(1−1 麻痺等の有無)
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Q & A
@「麻痺等の有無」の考え方
1 麻痺等の定義について教えてください。

筋肉の随意的な運動機能が低下または消失した状況があり、かつ日常生活に支障があるかどうかで判断します。

2 筋力低下の捉え方は、どのように判断するのですか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断します。動きがあっても、日常生活に支障がある場合は麻痺等を「ある」と判断します。

3 麻痺等とは、神経または筋肉組織の損傷、疾病等により、筋肉の随意的な運動機能が低下または消失した状況をいうとされていますが、加齢による筋力低下により、動きがあっても日常生活に支障がある場合、麻痺等に含まれますか。

傷病名、疾病の程度、加齢による筋力低下など理由に関わらず、動きがあっても日常生活に明らかな支障のある筋力低下がある場合を麻痺等を「ある」と判断します。

4 日常生活に支障があるという判断は、本人の訴えに基づいて判断してよいのですか。

調査対象者、家族等の介護者への聞き取り、確認された身体の状況に基づいて、日頃の生活状況から見て日常生活に明らかな支障があるかどうかで認定調査員が判断し、訴えに基づいて部位を確認してください。

5 本人及び家族が日常生活上の支障を訴えた場合でも、調査員が支障がないと判断すれば「ない」とするのですか。また、本人等が「日常生活上支障がない」と主張しても認定調査員があると判断すれば「ある」になるのですか。

基本的には、調査当日の状況と調査対象者及び介護者から聞き取りした日頃の状況を総合的に勘案して認定調査員が判断します。
なお、判断に迷う場合は、具体的な状況を「特記事項」に追記してください。

6 高齢者の廃用性の筋力低下を「麻痺等」ととるとき、歩行が杖などのつかまり歩行のときにも「麻痺等」が「ある」と判断していましたが、「片足の立位保持」が自立と判断できるときには、この項目との整合性を持たせるべきですか。

各々の調査項目については、それぞれ記入要綱に従って結果を判断することとし、必ずしも整合性を持たせなければならないものではありません。

7 主治医意見書上の麻痺と、実際筋力低下等を伴う麻痺の状態が違う場合の判断が難しいですが、どのように判断したらよいですか。

認定調査員の行う基本調査については、調査対象者の生活状況からみて日常生活に支障があるかどうかで判断します。従って、医学的観点からみた主治医意見書と判断基準が異なるため、両者の結果が不一致となることもあり得ます。

A「麻痺等の有無」における日常生活の定義

1 麻痺等の項目の定義にある「日常生活に支障がある場合」の『日常生活』とは、健常者の日常生活と解してよいのですか。

当該認定調査対象者の日常生活に基づいて判断します。

2 右麻痺はあるが車いすで自走している痴呆のない方の場合、車いすなので重い窓は開けられないので開けてもらう、はがきの代筆、電話をかけるとき番号を押してもらう、新聞を玄関から取ってきてもらうなどしてもらっている場合、麻痺等は「ある」と判断するのですか。

日常生活に支障がある場合は、「ある」と判断します。

3 両下肢が廃用性に筋力低下しているため歩行できない方が、痴呆のため本人の意思が確認できず、家族に日常生活への支障を確認すると、徘徊しないため麻痺があることによる支障がないといえば、麻痺等は「ない」となるのですか。

調査対象者の日頃の生活からみて日常生活に明らかに支障のある筋力低下がある場合を麻痺等とします。日常生活の支障については、家族の日常生活の支障のみから判断するのではなく、また、徘徊のみで判断するのではなく調査対象者、家族等介護者への聞き取り、確認された身体の状況等の情報に基づいて、総合的に勘案して判断します。

4 左上肢に麻痺がありますが、日頃は麻痺のない右手(右上肢)を使って食事をするなど、日常生活に支障がない調査対象者の場合、どのように判断するのですか。

食事の状況のみで判断せず、明らかに日常生活上に支障がある場合は、麻痺等を「ある」と判断します。ただし、麻痺等の存在が、日常生活のすべてにわたり他の行為により代替されているのであれば、本調査項目では「ない」と判断します。

