厚生労働大臣 NTT14万人OBの減額を拒否
2月10日、NTT退職者14万人の企業年金減額について、厚生労働大臣は承認しない決定をおこないました。この決定は、NTT退職者のみならず1700万人とも言われる企業年金加入者・受給権者にとって極めて喜ばしい歴史的な勝利です。こうした大勝利を勝ち取ることができたのは、減額を許さないという全国的な大きな運動とともに、減額される前にその違法性不当性を裁判所に訴えた攻勢的な取り組みがあったからでしょう。
「申請しても承認されない」という予測のとおりに
私たちは、裁判のなかで以下の理由からNTTは「もはや申請しても承認されない」ということを明らかにしました。
@ 減額しないという明白な適格退職年金契約がある。
A 適格年金の受給者を規約型企業年金に移行すれば減額が可能になるという法律規定がない。
B NTTは債務超過等、経営悪化になく、受給者減額の要件を満たしていない。
C 同意書の徴収が不正な方法によって行なわれ、地位利用等の強制で行われ、無効である。
事態はまさに私たちが予測したとおりの結果となりました。
大企業の横暴を阻止した大きな意義ある闘い
受給権者14万人におよぶNTT企業年金の退職者減額が阻止できたことは、大きな意義があります。
第1に、大企業の利益優先の横暴を阻止したもので、企業年金受給者減額の流れに歯止めをかけたものになるでしょう。NTTにおける受給者減額の企ては、その規模から日本の企業年金の動向を決定付けるもので、その理由と手段において大企業の横暴を露骨に示すものでした。
第2に、減額される前に「差し止め請求訴訟」という攻勢的な裁判に挑み、これに成功したことです。昨年9月8日の東京地裁判決は、厚生労働大臣が先ず判断すべきとして原告の訴えを退けたものの「原告らの訴えは訴えの利益があって適法」とし、減額される前に裁判所に訴える権利を認めました。この裁判で会社側は減額しないという明白な適格退職年金契約の資料を提出せざるを得なくなりました。減額や廃止される前に攻勢的に裁判に訴えて減額を差し止めることが可能な画期的裁判でした。
受給者減額を許さない法的整備こそ必要
NTT企業年金受給者減額の企てを阻止できたことは、今日の企業利益優先社会への批判の高まりを反映したものでしょう。また、日本における受給者減額を許さない法的整備の第一歩となるでしょう。
NTTは、行政訴訟を検討している模様ですが、厚労省の判断に従うべきでしょう。
これまでの私たちに対する物心両面にわたる暖かいご支援に心からお礼申し上げます。
2006年 2月11日
NTT企業年金受給者減額差し止め訴訟原告団
代表世話人 林 大 山
同 島 村 孜 朗
同 外 川 洋 子
2010年6月8日 最高裁・NTTの上告を棄却! 企業年金裁判勝利・声明 |
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