最終更新H24.4.30 |
LPガス業者変更に伴うあれこれ H11.6〜8頃 |
<目次>
<事前知識> | 無償配管商法という今回の根本原因について |
<はじめに> | プロパンガス供給会社を変更しようとしたら・・・トラブル発生! |
<業者Bからの証拠提示> | 会社を変えるなら違約金を払え!という言いがかりの根拠 |
<私の対抗方針> |
本契約は錯誤無効であるとともに、そもそも住宅と一体となった設備として一式購入しているので、業者の言い分にはそもそも根拠が無いことを立証する! |
<私の対抗証拠書集め> | 建物売主への質問状送付 |
<建物売主からの回答> | 建売業者(売主)より、付帯設備一式を売り渡した意識がある旨の回答を得た! |
<業者Bの逆襲> | 弁護士連ねて内容証明郵便攻撃がきた! |
<私からの内容証明返し> | 弁護士に対して内容証明のお返しを! |
<その後> | 音沙汰がパツタリとなくなった。 |
<余談> | 消費生活センターは意外なほど親身になってくれない! |
<実際に民事訴訟となったケースの判例> | こちらへどうぞ ⇒ 「無償配管契約を巡る民事訴訟判例」 |
LPガス業界では、「無償配管商法」というのが、半ば常識的に行われている(最近では私のようなトラブルが増えて「いた(過去形)」かもしれません)。これは、ガス器具、ガス工事代金を無償として顧客を開拓し、毎月の使用料からコストを回収していくというもので、注文住宅等建物の建築当初から関っている場合には、ガス業者の選択の中で納得して利用することもできるが、建売等の場合には建築・販売業者とガス業者の提携ということになり、建物購入者が知らずに言われるまま契約して振り回される場合がある。 このような”ひも付き”物件については、契約しないか、きちんと純ガス代金と器具等利用料を分けて請求させると共に業者変更時等解約時における当該設備の買取価格算定方法を明確にさせる必要があると思う。いずれ、ユーザーが納得して利用しないと業者にボラレル事となる。 |
何事にも取引には契約が付き物で、余り考えずにサイン、押印するとエライ目にあうというのは分かっていたつもりですが・・・。LPガス業者営業マンの訪問からお話は始まります。 平成9年に建売住宅を購入し、2年ほど経ったころで、それまでLPガスを使ったことなどなかった私は、「それにしてもLPガスは料金が高いなぁ」と思っていました。夏場など使わないときでも1万円を下ることが無く、高いときは2万円を越えました。マンション住まいのころの都市ガスではありえない高額です。しかしながら、「わざわざトラックでガスボンベを交換に来るのだから仕方が無いのかな」と自分を納得させていました。 そんな時、プロパンガスの営業マンが訪問してきました。「今はプロパンガス業者も選択できる時代です」「間違いなく現在の料金より数千円/月安くできます」「現在の業者との切替交渉は全てこちらでやりますので、契約して頂くだけでお客様にお手数は取らせません」などと言い、その一生懸命な姿についサインしてしまいました。 と、こうなると、普通はこの営業マンに騙されて・・・となるところですが、実はこの旧業者がクセモノだったのです。切替工事がおわり、新しい業者(A社とします)が今までの業者(B社とします)にB社所有物のボンベ、メーター、ホース等を届けに行った瞬間からA社との交渉を拒み、私と直接の交渉しかしないと言ってきたのです。 挙句には、「業者を変えるなら、給湯器及びガス工事代金として32万ナニガシかの違約金を払え。さもなくば家をぶっ壊してでも給湯器とガス配管を返してもらうぞ」と、脅しとも取れる要求をしてきました。なんでも、それを条件とした書面に私がサイン・押印しているのだから、契約に従え、と言うことらしいです。 |
<業者Bからの証拠提示> |
