『いろはきいろ』
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#097[夜]06
自分は、少なくとも、3人はいる。と、Lは言う。自分を操る自分、自分に操られる自分、そして、その様子を見ている自分。見ている自分は、離れた、いや、近くの、草の生えた、低い石垣に、平気な顔をして座っていると言う。
私は言った。「話すのなら、その、見ている人と話したいね」
すると、Lは、「はい」と言って、一人分の空間を移動し、座り直した。まるで、操られているみたいだった。
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