5 「日常生活の範囲」において、日常生活に「歩行」が含まれるのであれば、「歩行」等の調査項目において異常所見箇所が重複してカウントされることになり、調査員の判断する「日常生活の範囲」により一次判定結果が異なることとなると思われますが、いかがですか。

歩行の状態によってのみ判断せず、明らかに日常生活上に支障がある場合は、麻痺等を「ある」と判断します。他の質問項目はそれぞれの記入要綱に従って判断します。

B心身の障害等
1 深部感覚の障害により、運動にぎこちなさがある場合も麻痺等に含まれますか。

傷病名、疾病の程度に関わらず、すなわち深部感覚の障害であっても、日常生活に明らかな支障がある筋肉の随意的な運動機能の低下は含まれます。

2 痴呆等により食事、排泄、移動、着替えに有用な動きは何もできず、常時上肢を胸腹部に置いていますが、頭部の掻痒感がある時のみ上肢が頭部まで動く場合、項目の定義「動きがあっても、日常生活に支障がある場合」に該当すると考え、麻痺等を「ある」としてよいですか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断し、動きがあっても、日常生活に支障がある場合は麻痺等を「ある」と判断します。

C歩行障害の場合

1 筋力低下といっても幅がありますが、どの程度の筋力低下を麻痺等が「ある」と判断してよいのですか。
例えば、筋力低下による歩行時のふらつきや壁などに寄りかかりながらの歩行も麻痺等が「ある」と判断してよいのですか。

筋肉の随意的な運動機能が低下または消失し、調査対象者の日頃の生活状況からみて日常生活に支障があると判断できれば、該当部位を選択してください。

2 調査対象者が、日常的に歩行時はつたい歩きをしており、調理時は片手支えをしている場合、日常的に支障があると解釈し、麻痺等について左右両下肢に麻痺が「ある」としてよいですか。

本質問項目では、筋肉の随意的な運動機能が低下または消失し、日常生活に支障があると判断できれば、該当する部位を選択します。

3 筋力低下があり杖歩行している場合、両下肢の麻痺等を「ある」としてよいですか。

本質問項目では、筋肉の随意的な運動機能が低下または消失し、日常生活に支障があると判断できれば、該当する部位を選択します。

Dギブス固定、装具、義足等を使用している場合

1 左手首を骨折によりギプスで固定している場合(左手指は動く)、「麻痺等の有無」は「左上肢」を「ある」としてよいのですか。

骨折後のギプス固定は日常的な状態とは考えられませんが、状況等により筋肉の随意的な運動機能が低下もしくは消失していると判断されれば該当する部位を選択します。

2 日常的に器具、器械(自助具、補装具等)を必要としている場合は、それのみに着目して筋力低下があると判断し、麻痺等を「ある」としてよいですか。

器械等を使用している状態のみから筋力低下があると判断するものではありません。
普段、装具を用いている場合は、装着している状況において判断します。

3 大腿部つけ根から義足を装着して日常生活をしている場合、麻痺等の「6.その他」を「ある」とするのですか。

四肢の欠損がある場合は「6.その他」を選択し、必ず部位や状況等について具体的に「特記事項」に記載します。

E拘縮がある場合の麻痺の判断

1 各関節に強度の拘縮があり全く動かない場合、神経または筋肉組織の損傷等による筋肉の随意的な運動機能が低下または消失した状態で判断する日常生活に支障がある「麻痺等」があるかどうか判断できません。この場合どのように判断するのですか。

「麻痺等の有無」については、調査対象者、家族等介護者からの聞き取り、確認された身体の状況(直接触れる場合も含む)に基づいて判断します。調査対象者が可能な限り努力をしても動かないあるいは、動きがあっても日常生活に支障があれば、その部位を確認します。

2 四肢の関節が強度に拘縮している調査対象者について、自動的に四肢が動くかどうか確認しましたが、ほとんど動きませんでした。この場合、それが関節の動く範囲の制限によるものか、筋力の低下によるものかの判断が困難な場合、どのように判断するのですか。

