古利根沼 〜我孫子・ふるとねぬま〜
古利根沼(ふるとねぬま)に行ってきました。少し前に紹介したオオタカの森などと共に、東葛地域に残された貴重な自然の宝庫です。といっても、この沼は自然と人間の合作なんです。
実は、古利根沼はもともと利根川の本流でした。この沼の辺りは利根川が思いっきり蛇行していたところで、昔から水害に悩まされていたそうです。そこで、
明治44年から大正9年にかけての河川改修工事で、利根川を現在の流れのように一直線に変えました。改修工事で切り離された蛇行部分が、この古利根沼なの
です。
古利根沼は、以前から行きたかったところです。利根川サイクリングロードの我孫子区間からも、沼の一部と沼の南岸の暗い森が見え、ぜひ一度訪ねてみたかったのですが、なかなか訪問する機会がありませんでした。行ってみて、南岸の森が思ったより深いことが分かりました(写真の左側)。まさに鬱蒼とした森という印象です。タヌキやイタチ、野ウサギなども生息する
らいしですから、本格的です。
ところで、この古利根沼もバブル期に更地化される危機に直面しました。オオタカの森と同様、近隣住民の方が保存運動に立ち上がり、自治体とも協力の上、
バブル期の最大の危機を乗り越えたそうです。訪ねてみれば分かります。この沼も未来に残すべき貴重な自然と人間の遺産ですね。
面白いことに、古利根沼と利根川の間の地域は茨城県取手市です。小堀と呼ばれる地域で、
利根川改修工事の結果、茨城県の本体とは新しい利根川によって切り離され、孤立してしまいました。まさに、東葛の中にある常陸の国です。今でも、利根川北
岸とを結ぶ橋が近くになく、「小堀の渡し」と呼ばれる渡し舟が運行しています。自転車でも乗船できるらしいので、いつか乗ってみたいです。
古利根沼の南岸の森の頂は、『古利根公園〜自然観察の森』になっています。自転車で乗り込むことは禁止されていません。中に入ると、すぐに古利根沼を見下ろせる場所にでれます。ちょうど南から古利根沼を眺める形になります。ただ南岸と異なり、北岸の小堀地区は開発が進んでいますから、南岸からの眺めはそれほど美しいものではありません。それでも、古利根沼も昔は川(利根川)だったことを実感できる眺めです。
古利根公園の中は結構深い森です。散歩する人もほとんどいないので、MTBで土の感触を楽しんできました。
古利根公園の片隅に立派な竹林があります。風に吹かれて竹同士がぶつかり、カラーン、カラーンと涼やかな音を響かせます。静けさなの中に、竹の音色、それに鳥のさえずりが加わり、とても落ち着いた気持ちにさせてくれます。
南岸の森の真下、古利根沼に沿って小さな道が続いています。古利根沼は、実は釣りのメッカです。この道は獣道ならぬ釣り人道です。今はMTBで走れますが、草木が生い茂る夏には自転車で通るのは難しいでしょうね
古利根沼で釣りをする皆さんです。ボートはもちろん、脚立のようなものを沼に固定して釣りを楽しむ人もいました。のんびりとした休日の風景です。
利根川サイクリングロードの我孫子区間から見ると、古利根沼の東側は南岸の森しか見えません。また、西側は水面がほんのわずか見えます。ここから見ただけでは、この沼に深い自然があることは分からないでしょうね。