『いろはきいろ』タイトルバーナー 『いろはきいろ』

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#096[夜]05

 嘘をつくのも、隠し事をするのも、あなたの勝手だ。私は、そんなことで怒っているのではない。[あなたの言葉は、いつか、どこかで、通用しなくなる]と言っているんじゃない。[今、ここで、通用していない]と言ってるんだ。私が通用させないんじゃない。あなたが通用させないんだ。
 どうか、私に、推察させようとだけは、しないでくれ。
 黙って聞いている顔付きや態度が、Lらしくない。まるで別人のようだ。肌が、つやつやしている。いやに自信たっぷり。目が座っている。諭すように、妙に優しく、しかし、脅すように言うのだった。
 「そんなことばかり、言ってたら、みんなに置いてかれるよ」
 「いいよ」 もう、いいんだよ、どうでも。
 「え? 私、今、何か、言った」
 「言ったよ」
 「やだ、寝ぼけてた」
 「知ってる。でも、本音だろう?」
 無言で俯く。考え込む様子。これは、いつものLだ。このまま、眠りに入るのだろうか。


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