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 07年10月12日・全労連会館にて『労働裁判の動向は、東京地裁・高裁などを筆頭に、企業の営業の自由が過度に重視される新自由主義的判決が広がっている。労働関係においては契約自由の原則が修正された戦後の労働法制が制定・施行されてきたにもかかわらず、裁判によってその原則が歪められている現実がある。』
 『このような労働裁判の問題点を分析し、不当判決を徹底分析し「裁判所に民意の風を吹かせ、労働者の雇用と権利を守る」判決を求める深い意思統一をはかりたい。』との趣旨で「これでいいのか労働裁判」の学習会が140名の参加で開催されました。

 全労連・小田川事務局地の挨拶に続き、「NTT」・「IBM」・「ノイズ研究所』・「国立病院」の職場から裁判の状況報告発言があり、川口関西大学教授からは「最近の労働裁判の特徴と問題点」の講演がありました。
 現在、争議が行なわれている「住友重機」・「ススキ自動車』・「明治乳業』からの報告のあと、今村弁護士の閉会の挨拶で閉会しました。

川口美貴
関西大学大学院法務研究科教授

通信労組・武田書記長

「50歳定年?史上最悪のリストラ劇」NTTリストラ裁判
        〜東京地裁平成14(ワ)20737

 11万人リストラを拒んだ労働者を異職種・遠隔地に配転したのは違法だと通信産業労組の組合員ら9人が訴えていた裁判。NTTは51歳以上の労働者に最大30%の賃下げ・再雇用を迫りこれに応じない労働者を北海道や仙台、群馬、新潟などから首都圏に配転しそれまでと違う業務に配属した。東京地裁(中西茂裁判長)は2007年3月29日、「(リスト
ラ計画は)経営上の合理性、必要性が認められる」「(遠隔地配転など不利益は)労働者が通常甘受すべき程度」などとして訴えを棄却。企業利益を一方的に擁護する不当判決。
東京高裁控訴中。

「会社分割、初判断は会社にテコ入れ」IBM会社分割事件
   〜横浜地裁H19.5.29判決

  会社分割と労働契約承継に関する初めての判決:会社分割に際して設立会社等に承継させられた労働者が、商法附則5条の協議違反などを理由として分割会社に対する労働契約上の地位確認を求めていた横浜地裁判決。
  日本IBMハードディスク部門会社分割事件:02年、日本IBMがハードディスク(HDD)事業部門を会社分割した上で、その持株を全て日立製作所に譲渡。その結果、HDD事業部門に所属していたIBM従業員800人が新たに設立された日立GST社に承継させられた。旧商法の会社分割法制及び労働契約承継法に基づいて労働契約の承継手続が行われたが、IBM従業員15名が同意なき労働契約承継は違法としてIBMに地位確認及び損害賠賞請求を求めて提訴(提訴03年5月20日)。

「成果主義って、時代の流れ?」ノイズ研究所事件
 平成18年(ネ才)第457号・平成18年(ネ受)第494号事件(東京高裁平成18・6・22)

  会社が就業規則を変更して賃金制度を年功型から成果主義に変更、降格・減給したのは不当だとして、神奈川県の電子機器製造会社「ノイズ研究所」の40、50代の社員3人が同社を相手取り、降格前の地位の確認と減額分の支払いなどを求めた。一審は、会社側の敗訴となったが、控訴審(東京高裁)で逆転判決。
判決は、
@社員全体の給与原資が減ったわけではない。
Aどの社員にも自己研鎖による昇格・昇給の機会が保障されている。
B人事評価制度も必要最低限の合理性があるなどの基準を挙げて
「どの社員も平等に昇格、昇給できる機会が与えられており、変更は合理的」と就業規則変更の合理的を認定したうえで,、「社員が降格や減給を我慢するのはやむを得ないjなどと述べ、「経過措置が不十分」として就業規則の変更を無効とし、減額分の支払いを命じた1審・横浜地裁川崎支部判決を取り消し請求棄却。

「解雇権乱用法理、公務には通じず」国立病院雇止め事件
〜06.12.27、平成16年(ワ)15905号(東京地裁)

  全医労が国立病院の独立行政法人移行に伴う賃金・労働条件の不利益変更および賃金職員の雇止めなどの是正を求めた労働条件確認等請求について、いずれも棄却する不当判決。「定員職員の雇用継続は法律や国会答弁で示されているが、賃金や労働条件の継承は約束されていない」とする被告・独立行政法人国立病院機構の主張をそのまま認め、35歳以上一般職員の賃金を団体交渉もしないまま、ー方的に10%も切り下げることには「高度の必要性と合理性が認められない」とする主張をしりぞけた。10年20年と定員職員と同様に働いてきた5300人の賃金職員を一方的に雇い止めしたことも、「賃金職員は任用期間が定められており、期間満了で身分を喪失する」とし、公法上の「任用行為」には公法上の解雇権乱用法理は適用されないとした。東京高裁控訴中。

2007年10月12日・全労連・自由法曹団

裁判所に民意の風を!雇用と権利を守る判決を

相次ぐ不当判決〜