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<第18章>

不自由でも



マニュアルはあくまでもマニュアル・・
何事もマニュアルどおりに事が運べばいいのですが、やはり何にせよ、現場は机上の世界ではないんですよね〜!
仮設風呂の舞台裏では大変なものがありました。 

 
3月初旬から中旬にかけては寒さのためにお湯の沸きが遅く、それでもって、利用者が定員一杯(1時間当たり20名。1日120名)だったために、当然、お湯の使用量がかさんで、ストックしてあった予備のお湯(浴槽2槽分に相当する約300リットル)を全部使っても尚、お湯は不足状態に陥り、浴槽のお湯が減る中、湯面を浴槽内のお湯の噴出し口よりも上に保つためにお湯がぬるくなるのを承知の上で、水道の蛇口から常時少しずつお水を浴槽に注ぎ込むようにしていました。 
仕様説明上、2時間毎に30分間の休止が必要なボイラーは、休むことができずに酷使されていました。 
しかし、3月下旬以降、暖かくなると同時に、ボイラーも利用者も仮設風呂の担当者も、みんな楽になりました♪ 

舞台裏で最もご苦労をされたのは技術担当の連合さんです。
ボランティアは連合さんの指示に従って、ストックのお湯を継ぎ足したり、水道の蛇口の水の量を調整したり、浴室にあるボイラーのタイマーを調整したりしていました。
 
そんなぬるいお風呂、しかも1人当たりの入浴時間が着替え時間込みで30分制限の仮設風呂、利用者の皆さんにとっては本当に不自由であったことと思います。 
なので私は、湯上り後の住民さん達にはいつも 「ご不自由をおかけしてごめんね。風邪を引かないで下さいね。」とお声を掛けさせてもらっていました。 
すると住民さん達からは、「『ごめんね』なんて言わんといて! ボランティアの人には本当によくしてもらって感謝してるのよ。こうしてお風呂に入れてもらえるだけでもありがたいと思ってるんよ〜!」等、逆に 温かいお礼の言葉を言って頂きました。 

利用者の殆どは、連合さんやボランティアに対して、いつも必ず「ありがとう!」を言ってくださいました。     


  

  

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