「供給承諾書」 これは、入居時に訪れたLPガス業者(B)が、「ガスの供給に必要な書面なのでサインとはんこを下さい」とだけ説明し、私にはコピーも渡さずに持ち去った1枚紙のもの。すでに本文書最下部の「各1通所有する」というのは果たされていない。 それも、他の用紙の下に隠すようにして、まるで騙して白紙委任状を書かせるようなやり方で、下の方だけめくって書かそうとした。 こちらはLPガス初心者なので、こんなものかなと思いつつ、一応読んでから「供給設備の代金を全額現金で払う」「有効期間が満15年」と言った点についてどういう意味か質問をしたが、「どこの業者も取っている形式的なものだから」とか言われてサイン・押印をしてしまった。そもそも、将来ガス会社を変える(変えられる)なんで思ってもいなかったので。 なお、この問題が発生するまでの約2年超の間、この紙は手元に無かったので内容などは忘れていた。 また、最下部に黄色で色をつけた部分に、「貸付配管給湯器¥326000.− 97.6.5」と手書きで書かれているが、これは私がサインしたときには無かったもので、後から加筆されたものと思われる。私文書偽造とならないのか? |
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「いわゆる14条書面」 法律で交付が義務付けられている書面。LPガス業者(B)が所有する(と主張する)設備が書いてある。ここに書いてあることで気になるのは、「ガスメーター出口から燃焼器までの消費設備」という欄に「配管、コック類一式」と書いてあること。 要は、建売で買った家の壁の中を通る配管が、買主である私の所有物ではない、と言っている。 まったくふざけた話で、であれば、不動産購入時の「重要事項説明」(宅地建物取引業法では、宅地・建物の売買契約を行う場合、物件と取引についての重要事項の説明をしなければならなくなっています)の中で、ガスの配管と給湯器は別売りです、と明確にされていなくてはならないが、そのような事はなかった。なんせ相手は壁の中だったり金具で固定されていたりして躯体と不可分の状態にあるのだから、特記なければ、当然全込売渡だと思うはずだ。 大体、戸建住宅を買うときに、給湯別売、トイレ別売、換気扇別売なんて言われて「ああそうですか」と納得する人はいないだろう。 この文書ではLPガス業者(B)の言い分にそぐわない部分がある。そう、多分「ガスメーター出口から燃焼器までの消費設備」という欄にあるべき「給湯器」という文字がないこと。 さらには、上欄の「供給承諾書」記載の条項には「供給設備の代金を全額現金で払う」と書いてあるわけだが、「14条書面」でいう供給設備には「配管、給湯器は含まれていない」のである。 よって、既にこの時点で、LPガス業者(B)の言い分には、書面的にも無理があることが分かってきた。 |
<私の対抗方針> |
LPガス業者(B)の言い分には、つじつまが合わない部分があるものの、何度か直接会って話をしていく中で「弁護士に頼むぞ」的なことがあったので、こちらとしても或る程度対抗できる確固たる根拠を固めることとした。方針は、 | |
1. | 「供給承諾書」、「いわゆる14条書面」に記載の内容については、サイン、押印を求める際にきちんとした説明がされておらず、内容をはっきりと確認できていれば当然納得しうる内容ではないことから、本文書については錯誤による無効契約であること。 |
2. | そもそも、LPガス業者(B)の主張する所有権については、存在しえないこと。建売住宅一式を現状有姿として購入した以上、重要事項説明の中で特に触れられていない限り、建物躯体と不可分なガス配管、給湯器等は当然に建物の買主に帰属すべきものであること。 |
をきちんと主張できるようにすること。 |
<私の対抗証拠書集め> |
建物の売主に対して、以下のような手紙を出し、「確かに設備一式を含めて売渡いたしました」という回答を以って、LPガス業者(B)の所有権の主張は間違いであるということを証明しようとした。以下はその内容である。 【建物の売主に対する手紙の内容】 「住宅付帯設備の所有権に関する確認の御願い」 標記について、プロパンガス供給業者(LPガス業者(B))と私との間に、住宅付帯設備の所有権に関する認識の相違によるトラブルが発生しているため、以下のとおり確認致したく、よろしくお願い致します。
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<建物売主からの回答> |
