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<第12章>

一期一会



配布テントには古本コーナーがあって、気に入った本があれば何冊でも自由にお持ち帰りいただけるようになっていました。 
返却不要!立ち読みも大歓迎!!

当時、大人に人気があったのは肩の凝らない雑誌やHOW TO本、小学生にはマンガ、幼少のお子さんには、お母さんやお祖母ちゃんが本人に絵本を選ばせてあげていました。 
文学や歴史小説等の名作もたくさんあったのですが、震災直後の時期にそれらはさっぱり人気がなく、あんまり不人気なので、私が借りて帰って 実家で読むこともありました。 

そんな或る日、小説のお好きそうな方が「あっ、この人(作家)のはいいなあ〜♪」などとつぶやきながら、本をあれこれピックアップしておられて、どうもそのご様子から 私と好みが合うような気がして、「こういうのもありますよ。」と、私が借りて帰るつもりで取り置きをしていた不人気な本を差し出してみたところ、やはりその方も興味を示され、遠慮されるその方に私は、その本をお渡ししたのでした。
 

そして後日、その人がその本を持って来てくださって、「こんなのしかないんですけど・・。」と恐縮気味に、千代紙で作られた日本人形のしおり(画像)を本に挟んで、私にプレゼントして下さったのでした。
その方のお名前を知らないままの一期一会でありました♪ 



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岡山県のボランティア団体が神戸市災害対策本部に送って下さった手作りの袋を配布テントで配布したことがありました。
当時、ペットボトルを湯たんぽに代用するアイデアが話題になっていました。
そのボランティア団体は、寒い避難所で寝起きをしておられる避難住民さん達のことを思われて、熱いペットボトルのままだと火傷をするからとのことで ペットボトルを入れるキルト地で作った可愛い巾着袋をたくさん送って来て下さったのでした。

そして、それぞれの袋の中に一筆箋のお手紙が添えられていました。

配布テントでは意外にも、その巾着袋は人気がありませんでした・・。
ペットボトルの湯たんぽ、アイデアはとっても思いやりのあるものなのですが、避難所では湯たんぽに使うだけの十分なお湯はなかったなずです・・
周辺地域の住民さん達にしても、あの頃はライフラインの水道とガスの復旧がどうだったのでしょう・・?

なので 私達ボランティアは、せっかく心を込めて手縫いで作ってくださった巾着袋を1つずつ頂きました。
私が頂いた袋(画像)の中に入っていた一筆箋、あまりにも達筆な文面でしたので、私には読めませんでした・・``r(^^;)
「どう読むのかしらねぇ?」と言いながら、その場に居合わせた住民さん達と、皆で しばらく一緒に考えたのですが、結局はわからず、全員 諦めて解散したのでした。 

すると1時間位して、「読み方がわかったよ〜!」っと、さっき一緒に考えて下さった住民さんのお1人が ニコニコしながら配布テントにいる私のところまで来て下さって、その読み方を教えて下さったのでした。
それには「御体を大切に! がんばってください。復興へ向けて力を合わせて頑張りましょう。私もお手伝いに行かせてもらいます。」と、書かれてありました。 
その読み方を私に教えてくださった方のお名前を知らないまま、この方とも一期一会でありました♪



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3月とはいえ、グランドの配布テントは外気にさらされ、使い捨てカイロをしていても寒いものでした。 
当時、震災ルックという言葉が流行りましたが、住民さんもボランティアも、防寒用に救援物資で頂いた軍手をはめていました。 
軍手は汚れても平気なので重宝しましたが、ただ、表面がつるつるしている使い捨てカイロなどを5枚ずつ取り出してテキパキと配布しなければならないときなどは 軍手をしていては仕事になりません・・!
なので、忙しいときは、寒さに耐えながら素手で作業をしていました。 

そんな或る日、親指、人差し指、中指の先が出せるように指先部分をカットした軍手をはめておられる住民さんを配布テントで見かけました。 
『なんと素敵なアイデアなんでしょう!』と思った私、 「その軍手、グッドアイデアですね〜♪ d(-。^)☆ 」っと、お声を掛けさせてもらいました。 
その方もニコニコされて、「あ〜っ、これ? 簡単なんよ〜♪ 鋏で切ってかがるだけなんよ〜!」と応えて下さって、「私も作ってみようかな〜!」と、返答したのでした。 
そのようにして コミュニティー広場”さながら、住民さんとボランティアの間では自然に一言二言の会話がありました。 

そして或る日、「ずーーっと気になってたんやけど、時間ができて、やっと出来たんです〜!」と言って、その人が配布テントにいる私に指先が出せる軍手(画像)を持って来て下さったのでした。
その方にはお名前をその場で伺ってお礼を言ったのですが、生憎、ちょうど配布作業に追われていたときでしたので、メモ書きする時間が取れないまま、その日の内にその方のお名前とお顔までも思い出せなくなったのでした・・(/。-)
そのことが今でも心残りになっております・・



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配布テントでご親切にしてくださった皆さま、本当にありがとうございました m(_ _)m♪
一期一会のご恩、今も忘れておりません☆

  

  

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