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<第11章>

配布ルールの欠点



配布テントでは、救援物資を1人でも多くの被災者に配布するということ、そして公平性を保つということから、1人当たりの配布個数の順守について最も気を配っていました。 
みんなが分かるように1人当たりの配布個数を書いた紙を値札風に表示したり、口頭でもはっきり、配布個数をお伝えしていました。 

しかし残念ながら、人が集まるところ、やはり中には厚かましい人が必ずいるものですね。 
1人分の配布個数を無視してズルをする人は数パーセントの割合でいたように思います。 
そういう人は、大勢集まっているときにこっそりチョロまかす(言葉は悪いのですが、この表現がぴったりなんです!)といった感じでした。 
それでも、不思議にズルの現場は目に入るものです。 
配布係はニコニコしながらも気をつけて見ていました。
 
現場を目撃した場合、「お1人○個でお願いします。本当はもっと差し上げたいのですが、少しでも大勢の方にお配りしたいので、ごめんなさいね♪ (^。^ゞ」と、まず丁寧な言い方で相手に理解を求めるようにしていました。 
それでも聞き入れない人には単刀直入かつ明るい口調で、「(/。・0・)ゞ  1人○個ですよ〜♪」と、注意をさせてもらいました。 
それでも返さずに逃げ帰る人もいました。 
そんな場合 私は、和やかな配布テントの空気を壊したくないので目くじらは立てませんでしたが、「あ〜っ あの人、余分に持って行ってしまったわ〜!」と、ご本人にもその場のみんなにも聞こえる明るくはっきりした声で言って、さり気なく 再犯および便乗犯の防止に努めていました。 

ズルの黙認はしない!・・でなければ、ルールが骨抜きになり、それによって無秩序状態に陥る可能性があるからです。  
それでも、あまりにも非常識な持ち逃げ常習犯(救援物資を他所で売るのが目的?・・そんな噂でした)が、持参した紙袋に一気にごっそり物資を掻き込んで持ち帰ろうとした際には、他の若いボランティア達に背中を押されるようにして、私が実力で奪い返しに出たことがあります。
醜い女同士の戦い??・・  (;^_^A
回収出来た(奪い返した?のは半分位でした。 
あんな恥かしい戦いはそのときが最初で最後・・。
で、それ以降、その常習犯はそんな阿漕なことはしなくなりました
 (^。^;)ほっ

1人○個というのは配布テントに来てくれた人を対象にしていたのですが、中にはお1人で来られて複数の人数分を持ち帰ろうとされ方もいらっしゃいました。 
こちらが注意を促すと、「4人家族やから4人分!」とか、「年寄りが家で寝てるんやけど、その分も・・。」というような、『なるほどね〜!』と思える応えも返って来ました。 
本当は、お年寄りの方の分は差し上げたかったのですが、やはり、その特例を認めると、厚かましい人がいろいろな理由をつけて1人でたくさん持ち帰るケースが出てくるかもしれません・・ そうなると、配布の秩序が乱れて全体の収拾がつかなくなる可能性も考えられますので、その方達には本当に申し訳なかったのですが、「品物がたくさんないので、ここに来てくれる人にしかお渡しできないことになってるんです・・。 時間をずらして来てもらったら、その都度お渡しさせてもらいますよ (o^。^o)ニコ 」と、“マル秘裏戦術?”をお伝えしました。
「でも、お弁当はすぐなくなるやろ〜」との言葉が返って来たり、納得のいかない表情で帰って行かれる方もいらっしゃいました。 

来訪者お1人につき1人分という単純な配布システムは、弱者には行き渡らないという欠点がありました。。   

  

  

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