特別決議

 

     憲法第九条の改悪を阻止し、平和憲法を守ろう

 

 世界の人々を戦禍にまきこんだ第二次世界大戦は、二千万人以上のアジア諸国民、三百十万人以上の日本人を犠牲にしました。この日本とアジアに甚大な犠牲をもたらした侵略戦争の反省の上に立ち、再び戦争の惨禍が起こることのないようにと「日本国憲法」をつくりました。一九四六年十一月三日に憲法が制定され、『戦争放棄』を掲げ、再び戦争はしない国にすることを決意、全世界に高らかに宣言しました。

日本国憲法は「戦争をしない国」を継続するのか「戦争ができる国」にしてしまうのか大きな試練にさらされています。制定から五十七年が経過したいま、自民党、公明党、民主党が憲法の改定を競い合っています。自民党は、小泉首相の指示で二〇〇五年十一月を目途に改憲案の策定を進めています。公明党は「加憲」をかかげ改憲論議を進めています。民主党も昨年秋の総選挙のマニュフェストで「創憲」と称して改憲を明らかにしています。こうして政界・財界を中心に日本国憲法を「改悪」しょうとする動きが、かつてない規模と強さで台頭してきています。

改憲勢力のねらいは、「戦争はしない、軍備はもたない」と決めた憲法九条を改悪し日本を、アメリカに従って「戦争をする国」に変えようとしているところにあります。小泉首相は、アメリカの侵略戦争をいち早く支持し、戦場であるイラクに自衛隊を派兵し、いまでは多国籍軍の一員として軍事支配を支える活動を継続しています。憲法に明記されている集団的自衛権や武力の行使の禁止を踏みにじるものです。さらに、新たな「防衛計画の大綱」では、自衛隊の海外派兵を、本来任務に格上げや武器輸出三原則の緩和などが上げられています。また、子どもたちを「戦争をする国」を担うものにするために、偏狭な「愛国主義」の歴史教育の押し付けや教育基本法の改悪をも狙っています。

国連憲章は、二度に渡る世界大戦の痛苦の教訓を踏まえ、個々の国が勝手に戦争することを認めない、たとえ紛争が起きても平和的解決をすることを根本原則にしています。イラク戦争に反対・不賛成の国は、国連加盟国一九一ヵ国中一四二ヵ国、世界の六十二億人のうち五十億人を抱える国が反対・不賛成を表明したのです。イラクの大量破壊兵器の存在を口実にアメリカが勝手に始めた戦争に対して、国連のアナン事務総長は「国連憲章に照らして違法である」と批判しています。国連をはじめとして、世界の圧倒的多数の人々は平和的解決を望んでいます。

私たちは、日本国憲法が実現しようとしている、武力によらない紛争解決をめざしてきた国是を、根本から転換し、軍事優先の国家をめざす策動を断じて許すことはできません。その世界の流れに逆行して憲法九条の改憲を競い合っているのが自民、公明、民主の各党です。憲法九条に基づき、アジアをはじめとする諸国民との友好と協力関係を発展させ、平和的外交と経済、文化、科学技術などあらゆる面での交流が求められています。再び戦争をしないと誓った日本国憲法は、人類の理想の道標として国際的に崇高な輝きを放っています。

通信労組・東京支部は、平和を願う全国の労働者・国民と連帯し、平和と民主主義を脅かす憲法改悪の策動を阻止するため全力をあげて奮闘するものです。

右、決議する。

二〇〇四年十月十六日

                 通信産業労働組合東京支部第二十二回定期支部大会