ある日、
       早起きしたじいさんが、丘の上をみると不思議な事が起っていた。
    今までの枯れ木が、見る見る大きくなり枝は芽吹き蕾をつけている。
    
     じいさんは、たまげて「ばあさん、ばあさん〜
    枯れ木が蕾をつけている。早く来ておくれ」と大声で叫んだと。
     
     寝耳に水の知らせに、「本当かいな?」とばあさんが来て見ると、
    今までの枯れ木は、今にも咲きそうな蕾をたくさんと付けていた。
    「よかった、よかった!!やっと枯れ木に花が咲く。
          丹精した甲斐があつたのう」とばあさんは涙流して喜んだ。
     
     ばあさんや「最初に水をあげてくれ」 、言われる通りに水をかけたなら、
    蕾は開いて九分咲きの、サクラの花を咲かせたと。
     つぎに、じいさん水をかけたなら、 サクラの木は見事に満開になったとさ。
 
     この花咲けば、きっと世の中の心も癒される。
    やがて実となり種となり、心の和が広がってこの世は明るくなるだろう。


     なぜ、にわかにサクラの花が咲いたかと・・・・・・・。
    ばあさんの動物に対する優しい心と、じいさんの欲のない真摯な努力に、
         ポチに変わって 枯れ木は、天から命を授かったのかも知れない。
     本当のことは天命の謎である・・・・・・・・・・・。

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