き女か。実は、そのときも、そうして、私には聞こえない声に耳を奪われていたか。瞬間だけ、目にした女の顔は、凄烈で、ひどくて、ああ、あれは生きている人だという感じがした。ぼんやりしているときとは、印象が違う。しかし、その女があの女だとすれば、分かるような気がしないでもない。その部屋の夫は蒸発したという噂だ。しかし、どうやって、そんな噂が私の耳に入ったのだろう、近所付き合いは一切していない。 似たようなことがある。近所の川が大雨の後の増水で、少なくない人が橋の上で水を見ていた。すると、堤を、ふらふらと女が降りて、みんなの見ている前で入水してしまった。その女の夫も蒸発したという。本人も、また、長患いだったとか。 いや、蒸発したのは、この女の夫のことで、ベランダの女とは無関係か。だとしても、ともかく、私は、見てもいない身投げのことを、どうして知っているのだろう。Lが見たのか。この話を私にしている人の顔が、思い浮かばない。思い浮かぶのは、橋の上の人々の後頭部と、彼らが見ているらしい、病気の女だ。女は、白い着物姿で、痩せている。着物の襟が、ざっくり、開き、薄い胸が覗く。浮き出た肋骨。だらしなく歪んだ口元。紅は剥げている。そんな女でも、女ではあるのだから、死なせるには、惜しい。髪も、乱れている。が、黒い。爪が割れているのは、泣きたいときに、噛むからだ。 別の、あやふやな記憶。夕方、うたた寝をしていたら、子供達の声がした。一人が、あの部屋では人殺しがあったと、話し始める。だから、あの部屋には、幽霊が出て、夜、押し殺したような、気味悪い、苦しげな声が…… 私は、ひやひやしながら聞いていた。いけない、いけない。ああ、もう、それ以上、言うんじゃない。すると、厳しい女の声がした。少年の名が叫ばれたらしい。名前を言う、ただそれだけのこと。ピシャリ。少年の声が途絶えた。少年は、自分の名を呼ばれることの意味を、ちゃんと知っている。私は、はっきりと目を覚まし、今まで聞いていたのは夢ではなかったかと、疑ってみた。地上に、わらわらした感じが残っていた。子供達は、どこかへ行ってしまったらしい。 少年の声には聞き覚えがあった。時々、複雑で速いジャズを、長々と口三味線で演奏してくれる。後に、それは、小学校の校内放送に用いられている曲の一部だと知って感心したのだが、彼の演奏と、スピーカーから流れて来るサックスか何かの演奏と、違いは認められなかった。彼の耳は、確かだ。 彼の耳が確かだからといって、私の気が確かだということにはならない。 私は、もう、駄目なのに、なぜ、[私の物語]は終わらないのだろう。 駄目なら駄目で、それも、また、一個の奇観ではあろうが、などと言いたげなカーネル・サンダースに蹴りを入れて駆け出す夜更けの街路。 げふ。 私は、抜こうにも抜けない折れ釘。頭が取れてしまった。私が酩酊させたかったのは、私の頭ではなく、私に肩車された海爺。彼を厄介払いするには、飲ませて正体をなくさせるしかなかった。 そんないいわけを肴に、溝に落ちた人も、飲み暮らしていたか。 懐中電灯を持って出た父が、「もう、いなかった」と、ぼそりと言い、寝てしまう。現実には、父は探しに行かなかった。そして、あの男は死ななかった。父が探しに行けば、男は死体で発見されたろう。だから、父は、男を死なせないために、探しに行かなかった。父は、常に、正しい。夢の語法。 あの溝は深いので、酔った体では上がれまい。水はないか、あってもないようなものだから、溺れる心配はない。水音は聞こえない。夜目に光るのは、水ではなく、ガラスか、ブリキ。底には、枯れた植物が堆積している。虫も、何匹かは、死ぬか、死にかけている。何かが、ベットリとした感じで、右の鼻の穴が詰まるようなのだが、気のせいか。そして、そういうときはいつもそうなのだと諦めてはいるが、腕が利かない。もぎ取られたようだ。もし、取られたのなら、多少なりとも、痛みを伴うはずだ。腕を探さず、痛みを探す。ない腕を探し当てたら、怖いから。痛みがないのは、腕のない証拠か。誰かに、ぎゅうっと掴まれた? もともと、片腕だったような。だったら、つらいな。そうとも思わず、生きて来た。腕が揃っているような顔をして、人交じりをしてきた。さぞや、滑稽だったことだろうよ。誰も教えてくれなかった。陰で、笑われていた。笑っちゃ失礼よと窘める人も、やはり、心の中では笑っていた。どうも変だと思ってたんだ。バランスが悪い。体も、心も、どこかしら。気づいてはいた。でも、不自由さに泥みたくはなかった。人間には腕が何本あるのが正しいか、俄には思い出せないが、とにかく、自分には欠けていた。