田中調節池と利根川サイクリングロードの関係
利根川サイクリングロードの柏区間(柏市サイクリングロード)を下ってくると、ちょうど新大利根橋の下で舗装が尽きます。後は我孫子区間で舗装が復活するまで、つまり利根大橋まで砂利道が続いています。私はこれまで一度も、この砂利道を走ったことがありませんでした。利根運河から利根川に入り、新大利根橋から布施弁天・あけぼの山公園をかすめ手賀沼に向かうというのが、いつもの私のコースです。
MTBで新大利根橋から大利根橋までの砂利道を走ってみることにしました。ひどいコースです(笑)。固い土の上に大きな白い砂利を撒き散ら
してあるため、MTBですら走りが不安定で、全く楽しくありません。これなら利根川河川敷の道なき道を走った方がよっぽどいいです。しかも、車が入ってき
て、白い砂埃を派手に巻き上げるものだから、埃まみれです。「何で土のままか、舗装しないんだよ」とぶつぶつ言って走っていました。
すると突然、この砂利道がなくなり、というか、堤防自体がなくなり、わざと水を外へ流すようにしたとしか思えない、低いコンクリート
の構造物が出現しました。これには驚きましたね。この構造物の上には水位計も設置されてあり、利根川が増水したとき大量の水が外へ流れ出す仕掛けであるこ
とは間違いありません。かといって、水が流れ出る先には川があるわけでもなく、農地が広がっています。「げっ、洪水になったらどうするんだよ」と不思議な
気持ちでいっぱいでした。
それよりも、「道を失った私はどうすればいいの」です。そのとき、犬を連れた人が、この構造物の向こう側からやってきました。堤防から自転車を担いでなん
とか降りられそうなので、私も構造物のところに降りてみました。なんか、自転車で走るとシュールです。先まで走ると再び堤防が復活していますので、自転車
を担いで上りました。堤防の上には、やはり砂利道が続いて、しばらく走ると大利根橋まで行くことができました。
なにか狐につままれたみたいなので、今朝インターネットで調べてみました。ありました。ほんとネットは便利ですね。この構造物は越流堤(えつりゅうてい)と いうそうで、実際に利根川が増水したときに、水を外へ流し出すそうです。で、どこへ流すかというと調節池だそうです。実は、上流は利根運河から下流は大利 根橋のところまで、南岸の広大な農地が「田中調節池」という“池”だそうです。今は当然、水はありませんが、5年から十数年に一度巨大な池が姿を現すそうです。
どれくらい巨大かというと、この田中調節池にはダム1つ分の水を蓄えることができるそうです。茨城県側にも、これより小型ですが、同じ調節池が2つあっ
て、その3つの池で水害から東葛地域などを守っているのですね。で、田中調節池に水が入り、農地が水没すると、農家の人は困るだろうと思ったのですが、共済により損害が保障されるそうです。よく考えられたシステムですね。感心しました。
つまり、利根川サイクリングロードの柏区間や昨日走った砂利道は、利根川河川敷と田中調節池を隔てる堤防だったのです。利根川サイクリングロードの柏区間を走ると、周りに家がなく、茫洋とした印象を受けるのには、こんな理由があったのですね。当然、田中調節池の外側を取り囲む本堤防があるはずです。実際、利根運河から国道6号線までの間をくねくねと伸びる長い堤防があります。それが下の写真で、堤防の上には砂利道が続いており、堤防の東側で田中調節池の中の農地を眺めると向こうに越流堤の白いコンクリートも見えました。
ところで、田中調節池に水を流す越流堤は現在1カ所しかありませんが、もう1つ大型のものを上流に作る計画だそうです。なんと位置は、利根川サイクリン
グロードの柏区間のど真ん中です。まさか、サイクリングロードを閉鎖してしまうことはないと思いますが、ちょっと気になります。