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動物のこと
山里に来て、夜、あたり一面何も見えないという状態をはじめて経験しました。
暗闇の中で、たくさんの生き物が活発に生きています。
ヘビ
タヌキ
日本カモシカ
イノシシ
けもの道
サル
ヘビ
友人たちと田んぼで草取りをしていたら、Mさんがキャッと叫んだ。指差すほうを見ると、ヘビがカエルを飲み込もうとしている。はじめて見た光景だ。さして大きくはないカエルなのに、なかなかパクリとは飲み込めないようだ。
草取りをしながら、ときどきヘビを見たが、カエルはほんの数センチずつしかのどの奥に消えていかない。でも、1時間ほどたったときには、ヘビもカエルもいなくなっていた。
Yさんは、子供のころ、ヘビがカエルを飲み込もうとして飲み込めず、涙を流しているのを見たことがあるという。私も、薬を飲み込むのが下手で、苦労することがある。ヘビもさぞつらかったことだろう。(2004年6月ころ)
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タヌキ
タヌキは日本中どこにでもいるのだそうだが、私は、この土地ではじめて見た。
家の裏庭で、柿の落ち葉を拾い集めていた。押し葉にしようと思ったのだ。と、すぐそばに黒いものが通る。見ると、タヌキだ。なぜすぐにタヌキとわかったかというと、タヌキとしか言いようのない顔をしていたからだ。
彼(彼女?)は、私に気がつくと歩くのをやめ、じっと私を見つめた。私もそいつを見つめた。そいつの緊張が伝わる。ほぐすため、横を見た。するとそいつは、少し歩き出した。だが、とってもこちらを気にしている。横目で見ているという感じだ。庭から上に上がる高い石段があるのだが、そこまで行くと、そいつは前足を中空に出しては上がる真似をする。だが上がれない。真似だけだ。何度か上がる試みをしたあと、またこちらを見つめる。私も見つめた。逃げない。そこがネコやリスとは違う。何度か見つめ合ったあと、やがて崖を下り、裏の小川に架かっている木の橋を渡り、森に消えた。そいつが通ったところまで行ってみると、獣の強烈な臭いがした。
それまで、たびたび裏庭や上の畑で丸い小さなうんこを見かけたが、たぶんタヌキの仕業なのだろう。(2004年11月ころ)
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日本カモシカ
2度だけ見た。はじめて見たときは、その異様な顔と姿に面食らった。顔は牛のようだ。「カモシカのような足」というが、どうだろう、よくは見なかったが、俊敏そうではなかったような気がする。ずんぐりむっくりした足だったように思う。毛むくじゃらの顔や体から、そう思っただけかもしれない。実は足だけとてもスマートなのかもしれない。
2度とも裏の林で見た。1度目は、南天の実を食べに来ていたようだ。冬、食べ物がないときには、彼らは木の皮も食べるそうだ。城ケ山(城ケ山を守る会
http://inabu.net/jougasan/index.html
)に登ったとき、皮を剥かれた木を何本も見た。
このあたりの山をよく知っている人の話では、カモシカの鳴き声はとても物悲しくて、一人で山にいるときに聞くと、いたたまれない気持ちになるという。夕方に聞くと、家に帰りたくなるという。ときどき、遠くで高い声がすることがある。口笛のようだというから、たぶんあの声なのだろう。
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イノシシ
イノシシの被害は全国的なものだが、このあたりでも近頃、とみに増大したようだ。うちの崖も、イノシシが掘った後が、そのまま大きな穴になって何箇所も残っている。ウドの根を食べに来たらしい。ただでさえ崩れかけている崖が、イノシシのせいで、ますますもろく崩れやすくなっているので、心配になる。
ここから車で1時間ほどの、長野県のある村に住む知人の男性は、夜中の11時ころ車で通行中、イノシシと正面衝突した。車を降りて見てみると、イノシシは内臓が飛び出ていて、即死だった。車の前部が壊れ、ライトも片方がつかなくなった。大きなイノシシで、道に放っておくわけにはいかない。それで、ひとりでイノシシを抱えて車の中に運び込み、臭いのを我慢して、イノシシと一緒に帰宅した。翌日地元の猟友会に頼んで解体してもらい、村人と一緒にイノシシ鍋を囲んだという。あとで、車を見せたもらったら、前部のはしっこにイノシシの毛がくっついていた。
