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2026年
(令和8年)




6月の句


和船漕ぐ八十路の腕夏燕



南風少女に広き額かな



しかと聴く捨て鐘夏の夜の時報



おりいつて尋ねてみたい捩り花



翡翠やカワセミ色の水しぶき







5月の句


蓼科の花咲くやうな芽吹きかな



文明は大河のほとり麦の秋



菖蒲湯の今日も夫の青春歌



付き添ひを交替缶入り水羊羹



やんごとなき二の丸池の蟇



新緑の光合成やレモネード




 
 


4月の句


春愁ひ美術教師の伊達メガネ



舞ひ降りし花ひとひらや結跏趺坐



小手毬の窓や両家の顔合はせ



富士山に恋して世々の桜海老






 


3月の句


春浅し薄ら日煮詰めママレード



指で拭く海側の窓流氷来



辛抱の能登の荒磯の栄螺かな



曙に染まる飛天の春ショール




 


2月の句


寄席に聴く孝行息子寒蜆



こんと割る菜漬けの樽の薄氷



回転ドア肩の淡雪はらひつつ



前奏のたしかなリズム春の水





 


1月の句


座布団の店主の尻の形かな

 

編み直す家族の色の毛糸玉

 

湖底より神代の音色御神渡り

 

餅花のほのかな明かり真夜の土間