家に帰ってきたじいさんは、
      ふところの中から大切そうに2枚の小判を取り出すと、
      「1枚はポチのご馳走に、1枚はばあさんの擦り切れた草履や着物を
      買ってくれ」と、ばあさんにそっと手渡した。
     ばあさん大変驚いて「じいさん、このお宝どうしたんだい?」と問いただした。
      じいさんは今迄の一部始終を話したと。
    
     ばあさんは涙を流して「おらが達の努力が至らなかったのです。
      どうぞポチを許してやって下さい」と神様に祈った。

     しかし神様のおきてを破ったポチの悲劇がおとずれた。
      さっそく欲張りじいさん、ポチを連れにやって来た。
     ポチを裏の畑に連れて行き
        「おらがにも、たくさんの大判小判の埋めた場所!!」と捜させた。
      しかし、ポチは壺に入っている大判小判の埋めた場所を
       2度と探すことが出来なかった。
     怒った欲張りじいさんは、ポチを虐待し殺してしまった。
    
      ポチを可愛がっていたばあさんは、それはそれは、嘆き悲しんだ。
     おらが達のために、一足先にあの世に逝ってしまった。
      こんな年寄りにも、文句も言わずに尽くしてくれた。どんなに心が
          癒されたことか。 ポチの亡がらに無常を感じ、じいさんの一番大切な
          壺に入れて、枯れ木のそばに丁寧に埋葬した。

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