稲武地区のある老人から、こんな話を聞いた。「昔はキツネがいたから、イノシシが増えなかった。キツネはイノシシの子供、ウリンボウが好物なのだ。ところが、キツネはトウモロコシを食べてしまうというので、毒で殺してしまって、まったくいなくなった。そのせいで、イノシシがやたらに増えた。イノシシの被害に比べたら、キツネにトウモロコをやられるくらい、たいしたことではなかった。つまらんことをしたものだ」
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けもの道
数年前の東海豪雨のせいで、裏庭の崖が大きく崩れた。そのあと、コンクリート壁を設け、上段には草を茂らせた。崖の上には畑があるのだが、この1年ほとんど耕作しておらず、荒れ放題になっている。
昨年の夏ころだったか、この崖にけもの道ができていることに気づいた。気がついたころは、道幅は狭く、私の足がかろうじて載る程度の幅だった。しばらくして歩いてみると、だいぶ歩きやすくなっていた。傾斜がとてもなだらかで、疲れない。とはいえ一番上まではつながっていなくて、途中で途切れている。
(→大きい写真はこちら
[1]
[2]
)
上の畑に行くために建設業者が土で踏み固めて作ったくれた階段(右の崖の左隅にある)が、草も刈らず歩くこともしないため、崩れ始めているのに、冬になってから気がついた。ふと見たら、そのすぐ左隣にけもの用の階段道ができている。もともと業者が作った階段はとても急で、老人には歩けないほどだった。
けものが作った階段は、途中でちょっとくの字に折れている。なんだかほほえましい。「まっすぐでは、けものも疲れるんだな」と思った。人間が無理に作った階段道は、人間にもつらかったけれど、けものにもつらかったらしい。
春になったら、けものの作った道を通って、行き来することにしよう。人間というけものが通れば、もっと通りやすい道になるはずだ。でも、人間の臭いがすると、けものは敬遠するかもしれない。(2005年2月)
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サル
サルは、困る。頭がよい分、にくたらしい。近所の家の飼い犬が昼間よく吠えることがあるが、あれは、サルが出てきて、つながれた犬をからかっているのだという話を聞いた。人もからかうのだそうで、田植え機でできない隅のほうに苗を植えていたら、サルが、植えたばかりの苗を抜いては、人間のほうを見ていたという。いたずらだ。
彼らは、実ったばかりの稲の穂をしごいては食べるのだが、自分が食べるだけではない。ある親ザルは、道路の向こう側にいて、渡って来られない小ザルのところまで、手のひらに米を載せて持って行き、また戻るという動作を繰り返していたという。
ある年の初冬のこと。2階の軒先で大きな音がするので、驚いて外に出てみたら、サルがひさしから飛び降り、逃げていく。2階の軒先に干した干し柿を食べに来たのだ。サルはすっかりは逃げず、裏庭の石垣に腰を下ろし、私の顔を見ながら、干し柿をムシャムシャ食っている。そのとき、崖の右手を通っている道のほうから数匹のサルが駆けてきた。柿を悠然と食べていたサルも、彼らに交じって、いっしょに裏の林に走って逃げた。
数日後、裏の林に行くと、シイタケのほだ木が数本倒れている。起こしながら見ると、ほだ木の上に、柿の種が置いてある。下には、干し柿を吊るすために使った青いビニール紐が落ちていた。ほだ木をベンチにして、ここで一服したらしい。
今年の冬はわりに暖かく、12月の終わりころまで、シイタケが収穫できた。なかなか成長はしないが、実が厚くてふっくらしたどんこになり、人にあげると喜ばれていた。暮れに、親指ほどの小さなシイタケがいっぱい発生していたので、まだまだ食べられるかもしれないと、成長を待っていた。
ところが、大晦日に大雪が降ったのを皮切りに、1月は寒い日が続き、林にめったに行かなくなっていた。ある日、まだ雪が積もっている林に久しぶりに入ると、ほだ木が何本も倒れている。見ると、ほだ木の皮があちこち、無残に引き剥がされている。小さなシイタケは跡形もなくなっていた。サルの仕業に違いない。リスは笠だけを食べるが、サルはシイタケの軸しか食べないと聞いた。小さいうちに全部やられてしまって、往生したという話も、シイタケ栽培農家の人に聞いたことがある。しばらく人間の臭いがしなかったということもサルの害を招いた理由かもしれない。
それ以来、毎日のように林の見回りに行っている。(2005年2月)
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