筋肉の随意的な運動機能が低下または消失した状態であれば麻痺等を「ある」と判断します。
麻痺と拘縮はそれぞれ個別に判断します。

Fその他の部位に麻痺や欠損がある場合

1 手指に麻痺がある場合、どのように判断するのですか。

手指のみに麻痺がある場合には、「6.その他」を選択し、部位や状況等を「特記事項」に記載します。

2 手指にのみ麻痺がある場合は「6.その他」を選択するとありますが、例えば左上肢に麻痺があり、かつ左指が欠損している場合については、「2.左上肢の麻痺」および「6.その他」の両方を選択するのですか。

両者を選択し、「特記事項」に部位とそのためにどのような日常生活への支障があるのかを記載します。

3 右手第二指の第一関節から切断されている人は、選択肢の判断基準の四肢の欠損がある場合の「6.その他」を選択してよいのですか。なお、この場合、日常生活に支障はありません。

手指の欠損により日常生活に支障がある場合は「6.その他」を選択します。日常生活に支障がなければ「ない」と判断します。

4 変形性脊椎症、脊椎の圧迫骨折等で体幹の動きに支障のある場合、「6.その他」に該当するのですか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断し、動きがあっても、日常生活に支障がある場合は「6.その他」を選択し、具体的な状況を「特記事項」に記載します。

5 「手首」に日常生活上支障をきたす麻痺がある場合、「選択肢の判断基準」において、「手指の麻痺」と同様と考え、「6.その他」を選択してよいですか。

手首は手指ではありませんが、手首のみに麻痺がある場合については部位としては「6.その他」を選択し、部位や状況等について具体的に「特記事項」に記載します。

6 腫瘍で舌の左半分を切除し、発語や摂食障害がみられ、意思の疏通や嚥下が困難な場合は、麻痺等の「6.その他」を選択してよいですか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断し、日常生活に支障がある場合は麻痺等を「ある」とし、「6.その他」を選択し麻痺等の程度や日常生活上の具体的な支障については、「特記事項」に記載してください。

7 舌麻痺があり、それによって日常生活に支障が生じている場合は「6.その他」を選択し、状況等については、具体的に「特記事項」に記載するのですか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断し、日常生活に支障がある場合は麻痺等を「ある」とし、「6.その他」を選択し麻痺等の程度や日常生活上の具体的な支障については、「特記事項」に記載してください。

8 構音障害やえん下障害などのために日常生活に支障がある場合、麻痺等があるとして「6.その他」を選択してよいですか。

「麻痺等の有無」は、筋肉の随意的な運動機能の低下によって日常生活に支障がある場合に「ある」としてください。
構音障害やえん下障害は、麻痺等の「6.その他」には該当しません。

9 顔面神経麻痺も「6.その他」に含まれますか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断し、日常生活に支障がある場合は麻痺等を「ある」とし、麻痺等の程度や日常生活上の具体的な支障については、「特記事項」に記載してください。

G意識障害等の考え方

1 意識がない場合、麻痺の有無はどのように判断するのですか。

意識の有無にかかわらず筋肉の随意的な運動機能が低下または消失した状況があり、かつ日常生活に支障があるかで判断します。

2 高度の意識障害があり、自分の意思で四肢等を動かそうとしない場合は、それ自体が随意運動機能の低下であると判断し、麻痺等を「ある」と判断してよいですか。

筋肉の随意的な運動障害によって日常生活に支障がある状態であれば、麻痺等が「ある」と判断します。

H寝たきりの場合の麻痺の考え方

1 寝たきりで麻痺はなく、ベッドの上で寝た状態では自分で足を動かすことができますが、歩行ができません。また、ズボン等の着脱にも介助が必要といった場合は、麻痺はないが筋力低下があるとして麻痺等を「ある」と判断してよいですか。

筋肉の随意的な運動障害によって日常生活に支障があることが確認できれば、該当部位を選択します。

2 寝たきりの場合は、その状態が歩けない等の生活上の支障であるので、下肢の筋力低下があると捉え麻痺等を「ある」としてよいですか。

筋肉の随意的な運動機能について日常生活に支障があるかどうかで判断し、動きがあっても、日常生活に支障がある場合は麻痺等を「ある」と判断します。

(変更なし)

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