上記のような依頼については、大概の場合トラブルに巻き込まれるのが怖くて回答しない、曖昧にごまかす等の対応をとる販売業者が多いと言うことは何かの情報で知っていたので、期待半分不安半分だったのですが、以下のような回答をもらいました。まあ、厳しく言えば逃げ腰の部分もありますが、ほぼ満点、欲しい答えが書いてあったハナマル回答書でした。 |
「建物売主業者からの回答書」
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「建物売主業者からの私見」 売主業者さんより、丁寧な私見を頂きました。もろてをあげて同感!とは行きませんが、参考となる部分も多いので紹介します。
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<業者の逆襲> |
ということで、販売業者(売主)から欲しかった回答を得、新しいLPガス供給業者(A)の社長さん共々、LPガス供給業者(B)との対応を続けることが数回ありました。特に触れませんでしたが、新しいLPガス供給業者(A)からは、業界新聞に載っていた私と同様の事例の切り抜き(当然消費者勝訴)等を頂き、共同戦線を張り、LPガス供給業者(B)の代表者に対してはほぼ圧勝の気配が漂っていました。 ちなみに、当初は新しいLPガス供給業者(A)が「切替に関する手続、相手方との交渉は全て代行して行います」ということで切替に応じたわけで、このように自分が矢面に立つことは想像していなかったのですが、いくら私が新しいLPガス供給業者(A)に全権委任しました、と宣言したところで、LPガス供給業者(B)が拒否すればどうにもならなかったのです。こういうのを「任意代理人」と言います。強制力のある代理人を「法定代理人」といい、これになれるのは弁護士と司法書士のみです。 そんなとき、1通の手紙が届きました。とある弁護士事務所より。そう、LPガス供給業者(B)は弁護士に相談し、「内容証明郵便」を送りつけてきたのです。これには、ビビリました。 |
<私からの内容証明返し> |
このまま言われっぱなしでは腹の虫が収まらないので、弁護士4名に対して内容証明郵便で反撃をしようとおもい、前述の書の1997年版などを参考に勉強しました。結論的には、以下の通りです。 ●内容証明に対する返事(反論)は必ずしも必要ではないが、出すのであれば ・簡潔に、相手にこちらの考えていること、弱点、スキを見せないように! 要は、下手なことを書くと、相手はプロなのでカウンターを食らう恐れがある。従って、凝縮して言いたい事だけをスパッとかく。 |
「私から代理人弁護士に対しての回答書」 もう、たった一言です。
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<その後> |
その後、裁判の呼び出しはいつ来るか、弁護士から直接連絡が来るか、と気を揉みつつ、裁判の勉強なども始めたりしていたのですが、一向に連絡が来ないまま、もう5年経過しました。「不法行為に基づく損害賠償請求権」であれば3年、「利息債権・賃料債権」にしても5年の時効が成立したことになります(これはネット情報の聞きかじりです)。 その間、内容証明を送ってきた弁護士やLPガス供給業者(B)はどのように話し合い、私の追求をやめたのでしょうか。自らの過ちに気付いたのか、それとも民事訴訟を起こすほどの額ではないと諦めたのでしょうか。 いずれにしても、今回は良い勉強として反省材料がたくさんありました。皆様もハンコを押す際には、契約内容を十分吟味して、納得して押しましょう。今回の件も、実際に裁判を起こされた場合、100%の確率で勝てる、とは、だれにも言えないのですから。 |
<余談> |
今回の騒動の際、市の消費生活センターにも相談したりしましたが、「契約しちゃったんだから払わないといけないねぇ」「裁判になっても良いんですか!」などと、業者側の立場に立った回答ばかり。結局自分しか頼れないのか、とがっかりした経験があります。まあ、こちらの相談の仕方が悪かったのか、とも思いますが、消費生活センターとは名ばかりのお役所的事なかれ主義。 なもので、消費生活センターに頼らず自助努力するしかないとおもって、消費生活アドバイザーの勉強を始めました。そんなきっかけにもなった事件です。 |