生まれたときには揃っていたよ。でも、いつからか、ない。ははあ、あのときだ、爆音がして、いや、巨大な矩形の影が、でもなくて、誰かが笑った、あのとき。重い、耳の底にこびりついている、あのときの、あの轟音のような笑い。いや、大きな音じゃない。聞こえたのは、水の音、震えるような。誰かが、誰だっけか、浅い水の面に、フウ、フウッと、息を吹き掛けていた。俯せで水の面を吹く人は、まるで要らない物のように自分の腕を取り扱い、その上に、堅い自分の胸を載せた。 その人は、ようやく、自分がどこにどうしているのか、分かり始める。でも、動けない、まだ。まるで鋳型に嵌められたよう。さっきまでは、苦しいなりに何とか眠りを貪るだけの余裕はあったが、今は、締め木に掛けられたよう。動かそうとする体の部分、部分が、そのつど、狙い撃ちにされる。意識しない部分は動かせそうなので、動くのを期待するが、そこがどこだか。いっそ、あの糊のような眠りに戻りたいと願う。壜の中の、生乾きの白い糊のような眠り。だが、それを求めると、眠りと痛みとが混じり合い、沸き立ち、むかつくか。 その人は、溝の中にいて、枯れた草を吹いていた。俯せのまま、足の先だけ動かし、一層、苦しい姿勢になる。狭い方へ、狭い方へと、移動してしまう。蚯蚓はいいよな、土に潜れて。頭の先が尖って捩れ、グルリ、グルリと回転すれば、岩にだって潜れそうだ。頭の中で、細長い巻き貝のような角の三面図を描き始める。CAD/CAMに入れるには、螺旋の溝の具合が、どうにも、微妙だ。フリー・ハンドで、えい、やっと、やっつけたいところだが、やってみると、これが、また、結構、難しくって。つい、曲線は甘くなるよ。でも、そんな時代は過ぎ去った。俺の時代は終わった。sin,cos,tan,見慣れた文字が、古代の石像に彫ってある。苔を生やした石像。 どれくらいの時間か、微睡んでしまった。寒気がする。苦しみが外側から襲うよう。初め、それが何なのか、理解できなかった。苦しみが何なのか、よく知らない。そして、それを知ったとき、その人は呻く。何やら円盤状の物が、頭頂部を押さえ込んでいる。それは痛みではないかと疑い、そして、次の瞬間、局所的だった感覚が、全身に広がる。それは、一様な感覚ではない。手は手の痛み、足は足の痛み、肩は肩の痛みと、それぞれのニュアンスを分担した。その人は、無理をして、狭い中で寝返りを打った。そのとき、支点にしなければならなかった頭が、キリキリと痛んだ。が、その痛みには実感があり、ほっとして、温かい空気を吸った。 夢の中で、薔薇園にいた。薔薇は、父が丹精した。父は、移植鏝を持って立ち上がり、眩しそうな目をして、自分に近づいて来る人を見た。知らない人らしい。薔薇園は、短い間に荒れてしまった。根から枯れた。息子に見られているのだと分かると、父は怒りの表情を露にし、武器を投げた。投げ捨てた。投げることによって捨てた。攻撃にして、武装解除。攻撃性は、無力感の裏返し? 溝の中で、その人は、腕を突っ張り、身を起こし、大きく息を吸ってから、出にくい咳をした。服は泥塗れ。枯れ葉や紙屑など、服や頭を飾る物に事欠かない。自分の有り様がどれほどなのか、思ってみようともせず、ちょっと滑って転んだぐらいに見せかけようと考えている。姑息。腰に力がない。ベリー・ロールの要領で、溝から這い出す。そして、まず、蹲る。よおしっと。膝に当てた手に力を込めて立ち上がった。目が、高さに眩む。よろける。地面の遠いこと! 地べたを這い回り、小さな物に遊ばれていた頃の思い出の、その勿体ないような、脆さ、儚さ。 どんなに深い谷よりも、深い場所がある。そこは、ええっと、どこだっけ。思い出そうとして、思い出そうとする自分を笑う、無能な息子をせせら笑う父の息遣いで。その息は喘ぎに変わり、そして、悲鳴に似た、細い高音が加わる。大地の厚みを確かめるかのように、踏み締め踏み締め、歩を進めた。その一歩ごとに、肩の砂袋が増える。ひどい目に遭ったよ。あんまり、覚えてないけど、私が悪いんだろうね、どうせ。蹴られた。蹴られたんだよ。蹴るんだな、人は。蹴られるのは、まあ、いいとして、その様子を、人に見られた。無念。 どんなに深い谷よりも、深い場所がある。そこは、自分の墓穴。誰も、這い出せない。 眠い目を擦り上げ、指の間から辺りを窺う。知らない土地だ。朝未だき、通る人はない。粗末な木造の小屋が、右に並ぶ。左は、桑畑。行く手は十字路になっていて、角に黄色の家が見える。あそこまで行くのだな。行かない方がいいようだが。(行けるのだろうか) そこには、私を見た少年がいて、見るなと叫んでみても、もう、遅い。 |